一般的に、コンサルティングファームへ転職し、活躍するまでには高いハードルがあるといわれます。一方、コンサルタントとしてのキャリアだけではなく、ファームを卒業してからもコンサル経験がキャリアの機会を広げている事例は多く存在します。
未経験からコンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
- どのように準備し、コンサルティングファームに入社するのか
- つまずきがちなポイントをどう把握し、どう価値発揮するのか
- 年収はどのように変化するのか
本シリーズでは、実際に未経験からコンサルタントに転職して、キャリアを歩まれる方々にインタビューをし、未経験からのコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:コンサル未経験が一人前として立ち上がるまで
2017年に大手人材会社へ新卒入社し、派遣営業としてキャリアをスタートしたAさん。
2021年、未経験からアクセンチュアのタレント&オーガナイゼーション(T&O)に転職し、人材育成や風土醸成の案件を担当してきました。
SIer志望からの方向転換、特殊なセールス案件での苦労、転職前後のカルチャーギャップ、グローバル基準の年収制度、そして未経験者が心得るべき3つのポイント。
そのすべてを率直に語っていただきました。
自分でキャリアを切り拓くために人材業界から転職を決意
2017年に大学を卒業したAさんは、大手の人材会社へ入社。配属先は大手通信会社を担当する派遣営業のチームでした。
事務スタッフのアサインや稼働管理や、BPO提案まで幅広い業務を任されました。一方で、日々クライアントと向き合うなかで、収益モデル上の限界にも気づいていきます。
派遣は商流の中で下流にあたると実感しました。だからこそ、お客さんの業務を深く理解して、彼らのニーズにマッチする提案をしないと信頼は得られない。収益モデルを考えれば当たり前ですが、差別化が難しい業界でしたね
人材業界で働き続けるなかで、Aさんが強く意識するようになったのは「自分のキャリアを自分で選べない怖さ」でした。
優秀なチームリーダーの多くは新規事業部門に異動しており、「今の部署で役職が上がっていくのか、それとも新規事業開発に突然異動することになるのか。キャリアパスが自分で選べず、会社の意向で決められてしまう。そう気づくと自分の未来が決められないと思い、怖かった」と率直に語ります。
努力を続けてもキャリアの方向性を自分で決められない状況に不安を感じ、早い段階で新しい選択肢を探したい。それが転職の契機となりました。
SIer志望から一転、コンサルティングファームに入社
転職当初、目指したのは実はコンサルティングファームではなく、SIerでした。人材会社でクライアントとして接点があったこともあり、働き方も具体的にイメージできたからでした。
人材業界に勤めていたときから、SIerはビジネス課題の抽出や、案件スコープの検討など、ビジネス上流を動かしている姿が魅力的に映りました
そのため、NTTデータをはじめとする大手SIerやNEC、さらにアクセンチュアのITコンサル部門を受けることにします。しかし、いずれも結果は不合格。
「未経験でSIerやITコンサルに入るのは想像以上にハードルが高かった。専門的な職種だからこそ実務経験が重視されていたと思います」と振り返ります。
志望度の高い企業の選考に納得いく結果が出ない時期に、エージェントから紹介されたのが、アクセンチュアのタレント&オーガナイゼーション(T&O)でした。
SIer志望で臨んでいた彼にとっては意外な提案でしたが、これまでの人材営業での経験が評価され、「人と組織」に特化した部署で一度は選考に落ちたアクセンチュアから採用が決まりました。
ITコンサル部門で内定は出ませんでしたが、人材領域の経験を認めてもらえた。またアクセンチュアであればインダストリーのコンサルタントになったとしても、興味のあったシステムやIT領域と連携したプロジェクトは確実に経験が積めると思いました。結果的に、ここが自分にフィットすると確信が持てたため、入社を決めました
こうしてAさんのコンサル転職は、偶然と必然が重なって実現したのです。
営業経験があっても全然売れなかった。コンサルタントとしてのセールス経験
アクセンチュアに入社してからの約4年間で、Aさんは人材育成や企業風土の醸成といった「人と組織」をテーマに数多くのプロジェクトに参画してきました。その中でも最も記憶に残っているのが、社会人向けリスキリング事業の立ち上げです。
通常、アクセンチュアではセールスはマネージャー以上の職位に求められる業務ですが、この案件は特殊で、コンサルタントの立場にあったAさんも営業活動を担うことになりました。
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