一般的に、コンサルティングファームへ転職し、活躍するまでには高いハードルがあるといわれます。一方、コンサルタントとしてのキャリアだけではなく、ファームを卒業してからもコンサル経験がキャリアの機会を広げている事例は多く存在します。
未経験からコンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
- どのように準備し、コンサルティングファームに入社するのか
- つまずきがちなポイントをどう把握し、どう価値発揮するのか
- 年収はどのように変化するのか
本シリーズでは、実際に未経験からコンサルタントに転職して、キャリアを歩まれる方々にインタビューをし、未経験からのコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:銀行からコンサル、そして次のステージへ
銀行員からコンサルタントへの転職。
一見すると人気のキャリアパスに見えますが、未経験からコンサル業界に飛び込み、着実にキャリアを積み重ねてきたBさんの歩みには、実体験に基づく多くの気づきが詰まっていました。
大手銀行で個人営業として数字に追われながらも、明確に語れる自分の強みを見出して成果を出し、次のステップを逆算して働いた日々。そこからコンサル転職に挑戦し、転職後はカルチャーやスピードの壁に直面しながらもBPRやITの知見を磨いてきました。
本記事では、銀行からコンサル、そして現在は再び銀行で働くキャリアを歩んできたBさんに、転職を決断した背景や、入社後のリアルな体験、年収の変化、そしてこれから未経験でコンサルを目指す人へのアドバイスをうかがいました。
キャリアを逆算しながら挑戦を続けてきた体験談は、同じようなキャリアパスを見据える方にとって必ず参考になるはずです。
銀行で学んだ、自分らしさの活かし方
2017年、Bさんは大学を卒業し、新卒で大手銀行に入行。就職活動では、他銀行や化学系メーカーも候補にありましたが、志望していた大手銀行からの内定を獲得しました。
配属されたのは、個人営業のポジション。積み立てNISAや投資信託、外貨保険などを組み合わせ、一人ひとりのお客様に適切な金融商品を提案する日々が始まりました。
入社前から覚悟はしていたものの、営業の現場は厳しいものでした。店舗ごとに高い売上目標が掲げられ、複数の商品を扱いながら、同時に目標達成を追う必要がありました。
「配属先は大きな店舗だったので、設定された目標は非常に高く、かなり達成が難しい水準でした」と当時を振り返ります。
そんな環境でBさんが意識したのは、「得意な領域で一点突破する」ことでした。
様々な商品を取り扱う環境で、全商品のバランスを取りながら目標達成を目指すのは至難の業でした。だから、全体での目標達成が困難でも、特定の商品だけは目標の3倍以上の売り上げを出して、自分の得意領域と呼べるジャンルを築いていきました。
特定分野で突出した成果を出すことで、Bさんは周囲から一目置かれる存在になっていきました。一方で、一点突破型を目指したのは、将来的な転職を見越していたという理由もあると語ります。
将来的に転職をするかもしれないと、比較的早い段階から思っていました。その際、自分なりに語れる実績が必要だと思ったんです。そうであれば、突出した領域を築いて目標達成を目指した経験は『自分なりに創意工夫した実績』である、と語れると考えました。
逆算思考がうんだ、コンサル転職の選択肢
順調に数字を積み上げながらも、心の中には将来への不安が募っていきます。当時勤めていた大手銀行のキャリアパスは、個人営業を数年、法人営業をさらに数年経験して、ようやく本部に移れる仕組みでした。
20代のうちに幅広い経験を積みたいのに、幅広い経験が積めそうな本部に行くまでに20代が終わってしまうかもしれない。ここでは理想的なキャリアを得るには時間がかかりすぎる、と思いました
また、営業は体力勝負という現実も重くのしかかります。
顧客のもとに通い、信頼関係を築き上げる。そのためには、様々な顧客の下に足で通い、一日にいくつものアポイントメントをこなしていかなければなりません。体力のある20代ならできても、30代以降もこの働き方を続けるのは難しい
そうした焦りが、彼を転職活動へと向かわせました。
顧客の自宅に足を運び、雑談を交えながら信頼を築く濃密な経験は確かに財産でしたが、自分の理想的なキャリアを得るためには、このままでは難しいという切迫感を感じたのです。
最終的には、金融機関の本部で働きたいと思っていました。だから、今は金融業界に対するコンサルティング経験や、重要性が高まっていくとわかっているIT/システムに関する知見を積める環境に行くべきだと考えました。だから迷いはありませんでしたね
その逆算思考が、コンサルという新しい選択肢へとつながっていきました。
第二新卒のコンサル転職のヒントは「ポテンシャルへの期待」
転職先の候補として選んだのはアクセンチュア、アビーム、そして入社することとなるベイカレント。どれも未経験からのコンサルタント採用の可能性がある会社でした。
当時はDXが銀行業界でも取り組むべきテーマになり始めていて、ITの知見がなければ将来的に金融機関で生き残れないと感じていました。だからITに強いコンサルティングファームを中心に見ていました。
アクセンチュアのようにファンクションが細かく分かれていると、自分の経験が限定的になりすぎてしまうリスクを感じていました。
コンサルティング業界をあまり知らない状態でPMO専門、BPR専門、といったラベルがつくことは、逆にキャリア展開の広がりを欠くかもしれないと悩んだんです。その点ワンプール制を採用していたベイカレントは魅力的に映りました
面接では、未経験だからこそ意識したポイントがありました。
さらに・・・



