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大手・スタートアップ・コンサルのキャリアを徹底比較!

事業会社かアドバイザーか。

大手企業かスタートアップか。


ネクストキャリアに悩む際の大きなテーマだ。


今回、ゲストにスタートアップ→大手企業、コンサル→大手企業に転職したベネッセコーポレーション株式会社社員の2名にお越しいただき、その実態を赤裸々にディスカッション。


大手企業、スタートアップ、コンサルファーム。ネクストキャリアの選択肢として名前が上がりやすい3つのプレーヤーの違いを、経験者が語ります。



甲府方さな子(こうふがた さなこ):株式会社ベネッセコーポレーション デジタルビジネス開発部 デジタルマーケティング課。新卒でIT企業に入社。その後スタートアップ企業のマーケティングマネージャーを経て、2021年に株式会社ベネッセコーポレーションへ入社。2022年より現職にて、たまひよのデジタルプロモーション全般を担当。
関口雅啓(せきぐち まさひろ):Digital Innovation Partners データソリューション部 ゼミ分析推進課(主務)、Digital Innovation Partners DXコンサルティング部 デジタルプロセス課、デジタルイノベーション課(兼務)。外資系コンサルファームを経て、2021年に株式会社ベネッセコーポレーションへ入社。データサイエンティストとしては進研ゼミのデータ分析担当、事業のデータドリブンな意思決定を支援。社内コンサルとして学校事業領域のDX推進やファンドのソーシング業務も兼務。
喜多 哲平(きた てっぺい):司会。ONE CAREER PLUS事業開発を担当。





【前半】違いを知る


まずは3つの観点から、「大手」「スタートアップ」「コンサル」の違いを比較していきます。


・業務の違い


大手企業

一般的に大手企業であれば、規模の大きな事業やエポックメイキングな事業を手がけることが可能。スケーラビリティを担保するために、業務は分業されていることが多く、個々の裁量は限定的となってしまう傾向です。


スタートアップ

スタートアップは売上規模やインパクトは大手に劣りますが、規模が小さく成長途上にあるため、個々の裁量が大きくなる傾向にあります。


コンサル

仕事の進め方がある程度確立されており、正しい「仕事の作法」が学べます。若くして、さまざまな企業の経営課題に触れることも可能です。一方で、手触りのある事業づくりの経験や、実行する意思決定に物足りなさを感じるケースも。


・中途入社者の社内でのキャリアの違い


大手企業

キャリアの可能性は会社次第。先進的な企業であれば、自らの市場価値を高められます。会社によっては中途入社者が「欠員補充」としか見られない場合もあり、自律的なキャリアになりづらいため、転職の際には見極めが必要でしょう。


スタートアップ

中途入社が多く、事業成長に応じて組織拡大もあるため、年次問わずマネジメントを経験しやすい傾向にあります。縦(メンバーからマネジメント)にも横(他の職種への移動)にもキャリアを広げやすい点が特徴です。


コンサル

新卒・中途を問わず、明確なキャリアパスが描けます。関わる案件の違いはあれど、コンサルタントとして一人前になれば、基本的にはマネージャーやパートナーとキャリアアップしていきます。


・採用に対する考え方の違い


大手企業

大手は常に即戦力を求めているため、未経験の若手採用は多くありません。優秀な若手は新卒で採用し、社内異動で充足可能だからです。


スタートアップ

スタートアップでも即戦力は求められますが、事業成長に応じて業務が変わってもやり続けられるか? という点が重視されます。そのため選考では、バリューフィットや変化への対応力が、大手企業以上に見られる傾向にあります。


コンサル

未経験人材を採用し、OJTなどで一人前のコンサルタントを育成する仕組みが整っています。そのため、採用は提供された教育を吸収する素養やコミュニケーション能力、地頭の良さが重視される傾向にあります。


ここまで、「大手」「スタートアップ」「コンサル」の違いを整理しました。あくまで傾向のため、各社によって実態は大きく異なります。ここからは、ベネッセコーポーレーションの事例を深掘りしていきます。



【後半】実態を知る


・事業の作り方の違い


喜多:実際に、「大手」「スタートアップ」「コンサル」を経験されたお二人は、事業の作り方においてどのような違いを感じましたか?


 

甲府方:前職のスタートアップは、スピーディーに成長し、事業拡大することを重視していました。それに対してベネッセでは、売り上げが上がるとしても、お客さまにとってのメリットを重視します。


例えば、これまで一冊の雑誌だった「たまひよ」を、妊娠の時期やお客さまの悩みに合わせて6冊の分冊にしたんです。お客さまの悩みに合わせて、事業をスタートすることにびっくりしました。


前職の動画メディアのコアターゲットは20〜40代の女性で、いかに広く認知してもらえるかを重視し、大規模なプロモーションを行っていました。それに対してベネッセは、例えば「たまひよ」では、妊活中や出産直後のお客さまがターゲットですし、「こどもチャレンジ」も0歳、1歳など、年齢によって区切られているため、きめ細やかな設計が必要だと感じています。


また、一口に「たまひよ」といっても、Webもアプリも雑誌も通販もあって、どれか一つを最適化するだけでは不十分であり、他のメディアとの連携を考えなければなりません。それが難しくもあり、面白い点だと思います。




関口:一番異なるのは、事業会社はコスト削減やお客さまへの価値提供など、結果を求められることに対し、社外コンサルはフィービジネスのため、事業責任が限定的で、どちらかというと適切なプロセスでプロジェクトを推進できたかどうかのほうが重視されます。


例えば、ベネッセは学校向けにサービスを提供していますが、あるとき営業の業務効率を上げるためのツール導入の支援をしました。社内でヒアリングした結果に沿ったツールを作ってリリースしたのですが、ふたを開けてみると全然使用されませんでした。


よくよく話を聞いてみると「慣れたツールを使いたい」などの声があり、さらにヒアリングを重ね、原因や課題を探るようにしました。今、それに沿ってツールの改良を重ねているところです。


喜多:社員の意識の違いはありますか?


甲府方:私が前職の会社に入社したのは3年目で、大型の資金調達も終了して軌道に乗り始めたフェーズだったので、成長志向の強い人が多かったように思います。ベネッセも、そのあたりの意識は似ていると感じています。


大企業はもっと型にはまっていて「新しいことはできないのかな」と思っていましたが、業界ナンバーワン企業なので、「自分たちが新しいことを仕掛けていかなければ」と社員の意識が高いです。


関口:会社の理念や目の前のお客さまを大切にするところはベネッセらしいと思います。先ほどの学校向けサービスに関しても、目の前の生徒や先生の名前を挙げながら、どのような価値提供ができるかを考えている会社は、なかなかほかにないです。


・キャリアの作り方の違い


喜多:転職理由を教えていただけますか?


関口:「最終的な結果まで自分がしっかりと関わりたい」と思ったのが転職の理由です。前職で社外コンサルとしてお客さまと関わった際は、お客さまへの提供価値や社内ユーザーの業務がどのように変わったのかを見届けることができず、物足りなさや限界を感じていたんです。


転職先選びは、事業内容に自分が関心が持てるかどうかを重視していました。私はデータ分析やDX領域を専門にしていますが、エンドユーザーをイメージできないと表面的な解釈にとどまり、データから価値を生み出すことは難しいです。その点、自分自身が大学や大学院で塾講師として働いていたこともあり、教育は関心のあるテーマでした。


甲府方:前職ではマーケティングの戦略から実行まで任せていただいて、とても楽しかったのですが、1年ちょっと前にデジタルマーケティングにおいて、今までの手法が使えなくなり、もっとファーストパーティーデータのある分野に行きたいと思いました。


もう一つは、前職の企業はメディアビジネスを運営していたのですが、一般的にメディアはマネタイズが難しく、自分の関心のある分野でもう少し先を見ることができる企業を探していて。そのときにベネッセを見つけました。


喜多:お二人とも、数ある企業からベネッセを選んだカギが「データ」だったと。


関口:データ分析をするにあたっては、データの量と質の確保が重要です。ベネッセは、データの量はもちろんのこと、質に関しても「進研ゼミ」は継続率が高いため、一人のユーザーの長期に渡る推移を見ることができます。


例えば、「どんな勉強法をしている人が成績が上がりやすいのか」はベネッセがずっと分析しているテーマです。最近だとタブレットを使った学習のため、顧客の属性、解いた問題、結果について大量のデータが蓄積されます。それに基づいてお客さまの理解度に合わせて問題を最適化するアダプティブなサービスを設計したり、お客さまに提案したりできるんです。


甲府方:ベネッセは子どもの情報だけでなく、「いぬのきもち」「ねこのきもち」でペットに関する情報を、「サンキュ!」で生活に関する幅広い情報を保有しています。まだ実現していませんが、両者をかけ合わせて「子どももいて、ペットも飼っている人」に対して新しいアプローチができないかを考えています。


また、感情のデータを蓄積してサービスの最適化につなげる方法も考えていて。例えば「たまひよ」であれば妊娠したときの感情が「ポジティブか、ネガティブか」によってサービス提供の仕方を変えられます。どうすれば感情のデータを取得できるのか、お客さまとどう接点を持つか、などについても議論しているところです。




喜多:転職後のご自身の成長をどのように感じていますか?


甲府方:前職はアプリマーケティングに手法が限定されていましたし、企業ごとに扱うサービスは「通販」「アプリ」というように特化していました。しかしベネッセは、サービスのラインナップやビジネスモデルが多いため、それらを一気に何社分も経験できる点が魅力です。それによって自分は特定分野の専門家というより、その時々のニーズに対応できる幅のある人材になれていると思います。


関口結果を出すために必要なものはなにかにこだわるマインドセットが身に付きました。あと、コンサルの枠に囚われずにいろんな事業づくりを経験し、結果的にキャリアの幅が広がり、成長できているのかなと思っています。


喜多:今後はどのようなキャリアを歩んでいきたいですか?


甲府方:私はキャリアプランをきちんと計画するタイプではなく、常に最先端のマーケティング情報を仕入れて、新しい事業に関わっていきたいと考えています。また、そこに紐づく興味関心ごとも広げていきたいです。


関口:データを軸にしながら、事業を作り、社会に還元していきたいと思っています。教育事業は今まさに転換期です。その中でベネッセが持つデータをかけ合わせながら、社会に対して価値を提供していきたいですね。


・ベネッセに向いている人、向いていない人


関口:ベネッセは今、変革のタイミングにあると思っています。そのため、安定志向のタイプは向いていないかもしれません。自分から挑戦していくマインドのある人のほうが向いているのではないでしょうか。



甲府方会社として業界をリードしていかなければならないので、それを考え続けられる人、事業を成長させるために必要なことを率先して勉強できる人は向いていると思います。外から見ると、業界ナンバーワン企業で安定しているように見えますが、逆に変化に柔軟に対応できる人材が求められています。




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