「メガバンク3行」と呼ばれる三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行。転職市場でもよく比較されますが、事業戦略や社風には違いが存在します。特に近年は「金利のある世界」となったことで、競争が激化し、協業や新規事業も活発になっています。
本記事では、2025年度1Q(第一四半期、4〜6月期)の最新決算とワンキャリア転職に寄せられた多数のクチコミから、数字とカルチャーを徹底的に比較。転職を考えるあなたが「どの銀行が自分に合っているのか」を見極めるための判断材料を提供します。
- 1:数字で見るメガバンクの「今」──三菱UFJ・三井住友・みずほの2025年最新決算の比較
- 1-1:三菱UFJ・三井住友・みずほの業績|3行とも純利益1兆円超えへ
- 1-2:三菱UFJ・三井住友・みずほのリーテルビジネス|買収・提携で加速する預金獲得競争
- 2:クチコミで見るメガバンクの「内側」──三菱UFJ・三井住友・みずほで働く人の声から見えた違い
- 2-1:三菱UFJ・三井住友・みずほ|メガバンクのカルチャーの違い
- 2-2:三菱UFJ・三井住友・みずほ|メガバンクの年収・待遇
- 2-3:三菱UFJ・三井住友・みずほ|メガバンクへの転職理由と向いている人
- 3:まとめーあなたにあうのはどの銀行?
- ワンキャリア転職のご紹介
1:数字で見るメガバンクの「今」──三菱UFJ・三井住友・みずほの2025年最新決算の比較
1-1:三菱UFJ・三井住友・みずほの業績|3行とも純利益1兆円超えへ
3行とも巨大なフィナンシャルグループ(FG)の中核をなしています。その総合力を浮き彫りにするため、各グループの最終的なもうけに当たる「親会社株主純利益(連結ベース)」について見てみましょう。
メガバンク3行の親会社株主純利益の推移
(出典)三菱UFJFG IR(投資家情報)、三井住友FG 決算関連資料、みずほFG 決算・IRライブラリー
2025年度通期の予想では、みずほFGが、今期の堅調な実績や今後のビジネスへのアップサイド期待を踏まえ、9,400億円から1兆200億円へ上方修正しました。これにより、3メガバンク全てが親会社株主純利益で1兆円を超える見通しとなりました。
好決算の背景には、M&Aや成長投資で企業の資金需要が増えたことに加え、国内金利の上昇があります。日銀が2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降「金利のある世界」となり、各銀行の金利も上昇。「預金で資金を集め、預金金利よりも高い金利で貸し出す」という銀行の主力事業が復調しました。マイナス金利下で構造改革を進めたこともあり、親会社株主純利益は各行とも右肩上がりです。稼ぐ力が大きくなっていることが、最新決算からも明らかになりました。
1-2:三菱UFJ・三井住友・みずほのリーテルビジネス|買収・提携で加速する預金獲得競争
金利のある世界となったことで激化したのがリテールビジネスです。融資ビジネスを行う際の重要な資金源である預金の獲得を巡り、各社が個人向けの金融サービスを拡充しています。外部との資本提携や買収も活発で、さまざまなプレイヤーを巻き込んだ総力戦になっています。
三井住友FG
個人向けサービスで先行するのが三井住友FGです。23年3月、総合金融サービス「Olive」を開始。預金口座やクレジットカード、ネット証券をまとめて提供しており、高いポイント還元率やアプリの利便性などで顧客数を増やしました。2025年1Qの決算では、リテール事業部門の業務純益が745億円となり、前年同期から19%増えました。個人預金残高もメガバンクで最も高い伸び率でした。
25年5月には、三井住友カードとソフトバンクの業務提携が発表され、OliveとPayPayの連携が可能になりました。ポイント利用やチャージ・決済などでの利便性向上が期待されています。
三井住友FGはSBI証券やマネーフォワードなどとも提携を進め、Oliveのサービス向上に取り組んでいます。各領域の主要プレイヤーとタッグを組む「大連立」で他のメガバンクとの差をさらに広げたい狙いがあります。
三菱UFJFG
三井住友FGを猛追するのが、三菱UFJFGです。今年6月に新たな金融サービスのブランド「エムット」を立ち上げました。大連立を組む三井住友FGに対して、自前の経済圏を構築しようとしています。
その布石として、全自動の資産運用サービスを手掛けるウェルスナビや後払い決済のカンム、家計簿アプリのマネーツリーを買収。エムットのサービスに組み込み、顧客体験を向上させます。クレジットカードや消費者金融を含めたグループの総合力や、約94.1兆円という圧倒的な個人預金量も生かし、リテール事業を強化できるかが今後の業績を左右しそうです。
みずほFG
みずほFGは楽天グループとの提携を進めてきましたが、各社の競争が激化する中、なかなか業績向上につなげられませんでした。2024年12月にクレジットカード「みずほ楽天カード」の提供を開始するなど、巻き返しを図っています。
10月には、事業者が従業員の資産形成を支援する「職場つみたてNISA」のサービスを、楽天証券と開始予定。みずほの強みである法人顧客網の幅広さと、楽天経済圏のメリットを組み合わせて顧客獲得を目指します。
次の主戦場は中小企業か
預金獲得競争の新たな動きとしては、中小企業へのアプローチがあります。三井住友FGは今年5月、デジタル総合金融サービス「Trunk」を開始。Oliveの成功で得た学びやノウハウを生かしたサービス展開が期待されます。
みずほFGも、AIによる与信モデルを強みとするUPSIDERをグループに加え、中小企業の支援を強化します。
メガバンクの法人顧客は大企業〜中堅企業が中心で、中小企業は地銀や信用金庫が強い領域でした。デジタルやAIといったテクノロジーを活用することで、メガバンクにしかできない中小企業向けサービスを立ち上げられるか。このテーマに成功した企業が、次の預金獲得競争の勝者となるかもしれません。
2:クチコミで見るメガバンクの「内側」──三菱UFJ・三井住友・みずほで働く人の声から見えた違い
決算データから見えてきた事業戦略の違いは、働く環境やカルチャーにどう反映されているのでしょうか。ここからは、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミから、「実際どうなのか」「自分に合っているのはどの銀行なのか」を探っていきます。
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