記事画像

楽天とソフトバンク|決算・年収・社風を徹底比較【2025年最新】

楽天グループ(以下、楽天)とソフトバンクは、通信事業を中核に据えながら、金融、Eコマース、AIなど多角的に事業を展開する大手IT企業です。 転職市場でもよく比較される2社ですが、その事業戦略や社風には大きな違いが存在します。実際のところ、どちらが自分にフィットするのでしょうか。


本記事では、両社の最新決算とワンキャリア転職に寄せられた多数のクチコミから、数字(事業)とカルチャー(人)の両面で徹底的に比較。転職を考えるあなたが「どちらの会社が自分に合っているのか」を見極めるための判断材料を提供します。




1:数字で見る、楽天とソフトバンクの「今」──2025年最新決算の比較


まず、両社の経営状況を客観的な数字から比較します。事業の成長性や収益構造、未来への投資姿勢から、それぞれの「今」の姿を明らかにします。


1-1:楽天とソフトバンク|売上・利益の全体像



楽天グループ

ソフトバンク

対象決算期

2025年度 第2四半期

(2025年4月~6月)

2025年度 第1四半期

(2025年4月~6月)

売上収益(四半期)

5,964億円

前年比+11.0%

1兆6,586億円

前年比+8%

IFRS 営業利益(四半期)

88億円

前年比+27.2%

2,907億円

前年比-4%
一過性要因を除くと+6%成長

主な収益ドライバー

金融事業が牽引。通信事業は前四半期に黒字化し、今期は黒字幅拡大

通信事業が安定収益を創出。PayPayなどフィンテック事業が成長中

(出典)楽天グループ 決算資料ソフトバンク 決算資料


2025年度の最新四半期決算を見ると、売上規模ではソフトバンクが楽天の2.7倍以上と大きな差をつけています。売上成長率では楽天が前年同期比11.0%増と、ソフトバンクの8%増を上回る高い伸びを示しました。


なお、楽天とソフトバンクでは、売上構成と利益構造に明確な違いがあります。


まず売上構成を見ると、楽天は「インターネットサービス」と「フィンテック」が約8割を占める2軸構造。一方ソフトバンクは、「コンシューマ(通信)」を中心に、メディア・ECや法人向け事業など、複数の事業に売上が分散しており、事業ポートフォリオの偏りが小さいのが特徴です。


次に利益構造をみると楽天はモバイル事業の赤字が残る中でも、フィンテックとEC領域が利益を生み出しています。一方ソフトバンクは、通信が主力でありながら、他事業でも収益化が進み、バランスのとれた収益構造を持っています。


ソフトバンクは一過性要因を除けば増益を確保し、安定して「稼げている」状態です。 一方の楽天はモバイル事業への先行投資が続いていましたが、2024年度にはグループ全体でNon-GAAP営業利益ベースの通期黒字化を達成。さらにモバイル事業もEBITDAベースでの四半期黒字化を果たし、収益改善に向けた大きな一歩を踏み出しました。


収益の絶対額や安定性ではソフトバンクに軍配が上がりますが、楽天もモバイル事業の収益改善が進み、着実な成長軌道に乗っていることがうかがえます。




1-2:楽天とソフトバンク|伸びている事業はどこか?


両社の中核事業がどこにあるのか、そして今どこに伸びしろがあるのか──その違いは、求職者の配属やスキル活用の観点でも大きな意味を持ちます。


通信事業:楽天は「これから」、ソフトバンクは「基盤」

通信事業では、ソフトバンクのスマートフォン累計契約数が2025年度第1四半期末で3,195万件に達し、国内でも屈指の顧客基盤を築いています。安定した収益の柱であり、同社の強固な基盤となっています。


一方、楽天モバイルは2025年7月末時点で契約回線数が900万件を突破。ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)も2,861円と上昇傾向にあり、赤字を出していたモバイル事業が黒字化に向けて改善フェーズに入っています。事業としての安定感はまだこれからですが、立ち上げフェーズの醍醐味がある環境と言えるでしょう。


非通信事業:フィンテック分野では両社とも成長中

楽天のフィンテック事業(証券・カード・銀行など)は、2025年度第2四半期に前年同期比+14.8%の増収と、堅調な成長を記録。ECとのシナジーを活かしたエコシステム戦略が奏功し、グループ収益全体のけん引役となっています。


ソフトバンクでも、フィンテック関連のファイナンス事業が同年第1四半期に+23%の増収、営業利益+137%と急成長。背景には、グループ子会社であるPayPayの上場を見据えた動きがあり、収益性と事業価値の顕在化が進んでいると見られます。PayPayは米国でのIPOを予定していると報じられており、今後の成長資金確保や事業スケーリングにも期待が集まっています。


こうした事業構造を踏まえると、楽天はフィンテック・ECの堅実な成長がグループをけん引し、モバイル事業の収益改善が今後の鍵となる構図。一方でソフトバンクは、通信という安定収益を軸にしながら、PayPayをはじめとする非通信領域でも非連続な成長を狙える体制を構築していると言えるでしょう。


(*)主要事業データ | 企業・IR | ソフトバンクPayPay、米国市場で上場へ 米当局に登録書を提出 - 日本経済新聞




1-3:楽天とソフトバンク|今後の注力領域


今後、両社がどのような領域に投資し、未来の成長を目指していくのか。その方向性は、配属先やキャリアの伸びしろにも直結します。


特に両社が最注力しているのが「AI」領域です。


ソフトバンクは、国産LLM(大規模言語モデル)「Sarashina」の開発に取り組むほか、シャープ堺工場跡地を活用した大規模AIデータセンターの建設など、AI基盤への先行投資を本格化。生成AI時代における「インフラ企業」としてのポジション確立を狙っています。


一方、楽天は「Rakuten AI」というエンドツーエンドのAIプラットフォームを本格展開。EC・金融・物流などの既存サービス群で得た膨大なデータを活用し、AIによる業務効率化や顧客体験の最適化を進めています。また、法人向けのAIソリューション提供にも注力しており、データドリブンなサービス開発力で差別化を図ろうとしています。






2:クチコミで見る、楽天とソフトバンクの「内側」──働く人の声から見えた違い


決算データから見えてきた事業戦略の違いは、働く環境やカルチャーにどう反映されているのでしょうか。ここからは、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミから、「実際どうなのか」「自分に合っているのはどちらか」を探っていきます。


ここから先は会員限定の記事です
カンタン無料登録で、今すぐ続きを読もう
さらに・・・
6,000件以上の転職体験談(実例)が見放題
限定のイベント情報も配信
限定の記事コンテンツも読み放題
会員登録して続きを読む ログインはこちら >

ワンキャリア転職 編集部

井口 祥子

一橋大学卒業後、新卒では大手人材系企業に入社し法人営業を経験。その後、就活プラットフォームを運営する人材ベンチャーに入社。学生の就職支援に携わった後、スタートアップ、大企業、コンサルティングファーム等の採用ブランディング記事の企画・編集・執筆を手掛ける。2022年よりワンキャリア入社。ワンキャリア転職にて社会人向けのキャリア支援やコンテンツ企画・編集に携わる。

フェーズからキャリア面談を選ぶ

この記事に登場する企業

関連タグの人気記事

こちらの記事も読まれています

記事一覧のトップへ