「ブラック霞が関」と揶揄される現状が変わる一手となるのだろうか。
8月7日、2025年度の国家公務員の月給・ボーナスに関して、人事院が国会と内閣に引き上げを勧告した。勧告通りに引き上げられると、キャリア官僚の給与は従業員1000人以上の大企業並みの水準に底上げされ、初任給も30万円を超える。
20代〜30代を中心にキャリア官僚の退職が続く霞が関。今回の給与見直しで若手の流出に歯止めはかかるのだろうか。ワンキャリア転職に寄せられた元官僚の転職体験談と国家公務員の働き方に関する最新調査データから、キャリア官僚が霞が関を去る理由を探った。
(参考)令和7年 人事院勧告
1. 初任給アップに、残業代は全額支給。若手官僚の年収は上昇傾向
国家公務員の待遇改善は近年、着実に進んでいる。国家公務員の月給引き上げは4年連続で、引き上げ幅も年々大きくなっている。民間企業の賃上げの流れが、国家公務員の給与にも反映されている。
2021年には、河野太郎規制改革相(当時)が残業代を実態に即して支給する方針を決定。結果、それまで部分的だった残業代の支給が全額に切り替わり、キャリア官僚の年収アップにつながった。
(参考)河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月22日
2. 約1割が退職検討中。待遇改善でも離職するキャリア官僚
しかし、待遇改善が進む一方で、若手官僚の退職は増加傾向にある。人事院の調査によると、2023年度に退職した在職10年未満のキャリア官僚は203人。この10年で3倍近くまで増えており、20代〜30代の離職が顕著になってきている。
現職職員の中でも、退職を検討している人は少なくない。内閣人事局の調査では、非管理職の9.8%が「数年以内に辞めたい」と回答している。年代別に見ると、30歳未満では12.4%、30代では10.3%が数年以内の離職意向を示している。
退職を検討している理由は以下の通りだ。
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