コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。
そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
・いつファームを去るべきか
・コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
・年収の増減をどう捉えるか
本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:キャリアを“逆算”で描く──理系出身・Fさんが見つけた、自分らしい働き方
日系大手メーカーに技術職で入社後、広告代理店を経て、外資コンサル2社で経験を積んできたFさん。
「修行したい」と飛び込んだコンサルの世界で見えてきたものは、成長と同時に感じた“違和感”でもありました。
転職を重ねながら、自らのキャリアを逆算して設計してきた彼の歩みには、これからのキャリアを考えるすべての人にとってのヒントが詰まっています。
理系職から広告業界、その後アクセンチュアへ──異色のキャリアは「修行したい」という想いから
2015年、理系大学院を卒業したFさんが最初に選んだのは、日系大手メーカーの生産管理の仕事でした。材料調達や製造ロスの管理など、モノづくりの現場を支える業務を担う中で、「これが自分のやりたいことなのか」と自問自答が始まったといいます。
院卒の自分は新卒1年目が学部卒の3年目に相当するので、キャリアを変えるなら早めに舵を切ろうと思ったんです。理系としてのバックグラウンドを活かすよりも、企画や戦略といった仕事への興味が抑えられなくなっていました
その後、第二新卒として選んだのは、大手広告代理店でした。地方創生や観光振興、震災復興など、社会的意義の大きいプロジェクトに惹かれての転職でした。
中央省庁や地方自治体の事業に関わる中で、地域や社会に直接貢献する実感がありました
特に、福島の震災復興関連のプロジェクトに携わった経験は大きかったと語ります。
様々な仕事を経験しましたが、復興関連の仕事は、ステークホルダーも多く難しさがあった反面、社会貢献性が高くやりがいをもって取り組んでいました。
そんな中で出会ったのが、調査フェーズで協働していた外資系コンサルのチームです。「それまでは、コンサルって、資料づくりがうまい人たち、くらいにしか思っていなかった」と語るFさん。
当時、メーカーと広告代理店で、我流で仕事の仕方を学んできた自分にとっては、彼らの仕事の仕方が洗練されていて衝撃的でした。いつか自分もあの土俵で戦えるようになりたい
と強く思い、アクセンチュアへ転職したと、語ります。
転職の動機は『仕事で修行したい』という気持ちが一番強かったです。ビジネスOSを徹底的に高めるには、その土俵に飛び込んでしまうのが早いと思いました。
アクセンチュアで感じた変化と違和感──「イメージとは違う実態」
アクセンチュアでは大手消費財メーカー向けにシステム導入支援や業務プロセス改革などを担当。最初は代理店時代と地続きとなる官公庁系を志望していたものの、「会社の都合で消費財領域を担当することになった」そうです。
けれど「外資っぽいなと思いました。でもテーマは違っても必要なコンサルスキル自体はあまり変わらないので」と外資特有の組織変更やチーム解散といった自体にも、軽やかに馴染んでいきました。
どんな業界でも、どんな領域でも仕事ができる。外資系コンサルの魅力は、やはりその“なんでもできる土俵があること”だと思います。だから大して自分がどの組織に所属しているかや、その組織がどうなるかにはは興味がなかったのかもしれません
しかし、会社全体の変化には違和感を抱くようになります。
さらに・・・