広告代理店の二大巨頭、電通と博報堂。企業のミッションやバリューに共感し、魅力を感じられるか、カルチャーになじめるかどうかは間違いなく重要です。
しかし、やはり気になるのは年収や評価体系ではないでしょうか?
ONE CAREER PLUSは独自調査をもとに、両社の年収や評価体系、中途採用のキャリアパスなどを明らかにします。
- 事業内容:海外事業に強い電通、国内シェアは互角
- 電通:1901年創業、業界をリードする大手広告代理店
- 博報堂:電通より早い創業、国内外に拠点を持つ
- 両社を比較:海外事業では一枚上手の電通
- 年収:スタートから年収高めの電通、等級で細かく年収設定された博報堂
- 電通:20代後半で年収1000万円超えも
- 博報堂:ディレクター以降から年収1000万超え
- 評価制度:電通は定量・定性、博報堂は、質・量・育成
- 電通:2つの評価基準を設定
- 博報堂:3つの指標で配分は職種で異なる
- 両社を比較:行動やプロセスも評価に含める電通、職種によって重視する指標が異なる博報堂
- 高く評価される人の特徴の違い:人との関わりが大きく影響
- 電通:上司との良好な関係やスペシャリティの高さが評価につながる
- 博報堂:リーダーシップや他メンバーとの関わりが評価につながる
- 両社を比較:両社とも、社内の関係性を良好に保つ努力を
- キャリア採用の傾向の違い:同業他社やマーケティング関連からの転職が多数
- 電通:即戦力を求められ、マネジメント職からスタートすることも
- 博報堂:経験者採用が主流で大半がアソシエイトとして入社
- ONE CAREER PLUSのご紹介
事業内容:海外事業に強い電通、国内シェアは互角
二大広告代理店として名前が挙がる電通と博報堂。両社の事業内容にはどのような共通点と相違点があるのでしょうか?
電通:1901年創業、業界をリードする大手広告代理店
電通は、1901年に創業した日本広告と電報通信社が前身であり、単独の広告会社として国内最大規模を誇る、電通グループ傘下の広告代理店です。世界の広告市場の約1割を占める日本市場においては24.0%(2012年)のシェアを有し、長年にわたり業界をリードしています。
日本ではすべてのマスメディアの広告取扱高でトップシェアを誇るなど、強力なメディア確保力が電通の強みとなっています。コミュニケーション領域を中核とし、広告主やメディア・コンテンツ企業をはじめとする顧客の経営課題・事業課題の解決から、マーケティング・コミュニケーションの実施まで、そのすべてを事業領域としています。現在、海外事業は電通グループが担っており、全世界145カ国以上の拠点を持つグローバル企業です。
また、電通の豊かな発想力と緻密な構成力、そして表現力と説得力は国内外で高く評価されており、クリエイター・オブ・ザ・イヤ―は歴代35回中32回電通が受賞しています。
出典:電通|クリエイター・オブ・ザ・イヤーhttps://www.dentsu.co.jp/aboutus/creative_sphere_prize.html
博報堂:電通より早い創業、国内外に拠点を持つ
博報堂は、1895年に創立され、本社は東京都港区にあります。博報堂も国内外に多数の拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
事業領域は、広告企画・制作、マーケティングリサーチ、ブランドコンサルティング、クリエイティブ開発など多岐にわたります。特に、イノベーションと総合力に強みを持つことが特徴です。最新の広告技術や手法を取り入れ、クライアントに対して革新的なソリューションを提供しています。また、PR、イベント、デジタルマーケティングなど、幅広いサービスを提供し、クライアントの多様なニーズに対応しています。
両社を比較:海外事業では一枚上手の電通
両社とも社員の個性やクリエイティビティを大切にする社風があります。また、どちらも特定の領域だけでなく、幅広く事業を展開しているのもポイントです。
グローバル展開、海外事業における売上についていえば電通が一枚上手でしょう。
先述したように、現在は海外事業については電通グループが担っていますが、2023年の売上合計のうち日本国内が占める割合は電通グループが42%、博報堂が72%という数字からも両社のセグメントの違いが明らかです。
※出典:バフェットコード「電通」
※出典:博報堂「2023年度 有価証券報告書 P.127」
年収:スタートから年収高めの電通、等級で細かく年収設定された博報堂
年収は等級制度によって大きく異なります。ここでは、両社の等級制度を解き明かし、グレードごとに年収がどのようにアップしていくかを解説します。
電通:20代後半で年収1000万円超えも
上図の通り、電通には、大きく5つの等級が存在します。
- MD(局長) :MDは各局のトップであり、組織全体で40人ほどがこの職位に該当します。局の数だけポストがあり、営業部門に約20人、クリエイティブ部門に約5人、マーケティング部門に約8人が所属しています。
- GM(部長) :局の中に存在する部を統括するのがGMで、全社員の約0.5割を占めています。
- SP (スーパーバイザープロフェッショナル):全社員の約1割がSP等級に該当します。SP以上は管理職扱いとなります。
- PC(プロフェッショナルクラス): 全社員の約6割がPC等級に該当します。入社後6年程度でほとんどの方がPCへと昇進します。
- AC(アソシエイトクラス): 主に入社後5年目までの社員がACとして基礎を学びます。全社員の約1割程度がAC等級です。
ACの年収体系
電通では、3年ほど前から年初に目標を設定し、昨年度の達成基準に基づいて評価が行われる「ミッショングレード制度」という評価体系が導入されています。評価は上司と本人だけが知る形で行われ、個人の評価と所属部署の業績によって賞与に差が生じます。
ミッショングレード制度が本格的に適用されるのはPC以降ですが、ACクラスにはその簡易版が適用されており、賞与は最低30万円から最高100万円まで変動します。査定内容が同じでも、所属部署によって賞与額に差が生じることもあります。
ACクラス内でさらにAC5~AC0まで6段階に細分化されており、その中でさらに3段階 (無印、+、++)に分かれるため、合計18の段階が存在します。新卒1年目は「AC5無印」からスタートし、おおよそ1年ごとに「AC5+」「AC5++」などと上がっていきます。入社後5年目を目途に「AC2」程度に達し、PCへの昇格が見込まれます。
PCの年収体系
PCに昇格すると、手取りが約10万円増加します。PC以降の等級は、役員も含めて1~9の評価クラスに分けられ、さらにクラス1~3は2段階に、クラス4~9は3段階に細分化されています。
PCまでは年次とともにクラスも上がっていく傾向にあります。SPへの昇格が叶わずにPCに長い間とどまる方も多数います。また、働き方の調整などを意図して意図的にPCにとどまる方もいらっしゃるようです。
SPの年収体系
SP昇格には評価と論文執筆が必要であり、主に40代前半以降の社員が対象です。昇格率は約3割程度です。
さらに・・・