ONE CAREER PLUSでは、次のキャリアを考えるきっかけとなるイベントを定期開催しています。今回お届けするのは、2022年1月に開催した「セールスキャリアのつくり方」のイベントレポート。
さまざまなクラウドサービスの登場から、成長産業として注目を集めるSaaS領域。セールスの転職先としても、興味のある方が多いかと思います。
このイベントには、SaaS企業である株式会社マネーフォワードの執行役員・若手社員3名が登壇。マネーフォワードへの転職談や、セールスのキャリアパス、マインドセットについてなど、セールスパーソンなら気になるリアルなトークが繰り広げられました。
前半ではONE CAREERからSaaSを解説し、後半にお三方によるキャリアトークをまとめています。今後も需要が増えていくであろうSaaSセールスへの虎の巻として、ぜひご一読ください。
登壇者プロフィール
工藤 裕之(くどう ひろゆき):株式会社マネーフォワード ビジネスカンパニー執行役員 クラウド経費本部/本部長。2007年に新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。法人営業を経て、プロダクト企画とプロダクト&マーケティング戦略でのマネージャーを経験。その後、2020年1月にマネーフォワードへ入社、現職。
寺嶋 貴大(てらしま たかひろ):株式会社マネーフォワード クラウドERP本部 セールス部副部長。2014年に新卒で株式会社パソナへ入社。人材紹介エージェント・企業担当/個人担当。その後2019年3月にマネーフォワードへ入社。事業推進部フィールドセールスののちクラウドERP本部へ。
伊藤 龍(いとう りゅう):株式会社マネーフォワード クラウドERP本部 セールス。2016年に新卒で三井住友カードへ入社。法人営業/コンタクトセンターマネージャーを経験の後、2019年3月にUiPathに入り、パートナーセールス/アカウントエグゼクティブを経験。2021年12月にマネーフォワードへ入社し、現職。
ONE CAREER 佐賀:モデレーター
※登壇者プロフィールや各種情報は、2022年1月時点での情報となります。
今注目を集めるSaaSとは?
SaaSとは、「Software as a Service」の略で、クラウドから提供されるソフトウェアのことを言います。SaaSは大きく、以下二つのタイプに分けられます。
(1)Vertical SaaS:ある業界に特化し、業界特有の業務をサポートするSaaS。
〈代表的な企業例〉
atama plus(教育)、ユビ―、カケハシ(医療)、アンドパッド、スパイダープラス(建設) など
(2)Horizontal SaaS:業界を横断し、特定の部門や機能をサポートするSaaS。労務管理、給与管理、法務など、さまざまな企業において導入の余地がある業務が主流です。
〈代表的な企業例〉
マネーフォワード、プレイド、Sansan、HENNGE、freee、SmartHR、チャットワーク、リーガルフォース、ユーザベース、コミューン など
急成長中のSaaS領域 各社が人材確保へ
セールスの転職先として、SaaS領域に注目が集まる理由は主に以下の3つです。
(1)市場が爆伸び。2024年には1.12兆円の市場に
(2)顧客志向なストック型ビジネスモデル
(3)人材の強い需要
出典:富士キメラ総研「ソフトウェア新市場2020年版」2019年度実績、2020年度見込み、以降予測
(1)市場が爆伸び。2024年には1.12兆円の市場に
現在、パッケージソフトや自社向けのERPなどが、急速にSaaSへと置き換えられています。この傾向から、SaaS市場は年平均約13%の勢いで急成長し、ソフトウェア市場におけるSaaS比率も大幅に上昇。今後も成長が見込まれるため、今まさにSaaS領域に注目が集まっているのです。
(2)顧客志向なストック型ビジネスモデル
SaaSのなかでも代表的なものが、利用量や期間に応じて料金が発生するサブスクリプションサービス。
このビジネスモデルは、かつてのERP(基幹システム)などが「いかに売るか、導入してもらうか」に焦点を置いていた側面とは異なり、契約継続がサービス拡大の鍵です。
つまり「顧客満足」が非常に重要で、導入後も価値あるサービスを提供し続けなければいけません。このようなサービスモデルは、ベンダーにとってもやりがいにつながるでしょう。
(3)人材の強い需要
サービス導入後も顧客に満足し続けてもらうためのカスタマーサクセス、効率的かつ本質的な営業を行うインサイドセールス(内勤営業)、フィールドセールス(外勤営業)など、SaaS領域では、新たなセールスの職種がどんどん登場しています。
また、近年広がり続けるプロダクトを、顧客ニーズに合わせて開発の方向性を管理するプロダクトマネージャー(PdM)やマーケティングなどの職種も求められるようになりました。
このような職種からキャリアを広げられるため、今SaaS領域への転職が注目されています。
バックオフィスを支えるSaaS企業「マネーフォワード」
今回登壇された3名が所属する株式会社マネーフォワードの概要やプロダクトの特徴、ビジネスカンパニーの組織の特徴についてご紹介します。
■企業概要
会社名 :株式会社マネーフォワード
設立 :2012年5月(2021年東証一部上場 ※2022年4月にプライム市場に移行)
代表者 :代表取締役社長CEO 辻庸介
本社 :東京
正社員数:1,259人(2021年11月末時点 連結)
同社は、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げ、「すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。」をビジョンとして事業を進めています。
■プロダクトの特徴
創業当時は、個人向けに提供するお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』からスタートしています。知名度がアップするにつれ新規利用者が増え続け、2021年4月時点で、1,200万人を超える規模となりました。
一方で売り上げを見ると、全体の50%以上が法人向けのバックオフィス向けSaaSで、10%強がSaaSマーケティング支援など。全体の約7割はtoBサービスが占めています。
実は「toBも強い」のがマネーフォワードの特徴です。toBサービスのなかでも、バックオフィス向けSaaS領域を担当するのが、本日登壇の3名が所属する、マネーフォワードビジネスカンパニーです。
■マネーフォワード ビジネスカンパニーの事業概要/組織図
マネーフォワードビジネスカンパニーでは、バックオフィスで発生する「手入力」「転記」といったアナログな業務を効率化し、企業の成長支援に注力できる「強いバックオフィス」のサポートを目指しています。
さまざまなステージの企業が導入できるプロダクトを展開し、上場企業から中堅企業、IPO準備企業、社員数1,000名を超える大企業まで、幅広い顧客基盤を構築しています。
マネーフォワードはHorizontal SaaSの部類に入りますが、特定の分野や機能に特化せず、人事労務、経理財務において幅広い領域をカバーしています。
最近では、新たに法務領域のプロダクトもリリース。スピーディーにプロダクトの拡充を行っている点も事業の特徴です。
多くのプロダクトを扱うため、ビジネスカンパニー内では事業部制でPDCAを高速化、意思決定をスピーディーに行える組織設計をしています。つまり、社員約1,200名の規模になっているものの、スタートアップのような実体を兼ね備えているんです。
マネーフォワード役員×若手のリアルなキャリアトーク!
ONE CAREER 佐賀(以下、佐賀):ここからはマネーフォワードの役員と若手による、キャリアトークです。入社したばかりの伊藤さんから、自己紹介とこれまでのキャリアを教えていただけますでしょうか?
マネーフォワード伊藤(以下、伊藤):私は2016年に新卒で三井住友カードに入社し、法人営業やコンタクトセンターマネージャーを経験後、2019年に外資系ベンチャー企業のUiPathへ転職し、パートナーセールス・アカウントエグゼクティブを担当していました。
マネーフォワードへは2021年9月にクラウドERP本部にジョインし、上場準備中の企業のバックオフィス支援や業務効率化の提案をしています。
三井住友カードへ入社した理由は、クレジットカードを通じて世の中を便利にしたかったから。入社後は、事務作業が多いことを痛感し、労働生産性向上の必要を感じていました。
それから、社会の労働生産性に貢献できそうな、RPAによる作業自動化を扱うUiPathへ転職。しかしそこでは新たに、RPAはメンテナンスに工数がかかることに課題を感じました。大企業ならリソースを確保できますが、日本で99.7%を占める中小企業には価値を提供できていない。
SaaS企業のマネーフォワードなら、中小企業の労働生産性にも貢献でき、かつ三井住友カード時代の金融やITに関する知識をいかせると考え、入社を決めました。現在入社して4カ月目ですが、激動の日々を送っています。ひとり立ちしたあとにチーム異動も経験しつつ、すでにいろんなチャンスももらっていますね。
佐賀:バックオフィス部門のSaaSに惹かれることは分かりますが、なぜマネーフォワードだったのでしょうか?
伊藤:中小企業から個人事業主まで幅広いプロダクトを扱っており、業務の幅が広く、やりがいがありそうだったためです。また、MVVC(ミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー)が全社員に浸透し、人柄が魅力的だったのもポイントでした。
佐賀:寺嶋さんも、自己紹介とこれまでのキャリアを教えてください。
マネーフォワード寺嶋(以下、寺嶋):私は2014年に新卒で株式会社パソナに入社し、人材紹介エージェントの企業と個人の斡旋支援をしていました。その後2019年3月にマネーフォワードに入社し、フィールドセールスに従事、現在はクラウドERP本部に所属しています。
パソナには志望企業を見つけたいと転職前提で入社しました。そこからマネーフォワードに転職した理由は、SaaSは売り切ってしまうだけでなく、お客さまのサクセスまでご支援できるので、間違いなく伸びると思ったから。
また、二児の父親として今後の人生とお金について考えるなかで、マネーフォワードの個人向けサービスに注目していました。ユーザーの声を反映してどんどん新サービスを展開している点に魅力を感じ、入社を決めましたね。
入社後は、士業向けのパートナーセールスに従事していました。しかし、エンドユーザーにもっと触れることができる直販に魅力を感じ、クラウドERP本部に異動。1年間のセールス経験が生き、MVPを獲得しました。
佐賀:異業界からの転職ですが、MVPを獲得できた理由は何だったのでしょう?
寺嶋:組織の根幹になるのは人です。お客さまやチーム、他部署へのリスペクトが鍵だったのかなと。仕組み作りをするうえで、周囲の力を借りながら変化を促せたのが理由の一つだと思っています。
佐賀:また、前職の方が昇給の可能性が高そうですが。
寺嶋:今後ますます健康寿命が伸びる中、生活の大半を占めるのは仕事です。そう考えるとお客さまに良いものを届けられ、自分も楽しめる仕事を選んだ方が、自分も企業も幸せになれる。なので、家族の同意を得て、転職に踏み切りました。
佐賀:最後に工藤さん、自己紹介とこれまでのキャリアを教えてください。工藤さんは、ゼネラリストのキャリア形成ですよね。
マネーフォワード工藤(以下、工藤):私は2007年に新卒でパーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社し、法人営業を経て、プロダクト企画と、プロダクト&マーケティング戦略でのマネージャーを経験してきました。
その後、2020年1月にマネーフォワードへ入社し、ビジネスカンパニー執行役員兼クラウド経費本部・本部長を務めています。おっしゃる通り、私はゼネラリストのキャリアを歩んできました。
最初は求人広告を販売する営業に従事し、トップセールスまで上り詰めたのですが、突然プロダクト企画へ異動することになって。そこではこれまでの経験が通用せず、一からの学び直しが必要でしたが、マネジメントに昇格することができました。
しかし今度はマネジメントについて理解しておらず、「自分のコピー」を作ろうとしてしまい、再びつまづきます。それでも、周りのアドバイスを得て、徐々にマネジメントもうまくいくようになっていきます。
そんな中、30歳を過ぎて今後のキャリアについて考え始めました。やりがいがあって、企業の生産性向上に貢献できるものを生業にしたい。そんな想いから、マネーフォワードに入社しました。
キャリアパスの鍵は専門性 or 汎用性?
佐賀:セールスとして専門性を突き詰めた寺嶋さんと、セールスから他職種へと汎用性を広げ、ゼネラリストのキャリアを歩む工藤さんに、それぞれお話を伺います。寺嶋さんはなぜ、セールスの専門性を突き詰めるキャリアを選んだのでしょうか?
寺嶋:理由は二つあります。一つは、会社の顔であるセールスで、SaaSを通じてお客さまの変化を実感しながら支援したかったから。もう一つは、セールスはとても奥深く、やり方一つでお客さまの反応が大きく変わることに面白みを感じたからです。自分は正直飽き性ですが、営業の業務フローはさまざまにあります。
業務のなかで一つずつ自分でテーマを探して組み立て、改善していくことで、飽きずに楽しみながら総合的な営業スキルを深められていると感じます。近年はできることが増えてきたという実感もあり、セールスの仕事がさらに面白くなっていますね。
佐賀:急成長企業だからこその面白さとは何でしょう?
寺嶋:マネーフォワードはメガベンチャーのように見えますが、整備されていない部分がたくさんあります。且つ、誰かが改善の提案をしたら組織的かつ建設的に取り組んでくれる社内環境です。個人の動きが会社の向上にダイレクトに反映されるのは、急成長企業特有の面白さではないでしょうか。
また、マネーフォワードにはさまざまな部署やポジションがあるので、多様なスキルを得ることができます。
私は最初に携わったパートナーセールスの、グロースから1→10を生み出した経験はとても身になったと実感しています。今のクラウドERP本部では、限られたリソースで0→1を生み出す力が培われていますね。
佐賀:一方工藤さんは、なぜゼネラリストのキャリアを選んだのでしょう?
工藤:お話したように、企画職は自分が望んだキャリアではなかったので「作っていただいた」と言った方が正しいです。自分からゼネラリストになろうとしたわけではないので。
佐賀:ゼネラリストでありながら、上場企業の執行役に抜擢されるほどのスペシャリティはどのように身に付けたのですか?
工藤:汎用的に全ての業務を取り組んだことに加え、マネジメントスキルは意識して身に付けてきました。
組織の成長フェーズでは、どうしてもさまざまな部分を取りまとめるためにマネジメントが必要になってきます。ですのでそのフェーズに、私のスキルがカチッとはまったんだと思いますね。
SaaSセールスの更なるキャリアアップを目指して
佐賀:経営層を目指している方へアドバイスをお願いします。
工藤:スペシャリスト、ジェネラリスト、どのようなキャリアを歩んでも、経営層を目指すことはできます。
ゼネラリストの道を歩んだ立場から言うと、相手と同じ目線で何を大事にしているのかを考えられることは、一つの強みになると思います。
間違いなくいえるのは、全ての面で経営者が相手よりスペシャリティを持つ必要はないということ。対象を抽象化・応用化する能力を培うと、スペシャリティを持つ人たちのマネジメントがよりうまくいくんじゃないかなと思います。
佐賀:マネーフォワードのキャリア開発やスキルアップで力を入れていることを教えてください。
工藤:キャリア開発に関しては、主体的にキャリアデザインできる人は、容易にキャリアアップしていける面があります。
マネーフォワードには能動的にジョブチェンジを望む社員を支援する文化が育っており、「チャレンジシステム」という、半年に1回、社内のオープンポジションに自ら応募できる制度もあります。
また、社員の自主性に寛容でボトムアップの感性を持つ社風です。当事者意識を持つ社員をポジティブに支援するカルチャーが通底していますね。
佐賀:セールスパーソンがキャリア形成で持つべきマインドセットとは何でしょう?
寺嶋:ユーザー起点の考え方が大切だと思っています。言い換えると、日々の業務でお客さまに価値を届けるために、何ができるか突き詰めること。この視点を培うことは、後天的に自分のキャリア形成に繋がっていくと感じますね。
工藤:キャリア形成の答えは一つではありません。マネーフォワードには対話の文化も根付いており、先輩と相談しながら、キャリアを検討・形成することもできます。
当事者意識のある人が裁量を持って働ける環境
佐賀:マネーフォワードはどんな人に向いていますか?
伊藤:まだ整備されていない部分もたくさんあるので、一から事業に関わることができます。裁量を持って働きたい人、自分で何かを作り上げたい人に向いてますね。
寺嶋:「どうやったらできるか」をチームで考えて作り上げているので、「まずやってみよう」というマインドを持っている人が歓迎されます。
工藤:高い当事者意識、推進力を持つ人にはうってつけな環境です。社会貢献しつつ、お客さまに価値を提供したい人には向いていますし、それをかなえられる土壌がマネーフォワードにはあります。
佐賀:最後に、転職で悩んでいる参加者へメッセージをお願いします。
伊藤:マネーフォワードはオンボーディングもしっかりしていて、チャンスも多い会社です。いろんなことに挑戦できるので、ぜひご応募してほしいです。
寺嶋:とても温かみがある会社なので、転職をするかどうかは別として、話を聞くだけでも大歓迎です。ご興味ある方はご連絡ください。
工藤:キャリアの考え方や仕事のあり方は一つではありません。少しでもマネーフォワードに興味があるのなら、気軽に門を叩いていただければと思います。
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