転職活動で必要になる職務経歴書。よくあるテンプレートを参考に作成してみるものの「自分の場合は何を記載すべきかよくわからない」という声をよく耳にします。特に今回の転職で今の業務の延長ではなく新しい領域へのチャレンジを狙う場合、チャレンジ転職ならではの工夫が必要です。
そこでONE CAREER PLUSでは職種別×目指すキャリアパターン別に職務経歴書で気をつけるべきポイントと、すぐ使える例文・テンプレートを用意しました。本記事では、法人営業(銀行・証券)の職務経歴書について、25,000件以上のキャリアデータを知るキャリアアナリストの監修の下、解説します。
- 1.職務経歴書作成における注意点
- 1-1.チャレンジ転職の書類選考は、普通のテンプレでは通過しづらい
- 1-2.よくあるNGポイントと対策
- 2.法人営業(銀行・証券)の職務経歴書テンプレート
- 3.【徹底解説】法人営業(銀行・証券)の職務経歴書
- 3-1:職務要約|「何ができる人か」を端的に伝える要素抽出が鍵
- 3-2:職務内容|異業種の採用担当に理解してもらうには?
- 3-3:実績・成果|比較要素が印象アップにつながる
- 3-4:トピックス|成果創出の再現性を証明すべし
- 3-5:自己PR|目指すキャリアパターン別のアピールポイントは?
- 4.法人営業(銀行・証券)からの転職をプロに相談
- 5.ONE CAREER PLUSのご案内
1.職務経歴書作成における注意点
1-1.チャレンジ転職の書類選考は、普通のテンプレでは通過しづらい
書類選考を通過し、面接で会いたいと思ってもらうには「自社で活躍するイメージがもてるか」が重要です。
特に、今回の転職で未経験の業界や職種に挑戦するなど、少しでも「チャレンジ転職」の要素があるのであれば、よくあるテンプレートを用いたオーソドックスな職務経歴書では書類通過が難しいと言えます。
なぜなら、あなたの業務内容や仕事への向き合い方、成果創出の再現性を背景がわからない人に説明する必要があるからです。現在の経験から目指すキャリアへの距離が遠ければ遠いほど、職務経歴書は力を入れて、かつテクニカルに作るべきと考えてよいでしょう。
1-2.よくあるNGポイントと対策
職務経歴書を効率よく作成するうえでよくあるNGポイントを押さえておきましょう。NGポイントは大きく分けると「書類としての不備が多い」「募集ポジションでの活躍イメージが湧かない」の2点です。
まず、「誤字脱字が多い」「空欄が多い」「形式が整っていない」「内容がまとまっておらず冗長」など書類としての不備が多いとマイナスの印象を与えてしまい、あまりに不備が多いとこれだけで書類落選となってしまうこともあり得ます。文量は2ページ以内か、多くても3ページにおさまるよう内容を調整し、書類作成後に複数回読み直すことやテンプレートを活用することで対策しましょう。
次に、書類からその人の経験や強みが伝わらないために、活躍イメージが湧かないことです。例えば、一般的でない用語が使われていたり、実績のみで工夫した点がわからなかったり、情報の具体性・客観性がかけていたりすると、業務内容を記載していても「自社での活躍イメージがしづらい」と思われやすくなります。
では、具体的にはどのようなことを記載すればよいのでしょうか?次章からは銀行・証券ホールセール職の職務経歴書のポイントについて、テンプレート・例文とともに解説していきます。
2.法人営業(銀行・証券)の職務経歴書テンプレート
3.【徹底解説】法人営業(銀行・証券)の職務経歴書
ここからは、各項目ごとに職務経歴書作成の要点を例文を交えながら解説していきます。
3-1:職務要約|「何ができる人か」を端的に伝える要素抽出が鍵
◾️ 職務要約
20XX年、XXX銀行に入行後最初の2年はリテール営業として、個人や年商20億円以下の中小企業向けの融資提案を行い、2年連続収益目標を120%以上で達成。3年目からホールセール部門に異動し、上場企業を含む製薬・医療業界の大手企業を20社担当。100億円規模のファイナンス組成を過去に3件主導。
職務要約は、職務経歴書の中でも最初に採用担当が見る最も重要な項目です。「あなたはどんな経歴で、何ができる人なのか」を200~300字程度で端的にまとめることがポイントです。
銀行・証券の法人営業の場合、収益実績や社内表彰実績を記載するとよいでしょう。
記載する業務内容や実績は、定量的な表現を心がけましょう。端的な表現が求められるからこそ、職務要約で伝える経験・要素の選定は重要です。なお、複数の職歴・経験がある場合は同じ分量で経験・経歴を羅列するのではなく、目指すキャリアや応募先に合わせて伝えるメッセージを絞り、伝える情報量にメリハリをつける必要があります。
3-2:職務内容|異業種の採用担当に理解してもらうには?
[担当業務]
以下の観点を入れつつ、担当業務の概要簡潔に記載
・所属組織の特徴:営業メンバーX名、XXエリア担当/顧客の年商等
・提案商品:預金・貸付、資金調達(プロジェクトファイナンス/シンジケートローン)、資産運用、IPO支援、M&A仲介など
・顧客特徴:法人(従業員X人規模/年商X億円/上場or未上場/預かり金合計/担当者数など)、機関投資家、官公庁等
※個人の顧客も担当している場合はそちらも記載
[具体的な業務内容]
以下から選択
・クライアントへの定期的な訪問(4回/年|担当社数X社)
・案件のオリジネーション・ソーシング
・クライアントへの課題ヒアリング
・クライアントの財務分析
・マーケット調査
・融資、資金調達営業の計画・提案作成
・リスク評価
・提携金融機関の選定、条件交渉
・審査部など社内関係者との調整
・弁護士など外部専門家とのコミュニケーション
・稟議作成
・契約締結
・契約後の執行業務
・契約締結後のフォローアップ
・課(チーム)全体の業績管理
・メンバーマネジメント(10名)
・新規顧客の開拓
職務内容は、必要な項目を漏れなく・簡潔に記載することを意識しましょう。あなたの仕事を直接知らない人に業務内容を理解してもらうには、ビジネスプロセス(フロー)>担当商材の特徴>具体的な担当業務を記載することがおすすめです。
同じ職種であっても、所属する企業によって担当範囲が異なったり、業務レベルに違いがある場合も多いため、具体的な業務内容や担当範囲はわかりやすく記載すべきです。
さらに具体的な業務内容を記載する際は、人数・かかった工数・件数など数字を用いて説明すると、読み手がイメージしやすくなります。ただし、細かすぎて全体のページ数が増えすぎないように、文量は全体感をみながら調整しましょう。
3-3:実績・成果|比較要素が印象アップにつながる
[実績]
20XX年:収益 XX百万円(達成率XX%)
20XX年:収益 XX百万円(達成率XX%)
※そのほか社内表彰実績、部署やチーム内、同期で比較した時の営業成績の順位などでポジティブに見せられる実績があれば記載
実績・成果は、実績数値だけでなく目標達成率が必ずわかるような記載が望ましいです。
銀行・証券の法人営業職であれば、収益金額や売上が王道すが、社内表彰実績や、部署内での順位などで、ポジティブな実績がある場合は記載すると良いでしょう。
また、部内、社内、業界内の平均との比較や前年比、前任比など比較できる要素を入れることで、印象アップにつながる場合があります。リーダーやマネージャーの役割を担っている場合は、個人成果だけでなく所属組織の成果も記載するようにしましょう。
3-4:トピックス|成果創出の再現性を証明すべし
[トピックス]
トピックス例①差別化を意識した予算達成
20XX年度、個人収益目標を120%で達成。目標達成に向けて、私が担当するXXエリアでは新規顧客の開拓余地が少ないため、既存顧客のシェア増を最優先課題としました。具体的には、既存顧客には必ず月1回以上の面談設定を行い、経営状況や競合提案の状況を詳しくヒアリングしました。持ち帰ったPL/BSの情報や競合情報を基に、提案のタイミングや内容を上司と毎日すり合わせを行い、アクション管理をしました。その結果、担当顧客40社中27社について前年度からシェア率が3%以上増加し、個人の収益目標を前年比150%・目標比120%で達成することができました。
トピックス例②大型ファイナンスの組成
某大手製造企業の海外進出に関わる資金調達案件(300億円規模)について、プロジェクトを主導した経験があります。それまでに国内上場企業向けのプロジェクトファイナンス案件を2件手がけた経験があり、そこでの調整力や交渉力を評価され本案件に抜擢されました。顧客の経営陣、提携金融機関の担当者、社内の審査部、外部弁護士等とのやりとりにおいて、それぞれ相手の目線に立ったコミュニケーションを徹底して行い、円滑なプロジェクト進行を心がけた結果、当初想定していたタイムライン通りに資金調達を実行できました。
定量的な実績・成果の下にはトピックスとして、数字だけではわからない「成果を出せた背景や工夫したポイント」を必ず記載しましょう。特にチャレンジ転職においては、「環境が変わっても成果を出せるか?」を採用側が判断するうえで、あなたの仕事に対する向き合い方や強みが伝わることが重要です。
成果の再現性をアピールするうえでは、以下のようなポイントで自身の仕事を振り返ったうえで、「結論→課題→打ち手→結果」の構造で記載することで読み手に伝わりやすくなります。
【ポイント】
- 自身が置かれている状況で、前提として説明すべきことはないか?
- 外部要因や、所属組織の状況などで成果創出に影響するもの
- 定量成果は、相対比較できる情報を伝えられているか?
- 部内、社内、業界内の平均との比較や前年比、前任比
- あなた「ならでは」の工夫や取り組みはないか?
- 他の人は行っていなかったが、意図をもって行った工夫
- 会社から与えられた役割にとどまらず、成果創出や組織貢献のために自発的に行ったこと
なお、職種にかかわらず以下のような経験・結果はアピールポイントになるため、トピックスや自己PR、職務要約のいずれかに実績として盛り込むことがおすすめです。
【職種にかかわらず、評価されやすい経験】
- マネジメント経験
- 育成、ナレッジシェア、仕組み化への貢献などイネーブルメントに関する経験
- ゼロ→イチでの組織立ち上げや事業立ち上げの経験
- 早期昇格/昇進など、会社から高く評価されていた事実
3-5:自己PR|目指すキャリアパターン別のアピールポイントは?
◾️ 自己PR
1)財務分析力
4年間の法人営業経験の中で、中小企業から東証プライム上場企業まで、多様な企業に対する融資・資金調達の提案を行ってきました。この経験を通じて、高い財務分析力を培うことができました。例えば、ある中小企業に対する融資提案では、キャッシュフローと業界の成長性を詳細に分析し、通常の融資枠を超える提案を実現し、お客様からも高い評価をいただきました。また最初の2年間は中小企業への提案が中心でしたが、社内外で分析力を評価いただき、同期100人中3名しか配属されないプライム上場企業向けの提案チームに配属され、ある大手製薬企業の海外進出時の資金調達の提案も行いました。
2)プロジェクトマネジメント力
複雑で関係者の多いプロジェクトを着実に進行するプロジェクトマネジメント力に強みがあります。金融の法人営業という仕事柄、一人で完結する仕事がなく、関わるステークホルダーは社内外含めて20人以上、取り扱う金額は100~1,000億円単位のプロジェクトを複数進行してきました。自身の目標達成のためだけでなく、関係者の利害を常に意識し、顧客のフロント担当者とその上司、社内の関係者それぞれが同じ方向を向いて課題解決ができるようなコミュニケーションを心がけることで、円滑なプロジェクト進行に繋がったと考えています。
自己PRは、応募先企業に自身の特徴や強みをプラスアルファで伝えるチャンスです。トピックスと同じく、エピソードをまとめる際は、「結論→根拠→具体的なエピソード」の構造で整理することで読み手に伝わりやすくなります。
複数の自己PRがある場合は、応募先の業界や職種に合わせてアピールポイントをチューニングするとより良いでしょう。目指すキャリアパターン別のアピールポイントは以下のとおりです。
3-5-1. 法人営業(銀行・証券)からコンサル・FASへ:
近年、注目が集まるコンサルティングファームへ転職するケース。銀行・証券の法人営業経験者に対して、企業からは「ビジネスパーソンとしてのポテンシャルの高さ」「財務会計の基礎知識」「経営・事業の分析力」を評価される傾向にあるため、こうしたポイントがアピールできるようにエピソードを整理すると良いでしょう。
特に現職でM&Aの提案を行なっていた場合や、財務会計の知識をプロフェッショナルとして極めてきた場合は、その専門性が買われFAS(ファイナンシャルアドバイザリー)への転職ができるケースもあります。
3-5-2. 法人営業(銀行・証券)から上場メガベンチャーの営業系職種へ:
新たな職種への挑戦や裁量権を求めて、メガベンチャーと呼ばれる企業を中心とする上場済みベンチャーへの転職を決意するケースも多く見受けられます。
企業側としても、これまで顧客と折衝してきた経験や目標達成経験を高く評価し、部門を引っ張っていく立場になれる人を求めています。
この転職ケースでは、現職と比べて応募先企業の方がよりスピーディーな業務推進が求められる傾向にあります。ルールに囚われすぎない柔軟性や、正解が定まらない中でも自分なりに仮説を立てスピーディーに行動できる、という点をこれまでの経験からアピールできると良いでしょう。
3-5-3.法人営業(銀行・証券)から上場メガベンチャーの経営企画へ:
上場スタートアップやメガベンチャーへの転職で、営業職ではなく経営企画職でジョインするケースも。コンサル転職へのケースと同じく、企業からは「ビジネスパーソンとしてのポテンシャルの高さ」「財務会計の基礎知識」「経営・事業の分析力」を評価される傾向にあります。
3-5-4.法人営業(銀行・証券)からM&A・不動産・保険の営業へ:
営業力を武器に、収入アップが見込めるインセンティブが大きい業界に転職するようなケースです。厳しい係数管理のもとで培った高い営業スキルを持っている銀行・証券の法人営業担当者は、高単価商品を扱う企業に高く評価されます。
営業実績や目標を達成するためにどのような工夫を行なったか等のエピソードを話せると良いでしょう。また、金融や経済に関する知識も転職先で活かせるケースがあるため、資格を保有している場合は職務経歴書に記載しておくと良いでしょう。
3-5-5.法人営業(銀行・証券)から異業界・異職種へ:
業界も職種も新しい領域にチャレンジする場合は、ビジネスパーソンとしてのポテンシャルの高さをアピールする必要があります。
そのためには自己PRでは、現在の職種や役割に囚われすぎず「客観的に困難な状況で、自ら思考し周囲を巻き込んで解決した経験」を基準にエピソードを選定すると良いでしょう。
また、応募先企業に入社後に「新しい知見や業務をキャッチアップする力」を証明できるようなファクトも必要です。
4.法人営業(銀行・証券)からの転職をプロに相談
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