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市場価値を上げるエンタープライズセールスの魅力とは? 急成長企業こそ求められる営業力

SaaSビジネスを行う上で重要視されている「エンタープライズセールス」。大手企業に向けて売上拡大を狙う営業手法のことをいいます。


大手企業は1案件あたりの売上が高く解約率が低い特徴を持つため、成長したい企業の多くがエンタープライズセールスの経験を持つ人材を求めています。また、セールスパーソンとして市場価値を上げたい人にも向いている職業といえるでしょう。


今回は、ONE CAREER PLUS キャリアアナリスト 佐賀 駿一郎がモデレーターとなり、株式会社SUPER STUDIO セールス&マーケティング本部 エンタープライズセールスグループ グループマネージャー 赤木 俊介氏と株式会社RightTouch 代表取締役 野村 修平氏に「エンタープライズセールス」をテーマとした話を深掘り。


そもそもエンタープライズセールスとは何か、なぜエンタープライズセールスが求められているのか、今後のキャリアパスも含めて紹介します。




登壇者①

・株式会社SUPER STUDIO 赤木 俊介氏

セールス&マーケティング本部 エンタープライズセールスグループ グループマネージャー。Webサービス運営企業でシステムエンジニアを経験した後、大手ECパッケージベンダーにてシステム開発プロジェクトを推進。ECやBtoBサイトの立ち上げ、要件定義から開発まで、クライアントに併走しながら様々な業務を経験。2020年にSUPER STUDIOに入社し、現在はエンタープライズセールスグループのマネージャーを務める。


登壇者②

・株式会社RightTouch 代表取締役 野村 修平氏

Works Applicationsにて、Senior Vice Presidentとして大手企業向けセールスチームの統轄・カスタマーセールスチームの立ち上げ。北米事業の立ち上げを副社長で経験、アメリカのデジタルマーケティングの進歩を目の当たりにし、日本に帰国と共に、2018年12月よりプレイド参画。大手クライアントのセールスチームリーダーの後、RightTouchの創業。ビジネス全般をリード。


登壇者③

・ONE CAREER PLUS キャリアアナリスト 佐賀 駿一郎氏

2016年ビズリーチ入社。転職サービス営業、新卒採用人事を担当。その後2019年、ワンキャリアへ入社。キャリアアドバイザー、イベント企画や司会を経て、現在はONE CAREER PLUS事業開発を担当。


エンタープライズセールスの役割とは


佐賀:エンタープライズセールスとは、IT企業を中心とした大企業や大型クライアントの開拓をする営業手法です。多くの企業ではSMB(中小企業)と差別化する目的でエンタープライズセールスを置いています。


しかし、企業によっては大手企業を相手にしていても開拓する部門が1つしかない故に、エンタープライズセールスとは言い切れない可能性も。なので、まずは認識を合わせるためにもエンタープライズセールスの具体的な役割や職種についてお話しいただきます。


エンタープライズセールスとSMBの違い





野村:エンタープライズセールスの特徴として、ステークホルダーの多さが挙げられます。数百人のステークホルダーと会う一方で、SMBはリードをとってから商談をし、クローズするまでの過程で関わるのは5名程度です。


一般的にエンタープライズの予算は年に1,000万は超えるので、役員会議や社長の決裁をとる必要性が高まり、それに伴い関わるステークホルダーが増える傾向にあります。相手の組織力学を押さえた上で営業をしなければ、意図した通りの受注はできないことが難しい点です。


エンタープライズセールスとSMBのスキルの違い





野村:スキルの違いでいうと、SMBのセールスは基本的に商談からクローズまでが短いので、短期間で顧客の信頼を得る必要があります。トークやキャラで気に入ってくださることや、組織・業界の知識で顧客を圧倒するなど、様々なやり方がある中で瞬発力をベースにクローズしていかなければなりません。


一方で、エンタープライズセールスではロジカル思考や組織力学を探索していく力、継続力が求められます。これまでの人脈も大切ですが、必ずしもずっと同じ業種のプロダクトに転職するわけではありません。ドメインが変わった時に自社のターゲットになるような顧客に検討していただくための接点づくりが大切です。


営業としてのキャリアに迷っている方がいましたら、どちらが自分に向いているかを考えると目指すべき方向性が見えてくるかもしれません。





野村:こちらはエンタープライズセールスのスケジュール感を図式化したものです。基本的に大企業は随時の予算で投資するのではなく、前年の秋冬あたりから来期計画を話し合い、決まったテーマに合わせて予算がつきます。


直前のフェーズでは案件がほとんど取れない傾向にあり、スケジュールを逆算して営業活動を行わなければなりません。単価が上がるほど意思決定は遅くなり、予算が1億円を超える場合は数年かかることも珍しくありません。


企業は未経験者を育成できるのか




佐賀:1年をかけてエンタープライズセールスの活動が1周するとなると、やはり未経験でチャレンジするのは難しいのでしょうか?


野村:基本的にはできるのではないでしょうか。ただ、マネージャーや部長クラスの方がエンタープライズについて知らずに組織を立ち上げるのは難しいかもしれません。もし経験者がいるのであれば、その方を中心に新卒社員や未経験者を育てていくことは可能だと思います。


佐賀:赤木さんはどのようなタイミングでエンタープライズセールスのキャリアをスタートされましたか?


赤木:前職の大手ECパッケージベンダーに入社した2016年です。そのため、エンタープライズセールスの中では若手といえます。幸運なことに、前職ではクライアントが大手企業に限定されていたので、営業形態もエンタープライズ向けに標準化されていました。


そこでは、野村さんがお話しされていたエンタープライズセールスの素養を求められていたので、それらのスキルを得られたのはよかったですね。


急成長企業に求められるエンタープライズセールス




佐賀:エンタープライズセールスの重要性についても伺いたいのですが、どのような会社で今求められているのでしょうか?


野村:やはり成長されている企業だと思います。大企業が提供する商品やサービスを利用する消費者は多く存在します。このような顧客層に対して自社のプロダクトが広がっていくというのは、社会的な貢献やインパクトがかなり大きいのではないかと思います。


また、大企業と初めて契約を結ぶ際には、プロダクトやサービスに対して多くのフィードバックが寄せられることがあり、これらを乗り越えるのはとても大変なことです。しかし、このハードルをクリアすることで次のステップに進むことができます。業界にインパクトを与える大企業の顧客をお客様にするということは、その後の成長に大きく影響します。


佐賀:まさしく今、SUPER STUDIOさんはエンタープライズに力を入れているタイミングだと思います。そちらについて詳しく教えてください。


多岐にわたるソリューションを開発・提供する「ecforce」





赤木:まず弊社が開発・提供している統合コマースプラットフォーム「ecforce」についてご紹介します。もともとecforceはスタートアップやSMBのEC/D2C事業者を対象に、SaaS型のEC構築システムとして提供していました。


しかし現在は、統合コマースプラットフォームとして、ECだけでなくモノづくりのビジネス全体を最適化することを目指し、スタートアップ企業からSMB企業、エンタープライズ企業まで導入をいただいています。また、機能的なアップデートはもちろん、コンサルティングやサプライチェーン全般における支援など、幅広い領域で包括的に事業者の成長に貢献できるよう取り組んでいます。


SaaS型ECで成長率No.1*





赤木:まだまだ成長段階ではありますが、弊社はSaaS型ECの成長率において国内No.1*の実績があります。2020年以降は急速に導入ショップ数を増やしており、先ほどご紹介したecforceをベースに、様々なソリューションやプロダクトの拡充が進んでいます。


特に大手企業が流通額を大きく牽引しているため、エンタープライズセールスとして大手企業のecforce導入を進めることが重要だと考えています。


*有料市場調査レポートより自社調べ。尚、当該調査レポートについては、調査機関において調査依頼を行い、当該調査に承諾したSaaS型ECサイト構築市場に該当する企業のみを比較対象として選出 / SaaS型ECサイト構築市場における売上上位8社のみを対象、自社プロダクトを提供していない企業を除く / 集計期間:2022年4月〜2023年3月



営業活動を通して得られるスキル





赤木:もう少し具体的なお話をすると、弊社はSaaS型のサービスとしてecforceを提供しているものの、自社のシステムを強く売り出すことはしていません。すでにシステムを導入している大手企業の場合、最初からシステムの話をすると門前払いされる可能性があるからです。そのため、既に導入されているシステムとecforceとの差分を考慮し、相手が抱えている課題に対して提案させていただくようにしています。


また、各部署と連携してプロダクトの価値向上にも努めています。大手企業がECをリニューアルする際は、弊社内でプロジェクトチームを組んで機能をアップデートすることもあります。社内外の様々な関係者と調整しながらプロジェクトを進めていくことで、エンタープライズセールスとしてのスキルが身につきます。





佐賀:各企業によって意見が異なる側面もあると思いますが、どういったことに耳を傾けながら調整しているのでしょうか?


赤木:たしかに企業によって様々な意見があるので、解決策も一つではありません。お客様から難しい要望を出された際には、お客様と共に正解を導き出すように心がけています。お客様からいただいた要望から本当に価値のある機能を開発することで、プロダクトの価値そのものを向上させることができます。


また、内部のリソースが足りないケースもあります。その際は、外部の開発会社に協力を仰いだり、ツールベンダーを活用することもあります。ケースバイケースで柔軟に対応し、バランスの取れた解決策を見つけることが重要です。


野村:多くの企業様が「うちは特別なんですよ」とおっしゃるのですが、ヒアリングをしていくと共通の要件や課題に落ち着くことが意外とよくあります。そういった意味でも、赤木さんの話を聞いていてヒアリングスキルは身につきそうだと感じました。


エンタープライズセールスのその後のキャリアについて




佐賀:野村さんはエンタープライズセールスを起点とし、現在は経営者としてご活躍されています。こうしたエンタープライズセールスのネクストキャリアについて解説いただけますでしょうか。


野村:年収だけ見ると外資系1択かもしれませんが、年収が増えたとしても幸福度は以前と変わらないという話もあります。30代を超えたキャリアの方が外資系に転職すれば、多くの場合年収1,000万は超えると思うのですが、その後のキャリアがセールスに偏ることがほとんどです。


セールスに転職するのが問題ない方もいますが、それ以外のキャリアパスに進みたい場合、給料を下げてまで他の分野に転職することは踏み切れないと感じる方も多いようです。


Biz dev、セールスVPへの道




佐賀:野村さんはご自身のキャリアの突き詰め方についてどのように考えていますか?


野村:私の場合、新卒の時から営業向きではないと思いながらキャリアをスタートしました。やはり、私自身セールスを突き詰めるよりも、セールスの力を使って事業を立ち上げたり拡大させたりする方に興味があります。このようなケースだと、ビジネスの開拓や事業の立ち上げに携わり、将来的にはプロジェクトマネージャーや企業のルール設計など、事業創造に関連するキャリアを目指す方向性になるのかなと。


一方で、セールスを本格的に突き詰めたいと考える方は、CROやカントリーマネージャーなどの役職に進むことも選択肢の1つでしょう。自分にとって本当にやりたいことをベースに、どちらの方向が自分に合っているのかを考え、明確に言語化することが重要です。


SUPER STUDIO社のキャリアパス




佐賀:SUPER STUDIO社のキャリアパスについても教えてください。


赤木:弊社はecforceを開発・提供するだけでなく、ECを中心とした様々なソリューションを展開しています。弊社で得た知見をもとに自身でブランドを立ち上げたり、EC/D2C領域のコンサルティングをしているメンバーもいます。


社内のキャリアパスに関しては、新規事業の責任者やプロダクトマーケティングマネージャーとしての経験などを積むことができます。また、エンプライズセールスグループは私が手を挙げて新設したのですが、このように新しい組織を立ち上げるチャンスもあると思います。


佐賀:野村さんにお聞きしたいのですが、エンタープライズセールスのスキルは、業界をまたいでも応用可能なポータブルスキルなのでしょうか? それとも特定の業界にフォーカスしていると、その業界特有の商習慣やドメインに紐づいてしまい、異なる業界での転用は難しいのでしょうか?





野村:ドメインの知識は基本的には学べば習得できるものだと考えています。企業としてはナレッジの体系化などの努力が必要ですが、基本的にエンタープライズセールスからは、異なる業界や商材にも適用可能だと思います。


あとは、業界への熱意を持つことが重要で、商材の種類に対する経験の有無はあまり関係がないというのが、個人的な見解です。


最後に





佐賀:ありがとうございます。最後に、採用情報のご案内をお願いします。


赤木:弊社はECを中心として、広範なビジネスを展開しています。その中でエンタープライズセールスに熱意を持って共に働いていただける方を募集しています。エンタープライズセールスの経験がある方にとってたくさんのチャンスがありますので、もし興味がございましたらご応募いただければと思います。


佐賀:キャリアチェンジも可能なのでしょうか?


赤木:弊社では様々なキャリアチェンジがあり、例えば営業から人事になったメンバーもいます。エンタープライズセールスは、プロダクト開発のメンバーと密にコミュニケーションを取ることが多くあり、プロダクトの開発方針に関して議論や意見出しを行うケースも頻繁にあります。そのため、将来的にプロダクトマーケティングマネージャーのキャリアを目指せる可能性もあると思います。


▼株式会社SUPER STUDIO 採用サイトはコチラ▼

https://careers.super-studio.jp/





野村:弊社は従業員数が30人を超え、急速に成長している段階です。現在の事業はエンタープライズセールスに焦点を当てており、セールスや事業開発など、ビジネスサイドを強化するために積極的に採用活動を行っています。


未経験者でも挑戦したいという意欲的な方も歓迎しており、現在のフェーズでは面白いキャリアが築ける可能性があるのではないでしょうか。ぜひ、応募お待ちしております。


▼株式会社RightTouch 採用サイトはコチラ▼

https://righttouch.co.jp/recruitment



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