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アクセンチュア出身者が語る、システム屋から”何でもできるコンサル”への進化論|辞めコン実録集 vol.39

コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。

そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。


  • いつファームを去るべきか
  • コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
  • 年収の増減をどう捉えるか


本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。




実録:専門に閉じないキャリアを目指して


自分の専門領域に閉じず、キャリアの可動域を広げ続けたい。

そんな思いを抱えながらアクセンチュアに入社し、四年間で一通りの開発工程を経験。その後、総合コンサルティングファームへ転職し、マーケティング案件から大規模インフラ戦略構築まで、多様な領域で成果を残してきたJさん。


その成長の裏側には、ロールモデルとの出会い未知領域への挑戦、そして顧客が自走できる組織をつくるという明確な思想がありました。本記事では、Jさんのキャリアの軌跡と、コンサルを目指す人へ伝えたい具体的なアドバイスを紐解きます。






仕事の幅を閉じたくないという直感


理系大学院で数学を学んでいたJさんは、就職活動の時点で自分のキャリアに対して独自の感覚を持っていました。メーカーの研究職への推薦も多く届く中で、「この先40年、研究職として働き続ける自分を全く想像できなかった」と語ります。長期的なキャリアを思い描いたときに必要だと考えたのがITスキルという汎用的な武器でした。


ただ、その一方で、ITの専門家として今後のキャリアを築いていくわけではない、という考えも抱えていました。Jさんは「SIerに行きたいと思ったけれど、できることがシステムだけに閉じたくないとも思った」と話します。ITの専門性を付けつつも、将来的に多様なフィールドへ踏み出せる状態を保ちたい。専門に縛られずキャリアの可動域を広く残したいという思考が、就活時点ですでにあったのです。

そこで目に留まったのがアクセンチュアでした。



先々を見据えたときに、SIerに行くとキャリアがシステムに閉じてしまう。でもアクセンチュアならITを学びつつ、戦略上流にも関われる可能性があると思いました


SIerではなくアクセンチュアを選んだ背景には将来の選択肢を狭めないという強い意志がありました。入社後に配属されたのはテクノロジー本部のインフラ領域。サーバーやネットワークを扱うチームで、業界横断的にプロジェクトへ関わる環境でした。Jさんは「最初の一年は開発以外の案件もありましたが、その後の三年間でシステム開発案件を一通り経験しました」と振り返ります。


ITに強みを持ちながら、一つの専門領域に閉じないキャリアを志向する。Jさんが後の転職で活躍する基盤は、このアクセンチュア入社以前からの戦略的なキャリア観によって築かれていたのです。






上流と下流のねじれを見抜く力


アクセンチュア時代、Jさんが特に強く記憶に残っているのが、大手二社の合併に伴う基幹システム統合プロジェクトでした。数百名が携わり、4〜5年をかけて進められた巨大案件です。Jさんはその一部を担いながら、「スケールが大きくなるほど、上流工程の質が全てを左右する」ことを痛感します。


二社の業務を統合した後に要件定義が行われたものの、その整理が甘かったため、現場では至るところに抜け漏れの課題が潜んでいたといいます。Jさんは当時を振り返り、「自分たちはインフラとして決められた性能や構成を提供しに行くのに、ユーザー部門に話をすると『そんなの聞いていない』『これじゃ業務にならない』と返されることが多かった」と語ります。要件定義は存在するはずなのに、うまく共有されていない。そのギャップを埋めるために、PMOが日々奔走していました。


特に印象的だったのが、上流を担当する戦略側のチームと、開発を進める現場側とのねじれでした。


Jさんは「システムがわからない人が要件定義するとこうなるのかもしれないですね」と振り返ります。実装フェーズに入って初めて辻褄が合わず、開発側が苦しむ構造。請負契約のためスコープ外の対応は簡単にはできず、調整の連鎖が続いていく。上流の一つの判断が下流の数百人を数ヶ月動かすという事実を、身をもって知る経験になりました。


それでもJさんは、この環境を単なる苦労としてではなく、未来への材料として捉えていました。


開発としての関わりでしたが、将来的に自分がPMOを行うことを想定して、どこで認識の齟齬や検討漏れが生まれるのか観察しながら働いていました。いつか上流に行くなら、ここを理解していないといけないと思ってました


さらにフォローアップの現場では、APP側とインフラ側、ユーザー部門の間で責任の押し付け合いが起きる場面にも多く直面しました。調整すべき課題はまずPMOに上げ、そこから全体へ展開される仕組み。巨大プロジェクト特有の、構造的なコミュニケーションの難しさを学んだといいます。


当時は苦労したもののこうした経験は、Jさんにとって貴重な経験だったと振り返ります。巨大プロジェクトの内側で、何が本質的な問題なのかを見抜く力。上流工程での判断が持つ重さ。そして、構造が正しくなければ現場がどれほど疲弊するか。

これらはすべて、後にコンサルタントとして幅広い領域に挑戦するための土台になりました。






転職決断の理由


アクセンチュアでの4年間を通じ、Jさんは一貫して「自分が持ち帰るべき経験」を意識しながら働いていました。プロジェクトにアサインされる際も、単に業務量や難易度で判断するのではなく、システム開発工程の中で未経験のフェーズを埋めることを最優先にしていたといいます。


参画する案件は、経験した部分と経験していない部分を明確に分けていました。次に何を学べば全体像がつながるのかを考えて、案件を選んでいました


こう語るJさんの働き方は、いわば自分自身のスキルマップを描きながら、その穴を意図的に埋めていく。その仕事の選び方は、プロフェッショナルそのものでした。一方で、周囲には異なるキャリア観を持つ同期もいました。


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ワンキャリア転職編集部

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