2025年冬のボーナスが歴史的な転換点を迎えた。全産業平均で初めて100万円の大台(102万9,808円)を突破し、夏のボーナス(99万848円)から約4万円のプラスを記録している。
そこで本記事では、ワンキャリア転職に寄せられたクチコミをもとに高額支給を実現する業界・企業の年収実態を詳しく分析する。
1. 2025年冬ボーナスの全体傾向:100万円突破で過去最高
日本経済新聞が発表した「2025年冬のボーナス調査」によると、業種別の支給額の全体傾向は以下の通りだ。
(出典)日経新聞の調査内容をもとにワンキャリア転職にて/作成。2025年12月2日時点の内容
1-1. 歴史的な100万円突破の背景
日本経済新聞社がまとめた2025年冬のボーナス調査によると、1人あたりの平均支給額(加重平均)は前年比6.40%増の102万9,808円となった。1975年の調査開始以来、初めて100万円の大台を突破し、3年連続で過去最高を更新する歴史的な結果である。
今回の100万円突破の背景を読み解くと、これまでの業績好調による還元とは異なる構造変化が見て取れる。
▼基本給の上昇が賞与を底上げ
日経新聞の調査によると、企業が増額を決めた最大の理由は、「前期の業績」ではなく「給与水準(基準内賃金など)の上昇」である。2025年春闘での高水準な賃上げが基本給を押し上げ、それを算定基礎とするボーナス額が直接的に底上げされた形だ。
▼人材確保に向けた「防衛的な積み増し」
深刻な人手不足と物価高を背景に、人材の流出を防ぐための「防衛的な賃上げ」の側面も強い。事実、業績連動型ではない企業の伸び率が、連動型を大きく上回るなど、企業が人への投資を優先せざるを得ない実態が浮かび上がる。
1-2. 夏との比較で見える業界勢力図の変化
2025年夏の調査結果と比較すると、今回の冬ボーナスでは業種ごとに「伸びの勢い」の差が鮮明になっている。
▼非製造業の伸び率が製造業を上回る
夏のボーナスでは大手製造業の賃上げが全体を牽引したが、冬の調査では非製造業の伸び率(9.74%増)が製造業(4.99%増)を大きく上回る結果となった。これは、旺盛な建設需要や資材高騰を背景としたゼネコンの業績改善、さらにはインバウンド需要の恩恵を受けた鉄道・バスなどの非製造業が支給額を押し上げたためである。
▼「牽引役」の入れ替わりと外部リスクの影
今冬は建設や防衛関連が全体を牽引した一方で、夏に好調だった自動車や鉄鋼は伸び悩みが目立つ。日経新聞の分析によれば、米次期政権の関税政策による輸出への影響懸念が、製造業の支給姿勢に慎重さをもたらしたと指摘されている。
(参考)冬ボーナス初の100万円台、建設けん引 トランプ関税で車は伸び悩み、冬ボーナス、上位5社にゼネコン3社 業種7割でプラス
▼2025年夏ボーナスの傾向についてはこちらの記事でも詳しく解説しています
2. ボーナスが高かった業界の年収事情
ここからはボーナスの支給金額が大きかった業界や企業の年収事情について、ワンキャリア転職に集まるデータをもとに見ていく。
2-1. 商社業界:平均243万円。ボーナス比率40~50%で他業界を圧倒
商社業界の冬ボーナス平均243万円は、他業界を圧倒する数字だ。この数字の背景には、月給の延長線上にある一般的な賞与とは一線を画す、業界特有の報酬体系がある。
ワンキャリア転職に寄せられた5大商社のクチコミを分析すると、共通して「年収に占めるボーナス比率の高さ」が浮き彫りになった。「4年目以降はボーナスが年収の4-5割程度を占める(三井物産/新規事業企画・事業開発)」と語られる通り、商社の年収構造は業績に極めて敏感である。
以下は、クチコミデータから抽出したリアルな年収・賞与の実例だ。中には、年収2,700万円のうち1,800万円がボーナスという驚異的な比率を記録する事例もあった。
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