こんにちは、トイアンナです。
現在、各企業で副業解禁の流れが続いています。そのおかげでここ数年、多数のフリーランス人材が流入しました。
副業で使われるココナラ、クラウドワークスのようなスキルマッチングサービスは盛況。ココナラの決算も売上高・売上総利益ともに過去最高を記録しています。(*)
しかし、副業OKだからといって、副業へ力を入れすぎるとどうなるのか。今回は、典型的な「副業トラップ」にハマる事例を解説します。
副業で選ばれやすい職種は限られるためレッドオーシャンに
「副業」という単語から、みなさんはどんな職種を想像するでしょうか。私は、ライター、デザイナー、動画編集者といった仕事を即座に考えます。周りが考えることも同じようで、ここ数年、ライターを目指す方が急激に増えたのを同業者として感じます。
一方、ライターの継続率は悲惨なものです。
ライターのはにまる氏が集計した「最近Webライターとなった100個のXアカウントを追跡調査した」グラフによると、開業からわずか9か月で84%が廃業しています。
出典:はにまる氏のX投稿
私たちは日々、メールやチャットツールで毎日何かしらのライティングをしています。だからこそ、ライターにもなれるのではないか……と思いやすい。しかし、実際には生成AIの台頭もあって、初心者向けライター依頼は激減しています。
高単価の執筆案件を引き受けられるのは、現状以下の条件のうち、いずれかを満たす方だけです。
- 現地取材を行い、生の声を記事化できる方
- 大手企業の取材実績が豊富な方
- コピーライティングや法律などの専門分野で生成AIを超える執筆ができる方
- 多数のステークホルダーに気配りした文章が書ける方
- 法人化しており、大手企業と契約を締結できる方
一言でまとめれば、ライティングの世界は「初心者お断り」になっているのです。
これは、動画編集、デザインの仕事においても同じです。「生成AIにやらせればいい」と思われれば、初心者への依頼は無くなります。そこで重視されるのは、AIを超える能力か、過去の実績です。
この前提を踏まえずに副業デビューしても、閑古鳥が泣くだけ。
「やっぱり本業に集中するか……」と、すごすご帰るはめになります。
しかし、もっと大きな罠は別の場所にあるのです。
社内の機密を漏らし懲戒対象となった事例
とある会社で、社員が解雇されました。解雇理由は、社内の機密を漏らしたこと。社員のIさん(仮)は、自社で培った専門性を活かし、他社のプロダクト開発に携わっていました。副業の中でも専門性が高く、高い単価を得られるケースです。
ところが、その中でIさんは、自社の設計図を流用してしまいました。そのため、自社から商品が出る前に、他社から類似商品が発売予定となってしまったのです。クラウドファンディングのページで自社製品そっくりなライバル社のプロダクトを見た社長は激高。流出元を突き止めたところ、まさかの「副業でうっかり」が原因だと判明しました。
その企業はそれまで、懲戒解雇を一人も出さなかったことを誇りにするホワイト企業でもありました。しかし、他社への機密漏洩に言い訳の余地はありません。Iさんは、副業のせいで初めての解雇対象となってしまったのでした。
現在の業務内容を活かし、副業に応用するのは「よい」戦略です。たとえば、私もP&G時代にマーケターだった経歴から、メディアや採用のブランディングを支援することがよくあります。一方、P&G時代に使っていた思考のフレームワークは「一度でも世に出たことがある情報か」を調べてから扱うようにするなど、退職から10年以上たった今も機密保持に気を付けています。
副業の場合は、リアルタイムの自社情報を持っているのだからなおさら気を配らねばなりません。企業へ渡す情報が、すでにプレスリリースなどに出ている公のデータなら問題ありません。しかし、内部情報を「応用」するだけでも、解雇される恐れがあるのです。
高額スクールで案件補償をうたうも、得られるのは「他人の講座映像」
もう一つの罠が、高額講座です。昨今、副業を始めたい方へ向けた講座が増えています。生成AIの隆盛により「初心者お断り」となっているのなら、まずはスクールで中級者レベルになったほうが案件を取れる……というロジックです。
実際にそれは正しく、ライターなどはベテランに丁稚奉公したほうが、よほど早く稼げます。しかし、問題は「乱造された講座」も多数ある、という点です。
ある講座を受講したSさん(仮)はこう語ります。
さらに・・・



