内定承諾前は、転職活動において重要なターニングポイント。希望の企業から内定をもらえるとすぐに承諾したい気持ちになるかもしれませんが、選考過程でイメージしていた仕事内容・労働条件・就業環境と入社後の実態が乖離していたという話は珍しくありません。
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが転職活動のよくある疑問にお答えする特集「転職ノウハウまとめ」。今回は、入社後に後悔しないために、内定承諾前に必ず確認しておくべきことをお伝えします。
1.「内定承諾前」は転職活動で最も重要なタイミング
企業からの内定が出ると、「内定通知書」や「労働条件通知書」が送られてきます。労働条件通知書とは、企業での労働条件に関する情報が記載された重要な書類です。給与について、休日について、勤務地や仕事内容なども記されていますので、求職情報や面接などから自分の持っているイメージと、実際の労働条件に相違がないかを確認する最後のタイミングです。
・自身で転職活動をして応募した場合
求職サイトなどでご自身で直接企業に応募した場合、内定通知書及び労働条件通知書は企業から送付されます。疑問点や不明な点がある場合には、直接企業の担当者に相談しましょう。
・転職エージェント経由での転職活動の場合
転職エージェント経由で内定が出た場合、内定通知書及び労働条件通知書は転職エージェントから送付されます。疑問点や不明点がある場合は転職エージェントに相談します。また内定の承諾・辞退についても、直接企業に連絡を入れるのは避け、転職エージェントを経由して連絡しましょう。
転職エージェントを経由せず直接企業に連絡をしてしまうと、後々トラブルに発展する可能性もありますので、注意しておきましょう。
2. 内定したら注意すべき5つのポイント
内定承諾前には、大きく分けて5つの確認ポイントがあります。それぞれについての詳細な説明は後の項目でしますので、ここでは簡単な要点のみ説明いたします。
・①内定承諾期限:
いつまでに回答すればよいか、企業側が定めた期限を確認します。
・②スケジュール調整:
在職中の場合は、引き継ぎも含めた退職時期の目安を確認しておきましょう。複数企業の採用選考を受けている場合は、他の企業の結果がいつ出るかも確認が必要です。
・③内定承諾書の提出:
メール(もしくはまれに郵送)にて、企業へ内定承諾書を返送する方法を知っておきましょう。転職エージェント経由の場合は、転職エージェントへ提出するケースが一般的です。
・④労働条件:
企業側の定める労働条件についての確認です。内定通知書とともに労働条件通知書が送付されているか確認し、送付されていない場合には書面、またはメールで送付してもらえるように依頼します。
・⑤事前に聞いた情報と相違がないか:
ここが最重要ポイントともいえます。求人票(求人情報)と内定通知書、面接で聞いた情報に違いがないか、自分が抱いている企業のイメージと実際の就業に乖離がないか、確認ポイントを押さえながら、一つずつ比較してみましょう。
・ポイント①:内定承諾期限
転職活動による中途採用では、企業側が欠員補充で早く入社してほしいと考えている場合も多く、早めの回答が望まれます。回答期限は事前に確認しておき、「ゆっくり確認しているうちに期限が過ぎていた!」という事のないように、早めに回答するようにしましょう。
・内定承諾期限とは
企業に内定をもらってから回答するまでの期限です。ほとんどの企業が設定していますが、とくに期限を設けていない会社もあります。不明な場合はいつごろまでに回答すればよいかの目安を確認しておきましょう。
・原則、1週間程度
内定承諾期限は、内定通知日より1週間から10日以内と定めている会社が多くみられます。長めに設定される場合もありますが、一般的なマナーとして、内定通知から1週間以内を目安に回答をした方が良いでしょう。転職エージェント経由の場合、3日以内に回答が必要など急かされることもあります。期限までに回答できない場合は早めに相談しましょう。
・早めに返事をするのが良い
企業側から定められた期限ギリギリまで回答を保留するのはおすすめできません。企業側からしても、できるだけスムーズに採用をすすめたいと考えていますし、心証を悪くしないためにもできるだけ早めに回答しましょう。また、回答の際には、内定をもらったことへの感謝と共に、内定を承諾する(もしくは辞退する)ことが、明確にわかるように伝えることが大切です。
・ポイント②:選考スケジュールの調整
複数の企業の選考を受けている場合は、他の企業の選考スケジュール調整が必要になります。前述の通り、内定が出たら1週間以内に回答することが望ましいため、最初の企業から内定が出た1週間以内に、他の最終面接結果が出るように調整しておきましょう。
また、在職中であれば現職での引継ぎや退職交渉などもあります。「内定をもらったが、まだしばらく退職できない」という事態にならないよう、現職のスケジュールとも調整が必要です。
・回答期限の延長を依頼する場合
やむを得ず回答期限を延長してもらう場合は、1週間以内を目安に設定しましょう。その際は、内定をもらったことに感謝していること、すぐに返事ができないことを申し訳なく思っていることを伝えたうえで、「〇日まで、回答をお待ちいただけないでしょうか。」と、こちらから期日を決めて依頼します。
できればメールではなく、対面か電話でこちらの誠意を伝えましょう。延長の可能性があるとわかっている場合には、早めにその旨を申し出ることも大切です。
あまりにも長い延長期間や、複数回にわたる延長、期日を決めずに「もう少し検討したいのでお待ちください」などの一方的なお願いはマナー違反と言えます。企業側にも採用のスケジュールがありますので、配慮を忘れないようにしましょう。また、一度決めた延長期限は必ず守りましょう。
・ポイント③:内定承諾書の提出
郵送、またはメールで内定の通知が来た場合、内定承諾書の返送を求められる場合があります。郵送で提出する場合には、内定通知書や労働条件通知書と一緒に、内定承諾書及び返信用封筒が同封されていることが多いので、そちらを活用すると良いでしょう。
ただし、郵送は届くのに数日かかる場合もありますので、可能であれば直接お届けするか、電話またはメールで承諾の返答をした上で、「内定承諾書は本日発送いたします」との連絡をしておきましょう。
・メールで内定の承諾回答をする場合の回答例
お世話になっております。
今回、貴社の採用選考をお受けしました、〇〇と申します。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
是非、貴社の内定をお受けしたいと思っております。
一日も早く、お力になれるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
・ポイント④:労働条件
労働基準法第15条では、以下のとおり定められています。
1.使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
2.前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3.前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
※労働基準法より引用
つまり企業は、採用した人に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければいけません。
■必ず明示しなければならない労働条件
以下の項目については、書面で通知する義務がありますので、内定承認前にしっかりと確認しておきましょう。
1.労働契約の期間に関する事項。
2.就業の場所、従事する業務に関する事項。
3.始業・就業時刻、所定労働時間を腸かする労働の有無。休憩時間や休日、休暇、交代制で就業させる場合の終業時転換に関する事項。
4.賃金(退職手当、及び臨時の賃金は除く)の決定方法、支払時期と支払方法。並びに昇給に関する事項。
5.退職に関する事項(解雇の事由を含む)。
■定めをした場合に明示しなければならない労働条件
以下については、定めのある場合には明示する必要があるものの、必須ではないため、明示されていないことも多いです。気になる事項がある場合には必ず確認しておきましょう。
1.退職手当に関する事項。
2.賞与などに関する事項。
3.食費、作業用品などの負担に関する事項。
4.安全衛生に関する事項。
5.職業訓練に関する事項。
6.災害補償などに関する事項。
7.表彰や制裁に関する事項。
8.休職に関する事項。
企業によっては、内定の際には口頭での通知で、入社日に書面を用意する場合もあります。しかし、口頭では聞き逃すこともありますし、「言った・言ってない」という問題に発展する恐れもありますので、書面がない場合にはメールで送ってもらう(PDFで添付のように、書面として出力できる形式)など、後で確認できる状態にしておくことが大切です。
・ポイント⑤:事前に聞いた情報と相違がないか
自分が持っている企業での就労イメージと、実際に入社してからの現実の食い違いに悩み、せっかく転職したのに残念な思いをする方は少なからずいます。また、内定承諾から入社までの手続きをスムーズに進めるためにも、求人情報や面接での話とのギャップ、認識の齟齬がないかどうかを、労働条件通知書で確認しましょう。
1. 契約期間(契約社員の場合)
契約期間のある就業の場合には、契約期間に間違いがないか必ず確認しましょう。また、契約満了時に更新の可能性があるか、更新をする際に条件などがあるかも確認しておくと安心です。
2. 入社日
働きながら転職活動をしている方は特に、入社日については確認が必要です。企業によっては、欠員募集などすぐにでも入社してほしいと考えている場合も多いので、入社日までに退職が可能か、現在の会社での退職に関する規定を確認しておきます。必要があれば、転職先の企業に入社日を調整してもらえるか早めに相談しましょう。
また、これは内定を承諾してからの事になりますが、入社日までに準備しておくべき書類なども合わせて確認しておきましょう。発行に時間のかかるものもあるかもしれませんので、余裕をもって準備しておくことが大切です。
3. 配属部署/勤務地
配属される予定の部署や、就労する勤務地などについて、企業側と自分の希望に食い違いがないか内定承諾前に改めて確認をしておきましょう。
また、転勤の可能性がある場合には求人の段階で明記している企業が多く、労働条件通知書にも記されています。さらに面接でも「転勤の可能性があるが応じられるか」という質問をされることが多い為、転勤の可能性があるにもかかわらず、それを知らずに入社する方は少ないでしょう。
ただし、転勤の頻度や期間の目安、入社後すぐに転勤の可能性があるのか等は明示されていないこともあります。生活にかかわることでもありますので、事前に確認しておくことを推奨します。
4. 賃金・給与(想定年収・賞与など)
月給制の場合には月給の内訳が、年俸制の場合にも月々に支払われる額が、内定通知書に記載されていますので必ずチェックしましょう。賞与に関しては、賞与の有無を記載することは義務付けられていますが、詳細については書かれていないケースがあります。
どういう条件の場合に賞与が支給されるのか、業績により額が変わるのかなど、不明な場合には確認することができます。
5. 想定残業時間(みなし残業代の時間など)
法的には、労働条件通知書に記載が必要な事項は「残業の有無」のみです。想定残業時間が明記されていない場合には、どの程度の残業時間が見込まれるのか、時期により残業時間に違いがあるのかなどの目安を確認しておくと安心です。
また、給料の中に一定時間の残業代が「みなし残業代」として含まれている場合もあります。リモートワークの増加により、今後もみなし残業代を導入する企業が増える傾向にありますので、想定残業時間と想定残業代を正しく把握しておきましょう。
6. 休日・年間休日
実は、月に最低1度でも週2日の休みがあると、「週休二日制」と記載することが可能です。週休二日だと思って入社したら、月に1度だけだった、ということもあり得ます。また、祝日が休みではない企業もある為、早合点せずに注意して確認しましょう。
毎週2日休みがある企業は「完全週休二日制」と記載されています。さらに言えば、完全週休二日制と記載されていても「土日が休み」とは限りません。土日休みが希望の場合は、「完全週休二日制(土日休み)」などのように「土日休み」も含めて記載されていますので、確認しておきましょう。
更に、お盆休みやお正月休みなども含めた年間休日日数の目安や前年度の実績が記載されている場合は、併せてチェックしておくことをおすすめします。
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