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人事のプロはどこを見ている?「採用したくなる営業」と「採用したくない営業」の決定的違い|トップセールスの思考法vol.3

20代で様々なスキルを培いましたが、その中でも一番役に立っているのは、土台としての営業力だと思います


そう振り返るのは、株式会社freewebhopeの黒須仁美さん。教師志望から一転して営業の世界に飛び込み、SNSを武器にキャリアを切り拓き、現在は人事として組織の成長を牽引しています。


日本最大級の営業の大会「S1グランプリ」とワンキャリア転職のコラボシリーズ「トップセールスの思考法」では、豊富な経験・実績を持つエキスパートから、成果を出すためのノウハウやキャリアづくりの秘訣を伺います。


第3回は「採用したくなる営業の共通点」や「キャリアを切り拓く思考法」をテーマに、S1グランプリ代表の古瀬貴大さんが黒須さんにインタビューしました。







効率ばかり追い求めた新人時代への反省


古瀬:黒須さんは新卒1年目は営業をしていたんですよね。


黒須創業3期目のベンチャー企業の営業として入社しました。外国人向けの人材紹介とメディアの会社で、昔ながらのド新規テレアポ営業でした。


古瀬:当時の印象に残っているエピソードはありますか。


黒須:内定者インターン時代に「電話営業で成果を出していない人は受話器にガムテープを巻かれる」という都市伝説を、当時本当に信じていたんです(笑)


私は巻かれたくなかったので、受話器を下ろさないで架電を続けていたら「黒須さんって受話器下ろさないよね。昔いためちゃくちゃ電話かける部下を思い出すわ〜」って言われました。


実際に巻かれてる人はいなかったんですけど、本当に昔経験していた屈強な先輩たちの多い職場だったので、常に「今、行動量足りてないって思われてないかな…」と不安でしたね。


古瀬:今では珍しいなかなかハードな職場ですね。当時の営業成績はどうでしたか。


黒須:達成したりしなかったり。全然トップセールスではありませんでした。


1つとても後悔しているのは、とにかく量にこだわった施策をやっておけばよかったなと。というのも、達成を続けていくと当然売上目標は上がるので、効率よくやらないと成果が上がらないと思って「率」を高める施策ばっかり探してしまっていたんですね。


「電話以外に方法ないんだろうか?」と考えること自体は悪くないと思うんですけど、当時の自分にアドバイスするなら「今、効率とか考える段階じゃないし、とにかくたくさん失敗して恥をかけ」と言ってあげたい。新卒だから許されるがむしゃらさって絶対にあるので。





「指名で仕事を取る」を実現させたSNSの力


古瀬:1社目を1年半で退職されて、次はどのような会社に移られたのでしょうか。


黒須:新卒1年目の終わりから営業と兼務するような形で新卒採用を手伝うようになり、そのとき漠然と「やっていることは営業と同じようなことなのに、なんか採用のほうがおもしろいかも…?」と思うようになり、転職活動をすることにしました。ただ、未経験かつ第二新卒だったのでことごとく書類は通らず…


もう無理だと思っていましたが、この頃たまたまXでフォローしていたポテンシャライト代表の山根さんとお話しする機会がありました。人事に興味があることを話すと、「うちは創業1年半の会社だけど、本当にスタートアップ100社くらいの支援をしていて、人事を学ぶには最適だよ」と言われて。その一言で転職を決めました。


古瀬:そこではどのような仕事をされていたのですか。


黒須:スタートアップやベンチャーの採用支援で、RPO(採用代行)の先駆けのような仕事でした。1年半で累計20社くらいの企業を担当し、採用ブランディング、求人タイトルのA/Bテスト、スカウト運用、媒体ハック、採用広報の記事執筆などを行っていました。


今でもすごく感謝しているのが、代表が「せっかくベンチャーに来たんだから、自分の中で勝負できるようになりたくないか?」と言ってくれたことです。「会社で得たHRノウハウをSNSやnoteで発信してみない? 黒須さんそういうの向いてそうだよね」と提案してくれて。その頃から実名・社名・顔出しで発信するようになりました。


古瀬:それが現在のSNS発信のきっかけになったんですね。


黒須:はい。実際にSNS経由でお仕事を依頼されるようになるまでには10カ月くらいかかりましたが、徐々に自分への問い合わせが来るようになってのめり込んでいきました。ただ、これは自分の能力というよりも、会社のノウハウや支援しているお客さんが素晴らしい企業だったからこそ。本当に恵まれた環境でした。


転職前までは完全にプッシュ型の営業しかしてなかったので、転職当時は「私が前職でやってきたこと、何も活かせないのでは……」と不安でしたが、この経験により、プッシュ型営業から発信によるプル型営業への転換ができ、自分の名前で仕事が取れる状態を作ることができました。これが後のキャリアの大きな武器になりました。






すべての経験が繋がった「伏線回収」。人事という天職との出会い


古瀬:現在のfreewebhopeには、どのような経緯で入社されたのでしょうか。


黒須:Xやnoteでの発信を頑張っていたことで、転職活動をしていないのに転職のオファーをいただくことが増えました。当時は、採用担当やエンジニア採用広報、1人目人事などのオファーが多かったんですが、その中で、現職のfreewebhopeだけが、「君のライティング能力を活かしたマーケティングの仕事がある」という他社と全く違う提案をいただきました。


採用広報の支援や個人のSNSで発信していく中で、マーケティングにはとても関心があったものの、どこか自分には無縁なものだと思っていたので、かなり衝撃を受けたことを覚えています。元々一切転職する気がなかったので非常に悩みましたが、おそらく1年後には同じオファーは来ないだろうなと思い、転職を決めました


古瀬:その後、freewebhopeの人事に転身されたのはどのような経緯だったのでしょうか。


黒須:マーケティングプランナーとして1年ほど、ランディングページ制作やSNS・PRまわりのコンサルティングなどのクライアントワークを経験しました。入社2年目〜4年目は新規事業でWebデザインスクールと女性限定の経理スクールの2つを立ち上げ、サービスを作りながら自分で営業してコミュニティ運営しました。その傍らで中途採用を兼務していました。


正式に人事になったのは2024年からです。当時会社は組織崩壊の直後で、かなり大変な時期でした。3ヶ月くらい何をやっても上手くいかない時期がありましたが、これまでの人事以外の経験が私を支えてくれて大きく組織が変わりました。最近、年間表彰で全社MVPも受賞して「20代で経験したことをすべて伏線回収したな」と思いましたね。


古瀬:「伏線回収」、面白い表現ですね。


黒須:最初からこうなりたいと思っていたわけではないんですが、気付いたら20代はスキルコレクターになっていました。常に新しいことに挑戦して、どんどんできることが増える喜びはあるものの「及第点は取れるけど、自分の専門性ってなんだろう」「他社で通用するのかな」と焦りしかなく。


何の土俵で戦えばいいか分からなくて漠然とキャリアに対して不安な時期もあったのですが、人事になったことで自分が中途半端だと思っていたスキルたちが「総合力」として1つに繋がり「やっとこの土俵で戦える」と思えるようになりました


古瀬:なるほど。その「総合力」が、人事の仕事にどう活かされているのでしょうか。


黒須:正直、全部が人を動かすための練習だったのでは?と思います。営業もマーケティングもライティングも事業開発も、やっていることは全部違うように見えて、結局どれも「相手の意思決定をデザインする仕事」なんですよね。


営業では感情を動かすことを学び、マーケティングでは構造で動かすことを学び、ライターでは言葉で動かすことを学び、事業開発では組織をプロダクトとして設計し、再現性ある仕組みを構築する重要性を学びました。それらが全部、人事の中で1本に繋がったような感覚です。それもあってか「人事なのに●●(さまざまな職種)っぽいよね」と言われることがよくあります。





人事が見抜く「採用したくなる営業」2つの共通点


古瀬:現在人事として多くの営業職の方と面接をされていると思いますが、「採用したくなる営業」にはどのような共通点がありますか。


黒須:大きく2つあります。ひとつはベクトルが外側(≒顧客)に向いている人。もうひとつは、細部へのこだわりを持っている人です。

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ワンキャリア転職編集部

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