「2カ月で2、3件しかアポが取れなくて、クビになりました」
そう振り返るのは、株式会社営業ハック代表取締役社長の笹田裕嗣さん。学生時代のテレアポでの苦い経験から一転、新卒1年目で全社トップセールスに輝き、現在は営業代行事業で多くの企業を支援しています。
日本最大級の営業の大会「S1グランプリ」とワンキャリア転職のコラボシリーズ「トップセールスの思考法」では、豊富な経験・実績を持つ営業のエキスパートから、成果を出すためのノウハウやキャリアづくりの秘訣を伺います。
第2回は、テレアポでの失敗を乗り越え、圧倒的な成果を出している笹田さんの営業哲学に、S1グランプリ代表の古瀬貴大さんが迫ります。
原点は2カ月でクビになったテレアポインターン
古瀬:まず笹田さんのキャリアについて教えてください。どのような経緯で営業の道に進まれたのでしょうか。
笹田:実は消去法だったんです。大学2年生から教職課程を受けていて、先生になるかビジネスパーソンになるか迷っていました。当時、大学のゼミで企業にプレゼンに行く機会があり、それが面白くてビジネスの道を選びました。
ただ、ITがめちゃくちゃ苦手だったので、気合と根性でなんとかなる仕事は何だろうと思ったら営業でした。それで一番大変そうな営業のインターンシップを探して、空気清浄機を売り込む飛び込み営業を始めました。
古瀬:その後テレアポのインターンもされたそうですが、そちらはどうでしたか。
笹田:大失敗でした。飛び込み営業をある程度極めたと思ったので、次はテレアポだと思って人材紹介会社のテレアポインターンに挑戦したんです。そしたら2カ月で2、3件しかアポが取れなくて、クビになりました。
古瀬:今の笹田さんからは想像できないですね。何がダメだったのでしょうか。
笹田:大きく3つあります。まず1つが全部我流だったこと。営業の経験も知識もないのに自分なりに良さそうなことをとにかくやっていた。2つ目が毎日スクリプトを変えていたこと。当時営業の本を50冊くらい読んで、これがいけるなと思うものを見つけては変えていました。PDCAを回すというより、スクリプトをいじることが快感になっていました。
3つ目が気合でなんとかなると思い込んでいたこと。なぜうまくいかないのか説明ができないまま、1日200件くらい電話をかけていました。量をこなせば何とかなると思っていたんですが、突破できなかった。
古瀬:その経験をどう活かされたのでしょうか。
笹田:その後、ITスタートアップのテレアポに移ったときに、たまたまそこにいた上司が営業をロジカルに考えてくれる人だったんです。電話をかけて、担当者と話して、提案して、承諾してもらう。営業って分解するんだよと初めて教わりました。
どこがダメだから結果が出ないのか。「やる気が足らないと思います」なんて答えじゃダメで、ちゃんと分析して対策を打つ。営業への向き合い方を教えてもらえたので、営業が面白いなと改めて思えたタイミングでした。
新卒1年目で全社トップへ。圧倒的成果を出した2つの秘訣
古瀬:その後、新卒で大手人材会社に入社されて、1年目からトップセールスになられましたね。
笹田:ありがたいことに、第3四半期、第4四半期で全社トップになることができました。派遣営業で、アポ取りから商談、人材のマッチングまで全部やる仕事でした。
古瀬:入社1年目の10月からトップになるって、すごいことですよね。秘訣は何だったのでしょうか。
笹田:2つあります。1つは学生時代の経験で身につけた、営業を分解して課題を明確にする思考です。職場見学の数をこれだけやらないといけない、新規アサインをこれだけしないといけない、と逆算する思考を学生時代に身につけることができたのが大きかったです。
もう1つは、シンプルです。上司や先輩よりも最低限アクティビティは多くしました。実績で負けているのは当たり前だとしても、時間的にも余裕がある新人は活動量なら勝てる。常に上司・先輩の活動量と結果をチェックして、人の1.8倍から2倍の差をつけるよう徹底していました。
古瀬:それだけやりきる原動力は何だったのでしょうか。
笹田:入社式か店舗に配属されたタイミングで、上司や先輩に「1年以内に1位になります」と宣言していたんです。周りも応援してくれて「お前1番になりたいって言ってたよな」と言って、いろんな案件を回してくれるようになりました。
古瀬:僕も新人で配属されたときに「1位になります」と宣言していました。自分を追い込むための環境を作ることは大事ですよね。
営業は嫌いでいい。テレアポが苦手な人が陥る「間違った配慮」
古瀬:テレアポに苦手意識を持っている営業パーソンも多いですが、笹田さんはどのようなマインドセットを持つべきだと考えますか。
笹田:まず、営業が得意じゃなきゃいけないという気持ちを捨ててほしいです。私も営業が好きかと言われたら、別に好きじゃないんですよ。営業しなくても売れてお客さんが幸せになってくれるなら、その方が平和だし楽です。
初対面で「初めまして、会ってください」とひたすら言い続けることが得意な人の方が希少なので、嫌だと思うのは当たり前。そんな嫌なことにちゃんと向き合ってやれているだけでも、自分を褒めてほしいと思っています。
古瀬:でも苦手意識があると、うまくいかないこともありますよね。
笹田:そうなんです。苦手意識を捨てないと、結局自分を守るためのコミュニケーションになってしまう。ちゃんと説明ができない自分と思われるのが嫌だから説明が長くなったり、強引にクロージングしていると思われるのが嫌だから「ご都合が合えば是非」「いかがですかね」と相手に委ねちゃったりしがちです。
本人は配慮のつもりでも、その間違った配慮によって、自分から断られやすい状況を作ってしまっているんです。
古瀬:では、どうすればいいのでしょうか。
笹田:まず大前提として持つべきは、この商品を自分が好きでお勧めしたいと思えるだけ商材研究することです。「いや、これ本当いい商品なんで1回聞いてください。お願いします」と言えるだけの準備をしたかどうか。そこを整えてから営業してほしいと思っています。
苦手じゃなくなるのは、気持ちを切り替えようということではなく、結果が出てから。売れたということが認められたという感覚につながって、自信も後からついてくる。売れていない中で営業を好きになるのは当然難しいですからね。
今からできる3つのテレアポ改善ポイント
古瀬:具体的に、今日から改善できる話し方のポイントを教えてください。
笹田:今日もちょうど社内ロープレで伝えていたのですが、この3つだけやってくれと言っています。
さらに・・・



