記事画像

仕事は人生を切りひらくツール。2児のママ営業が実践する働き方とキャリア戦略|100HER vol.03

女性活躍が広く語られるようになった今も、経営の意思決定やビジネスの表舞台に立つ女性は、いまだ多くはありません。

「バリキャリ」として1人で戦うことだけが道ではなく、成果を出しながら自分らしいキャリアを切り拓く女性たちが、今まさに各所で奮闘しています。


『100 HER(ハンドレッド・ハー)― 100人100通りの女性たち』では、そんな女性たちのキャリア戦略や仕事術、生き方を紹介します。キャリアに前向きに向き合うすべての人に、何か一つでもヒントが届けば嬉しい。そんな思いから「Project:F(プロジェクトエフ)」とワンキャリア転職が立ち上げた連載です。


第3回のゲストは、エンジニアからセールスに転身し、2児の子育てをしながらセールスとして成果を出し続けてきた株式会社ナレッジワークの佐々木千穂さん。挫折を通じて見つけたキャリアの軸と成果を出すための行動原則について、株式会社Sworkers代表/Project:F主宰の坡山里帆(以下、はやまり。)が迫ります。






「手に職を」で選んだファーストキャリア


はやまり。:まずは佐々木さんのこれまでのご経歴について教えてください。


佐々木:学生時代は弘前大学の農学部で農業土木の研究をしていました。ファーストキャリアは子供を産んでも仕事がしたい、場所にとらわれずに仕事がしたいと考えた時に、「手に職」をつけたいという思いで選びました。


はやまり。:佐々木さんの言う「手に職」とは、どのようなイメージだったのでしょう?


佐々木:手に職と言うと、一般的には医療系の職業といった資格が存在する職業を想像されるかと思います。しかし、私の場合は「業界の変化が早いところ。そして、勉強して能力をつけたら評価していただけるような領域」の方が性に合うと感じIT業界を選びました。


そして、その中でエンジニアを選んだのですが、当時は性別にかかわらず実力が評価されやすい職業だと感じ、また能力で仕事が広がる仕事だとも感じていました。ライフイベントが発生しても仕事を続けることができそう。これがいいかもしれないと思って、新卒はインフラエンジニアの道を選びました。


はやまり。:就職活動は順調だったのでしょうか?


佐々木:とても苦戦しましたね。大手IT企業の最終面接で「絶対きてほしい」と言われたのに不採用となってしまったり、別の大手企業の選考では学歴の部分でも社会の厳しさを感じることもありました。


また、当時は青森の大学に通っていました。周りの友人は地元の企業や公務員を目指すことが多く、就職活動に関する情報が入ってこないため、自分にあう業界や職種を考えるのも大変でしたね。実家が栃木県なので、就職活動は、実家に帰り活動をしていました。朝6時のバスで東京に行って、3〜4つの面談や説明会を受けて、夜にバスで帰ってきて、夜中2時まで手書きでエントリーシートを書くという生活でした。


最終的に新卒では日本コムシスという会社に入社することになったのですが、「人として自分を見てくれる」と思えたことが入社の決め手でした。






「社外と戦え」キャリアが広がった上司の言葉


はやまり。:入社後はどのようなキャリアを歩まれましたか。


佐々木:インフラエンジニアとして働き始めたのですが、正直自分にはセンスがないなと思っていました。業務の特性上、自身が設定しているもの自体が見えず、どういう構造になっているのかが全然想像できなくて。


ご家庭をお持ちの方が多いチームだったのですが、「上司が早く自宅に帰ることができず、家族の時間を持てていないのは私に能力がないせいだ」と申し訳なく思うくらい、仕事ができないと感じていました。今思えば考えすぎだったかもしれませんね。(笑)


転機になったのは、部署への本配属時です。当時の上司から「今すぐ転職サイトに登録しよう」と言われたのです。意味合いとしては、社内での自分のキャリアだけに目を向けるのではなく、社外にも視野を広げ、外の世界の中での自分の価値を理解しながら、スキルを高めることが大切だということでした。


このタイミングでこの言葉を言っていただけたことで、私にとって仕事やキャリアの考え方が大きく定まった気がしています。社外に目を向けて、どういう風にキャリアを歩んでいくのかを考えるきっかけになりました。



はやまり。:その後はどのような展開になったのですか?


佐々木:確か3年目の頃に社内でパートナービジネスのプロジェクトが立ち上がった際に、「佐々木が適任では」と声をかけていただき、プリセールスをやることとなりました。


プリセールスとは一般的に「技術営業」と呼ばれており、お客様から受けた技術的な質問に回答することがメインだったのですが、プリセールスの活動の中で「自分で商談を進めたい」と考えるようになって、エンタープライズセールス(大手企業向けの営業)に転身しました。


かねてから「外資IT企業の営業を経験したい」という思いもあり、20代で営業の実績を作るために奮闘していました。日本コムシス在籍時は一気に数億単位の売上を伸ばすことができましたし、エンジニア経験を活かして納期が間に合わない時は客先で自ら作業を行うこともありました。






仕事の報酬は仕事。成果を出すためのマインドセット


はやまり。:佐々木さんが成果を出すために大切にしていることを教えてください。


佐々木:私が心がけていることは3つあります。1つ目は「仕事の報酬は仕事」、2つ目は「頼まれごとは試されごと」、3つ目は「お客様の大切な時間を最大限に活用する」ということです。


頼まれたのであれば、きっちり納得いくものを出すことを大切にしているのと、お客様も今の人生の中で大事な時間を私との商談や私とのプロジェクトに使ってくださっています。であるならば、最大限の成果を出しましょうよ、腹を決めて、ということをいつも思います。


はやまり。:まっすぐに仕事やお客様に向き合える力の源泉は何でしょうか?


佐々木:仕事は裏切らないからです。やった分だけ返ってくるし、やった分だけ給料が増える、やった分だけ楽しくなる。できるようになった方が楽しいんです。


印象的だったのは、最初はあまり話してもらえず、なかなか距離が縮められなかったお客様のシステム部の方がいました。でも「こんにちは」と毎回元気に挨拶して、真摯に対応を続けていたら、ある時「こんなにちゃんと膝を突き合わせて話してくれるベンダーは初めて」と言っていただけたんです。


そういう瞬間にやっていて良かったと思いました。お客様と自分の関係が「お客様の会社を変革するためのパートナー」となれた。そして、私を「ベンダーの営業」ではなく、「一人の人」として認識してもらうことができ、本当に嬉しかったのを覚えています。私はこういう瞬間がとても好きですね。






エンタープライズセールスで成果を出すための人間観察力


はやまり。:エンタープライズ営業で重要なのは、組織の中での力関係や関係性を把握することだと思いますが、それはどのように身につけられたんですか?


ここから先は会員限定の記事です
カンタン無料登録で、今すぐ続きを読もう
さらに・・・
6,000件以上の転職体験談(実例)が見放題
限定のイベント情報も配信
限定の記事コンテンツも読み放題
会員登録して続きを読む ログインはこちら >

ワンキャリア転職編集部

次のキャリアが見える転職サイト「ワンキャリア転職」の編集・リサーチチームです。 ▼公式X:https://x.com/ocTenshoku

フェーズからキャリア面談を選ぶ

関連タグの人気記事

こちらの記事も読まれています

記事一覧のトップへ