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ITコンサルティングとは?具体的な仕事内容・求められるスキル・年収まで徹底解説

ITコンサルタントは、デジタル変革(DX)が加速する現代において、企業の経営や業務課題を解決に導く重要なプロフェッショナルです。


▼ 職種概要まとめ


平均年収

748万円前後(経験・所属による差あり)



仕事内容

ITを活用して企業の課題を解決(DX推進、クラウド導入、システム開発支援など)







求められるスキル

  • 基本的なIT知識

  • キャッチアップ力(新領域を短期間で習得)

  • 業界知識(クライアント以上の理解)

  • 論理的思考力・コミュ力


本記事では、ワンキャリア転職に寄せられた豊富なクチコミや実体験をもとに、ITコンサルティングという仕事の全体像から、現場でのプロジェクト事例、求められるスキルや年収の実態までを詳しくご紹介します。




1. ITコンサルティングとは?役割と概要


1-1. ITコンサルティングの定義


ITコンサルティングとは、企業や組織が抱える経営課題や業務課題を、ITの力を活用して解決するための専門的支援を行うサービスです。


単なるシステム導入支援にとどまらず、以下のような目的で展開されることが多いです。


  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進
  • 業務効率化・自動化
  • コスト削減・リスク低減
  • 顧客体験(CX)向上
  • 新規事業・サービス開発




1-2. ITコンサルタントが担う役割


ITコンサルタントの役割は、アサインされるプロジェクトによって多様ですが、代表的なものは以下のような業務があります。


  • 戦略支援:IT戦略の策定、システム導入の構想策定
  • 業務改革:業務プロセスの見直し(BPR)や標準化
  • システム導入支援:要件定義、ベンダー選定、PMO(プロジェクト管理)
  • データ活用支援:BIツール導入、データ基盤構築、AI活用支援
  • 運用定着支援:業務移行、教育、定着化、継続改善


ITコンサルタントは、技術と経営の橋渡し役として、クライアントの真の課題を見抜き、最適なソリューションを提供する専門家といえるでしょう。






2. ITコンサルタントの主な仕事内容


2-1.ITコンサル案件のプロジェクトの流れ


ITコンサルティングプロジェクトは、一般的に以下のような段階的なフローで進行します。



2-1-1. 現状把握・課題抽出


プロジェクトの最初のステップでは、クライアント企業の経営・業務・ITの現状について徹底的なヒアリングを実施します。


この段階でITコンサルタントは、KPI(重要業績評価指標)や業務フロー、システム構成の可視化を行い、現状(As-Is)の把握に努めます。ギャップ分析を通じて課題を抽出し、「何が課題なのか」「ITで解決すべきか否か」を明確にします。



2-1-2. 構想策定・To-Be設計


特定した課題に対する解決方針を立案します。DX構想やBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)方針の策定、あるべき業務プロセス・システム像の設計を行います。


さらに、実行計画やロードマップの作成、RFP(提案依頼書)の作成支援も担います。この段階では「どこをどう変えるのか」をクライアントと合意形成することが重要となります。



2-1-3. 要件定義・システム設計


ユーザー要件の深掘りを業務部門との協働により実施し、システム要件への落とし込み(機能要件・非機能要件)を行います。業務フロー設計やデータ要件定義なども含まれます。この段階では、ITコンサルタントが「業務」と「IT」をつなぐ翻訳者としての役割を果たします。



2-1-4. 開発・テスト・移行支援


開発ベンダーとの折衝・進捗管理(PMO)、テスト計画・移行計画の立案と支援、ユーザートレーニング・教育コンテンツの整備を担当します。システムの品質担保と現場定着に向けた実行支援が主な業務となります。



2-1-5. 運用・改善


本番稼働後のモニタリング、利用状況の分析・改善提案、データ活用・追加開発の支援、内製化・自走化に向けた支援を行います。「作って終わり」ではなく、継続的に成果を出すことが重視される段階です。




2-2. ITコンサルタントの具体的な関わり方

各フェーズでのITコンサルタントの関わり方は企業やアサインされるプロジェクトにもよります。昨今はアクセンチュアやベイカレントなど、ITに関する戦略の立案だけでなく、実装・実行まで一気通貫して支援するコンサルティングファームが増加傾向にあります。






3. 具体的なプロジェクト事例


実際のITコンサルティングプロジェクトがどのように進行するのか、有名ITコンサルティングファームの具体的な事例を通じて理解を深めましょう。


<事例1:アクセンチュア × コープこうべ(クラウド移行)>


兵庫県・大阪府を中心に事業展開する生活協同組合「コープこうべ」は、マルチベンダーによる大型ホスト環境の運用コスト肥大、システム老朽化と人材不足という課題を抱えていました。アクセンチュアは、AWSへのリフト&シフトによるプラットフォーム再構築とクラウドマイグレーションを支援。システムの標準化、ガバナンス強化、障害対応の迅速化を実現し、経営の俊敏性と効率性向上に貢献しました。

(出典)コープこうべ:より良い地域のくらしづくりをめざす生協のクラウド移行|事例|アクセンチュア


<事例2:フューチャーアーキテクト × 全日本食品(小売/One-to-One マーケティング)>


全国に約1,800加盟店を持つ小売チェーン「全日本食品」では、ID紐付POSや会員管理基盤が未整備で、折込チラシの非効率や顧客把握の課題がありました。
フューチャーアーキテクトは、購買データ分析による加盟店別最適品揃え・発注・価格設計の仕組みと、小型プリンタ付きショップカードでの店舗型"One to One"割引レシート案内システムを導入。導入後は売上・来店回数とも前年比約10%増、チラシコストは約10分の1に圧縮されました。

(出典)実績 | フューチャーアーキテクト株式会社


<事例3:デロイト トーマツ コンサルティング × 楽天証券(AIアバターによる顧客体験革新)>


楽天証券は対面窓口を持たず、特に初心者投資家の相談支援が課題でした。デロイトはNVIDIAと協業し、生成AI活用の「Investment Consultation AI Avatar」を構築。
自然言語理解と日本語TTS機能を備えたAIアバターによる投資相談を提供し、リアルな会話体験を実現。2024年1月に発表されたデモでは、90%以上の利用者が将来の利用意向を示し、デジタルCXの未来形を提示しました。

(出典)デロイト トーマツ、「NVIDIA ACE」を日本で初めて採用した楽天証券「投資相談AIアバター」の開発を支援


これらの事例からわかるように、ITコンサルティングは単なるシステム導入にとどまらず、クライアントのビジネス全体を変革する包括的な支援を行っています。






4. ITコンサル必要なスキル・知識・資格


ITコンサルタントには、IT技術の知識だけでなく、幅広いビジネス知識と課題解決能力が求められます。


4-1. 求められるIT・業務知識


<基本的なIT知識とキャッチアップ力>


ITコンサルタントには、システム開発やインフラ、クラウド技術などの基本的なIT知識が不可欠です。特に近年は、DX/AI/クラウドなどの最新技術への理解が重要視されています。


未経験入社も多い職種ですが、短期間でのキャッチアップ能力が特に重要です。プロジェクトごとに新たな領域の知識習得が求められるため、自発的な学習姿勢が必須となります。


<業界特有の知識と経験>


クライアントの業界や業務に関する深い理解も重要な要素です。近年多くの業界でDX化が進む中、コンサルティングファームは様々な業界からシステム開発の依頼を受けています。クライアントの課題を理解し、解決につながるソリューション提案を行うには、クライアント以上に業界や業務内容を把握しておくことが必要です。


<前職での経験をITコンサルタントとしての強みに変換>

また、クライアントに価値を提供するためには、業務理解に加え、前職で得た業界知識を迅速に活かすことが有効です。


リクルート住まいカンパニーからアクセンチュアへ


社会人歴:3~5年

退職時の職種:法人営業

転職で役に立った前職の経験:

営業経験における思考プロセスや成果創出の過程をアピールできたことで未経験でもうまく転職活動を進められた






4-2. コミュニケーション力・課題解決能力


<ロジカルシンキング・論理的思考力>


クライアントからの相談は必ずしも具体的であるとは限りません。表面的な内容から根本的な課題を炙り出していく力が求められます。本質的な課題設定・課題分解・構造化を行い、わかりやすく説明する能力が重要です。


<コミュニケーション・折衝力>


ITコンサルタントの仕事は「クライアントの困っていることを聞く」→「困りごとを整理して、解決策を考える」→「解決策を実行する」という流れになります。クライアントが話す内容をただ聞くだけでなく、質問しながら深掘りして聞いていく必要があります。


また、顧客・プロジェクト関係者・マルチステークホルダーとの調整・巻き込み能力も不可欠です。経営層・現場・IT担当など幅広い相手を想定した説明・説得能力が求められます。


<プロジェクトマネジメント能力>


ITコンサルタントの案件は、システム導入など会社全体を巻き込む広範囲なプロジェクトが多く、PM/PMOとしての段取り、タスクメイク、進捗管理・リスク管理能力が重要です。


<ドキュメンテーション・プレゼンテーション力>


自身の提案を顧客に受け入れてもらうためのプレゼンテーション能力も必須です。PowerPoint・Excel等での資料作成とそのプレゼンテーション能力、関係各所を納得させるだけの論理的な説明力が同様に求められます。


▼コンサルタントに求められるスキルについてはこちらでも解説しています▼




4-3. 持っていると強い資格例


ITコンサルタントになるために資格が必要であることはほぼありません。一方で、資格を保有していることが、クライアントへの信頼獲得やキャリアアップの一助になることもあります。


ITコンサルタントとしての専門性を証明するうえでは以下のような資格はおすすめと言えます。


  • 基本情報技術者試験・応用情報技術者試験:ITの基礎知識を体系的に習得
  • プロジェクトマネージャ試験(PM):プロジェクト管理の専門知識
  • ITストラテジスト試験:IT戦略の立案・推進に関する知識
  • システムアーキテクト試験:システム全体の設計・構築に関する知識
  • AWS認定資格:Amazon Web Servicesの各種サービスに関する知識
  • Microsoft Azure認定資格:Azureクラウドサービスの専門知識
  • Google Cloud認定資格:Google Cloudプラットフォームの知識
  • SAP認定コンサルタント:SAPシステムの導入・運用に関する専門知識
  • Salesforce認定資格:CRM/SFAシステムの専門知識
  • Oracle認定資格:Oracleデータベースやアプリケーションの知識
  • PMP(Project Management Professional):国際的なプロジェクト管理資格
  • 中小企業診断士:経営コンサルティングの国家資格
  • ITコーディネータ:IT経営の専門家資格


▼コンサル転職に有利な資格についてはこちらでも解説しています▼






5. ITコンサル年収・待遇のリアル


5-1. 年収レンジと年代別の相場


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ワンキャリア転職編集部

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