こんにちは、トイアンナです。
「300万円を返してもいいので、前の会社に戻してほしいです」
そう漏らしたのは、大手メーカーの経営企画から成長中のSaaS企業へ移った、30代半ばの男性でした。転職で年収は650万円から950万円にアップ……誰が見ても成功した転職でした。
その半年後に出てきた言葉が、これでした。
そして、話を聞き終えるころには、彼を追い詰めているのは仕事の量ではないとわかったのです。
転職で年収が上がる人は、4割を切っている
厚生労働省の令和7年上半期雇用動向調査によれば、転職入職者のうち賃金が前職より「増加した」人は39.4%。うち「1割以上の増加」は26.7%でした。
一方で年収が「減少した」人も31.5%います。
転職とは、年収が上がる行為とは限りません。そのなかで年収300万円アップは、明確に上澄みの部類に入ります。
実際に、転職のきっかけとして「給与への不満」を挙げる人は多く、私たちはつい給与で転職の成否を採点しがちです。
ところが、いざ転職先を辞めたくなる理由のほうは、給与ではないのです。
「わからない」と言えないまま、3か月が過ぎた
冒頭の男性であるSさん(仮名)は、前職で新規事業の立ち上げを2件経験していました。転職先での肩書きは事業開発マネジャー。
面接で言われたのは「大企業での事業設計の経験を、うちのスピード感で活かしてほしい」でした。
その言葉、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。評価されてる感じがして
そして入社初日。
研修はありませんでした。
用意されていたのは、ミーティングで埋まったカレンダーと、Slackの過去ログへのリンクだけ。
2日目には、もう意見を求められました。『Sさんはどう思います?』って。……いや、まだ何も知らないんですよ。プロダクトも、顧客も、なぜこの機能が今あるのかも。でも『わかりません』とは言えなかった。300万円上乗せしてもらった人間が、3日目に『わかりません』はまずいでしょう
Sさんは、その場で答えを出しました。前職の作法にもとづく、それらしく、あいまいな答えを。
そのまま、「できるフリ」をする日々が始まります。
そして半年後の評価面談で、上長から言われた言葉が刺さりました。
「Sさんって、仕事で本気出してないですよね?」。
上長も励ましのつもりだったと思います。ただ私は、半年ずっと本気でやっていたつもりでした
年収アップ転職に潜む、3つの落とし穴
そうなったのは、Sさんの能力が低かったからではありません。
さらに・・・



