ONE CAREER PLUSがお送りする「トレンドテーマ別企業紹介シリーズ」第1回のテーマはAI。
SiriやChat GPTなど、今やAIを活用した機能は身近なものとなりました。実際にAIを事業とする企業は、米国や欧州をはじめアジア各国にも増えており、これからも市場規模が拡大することが想定されます。
キャリア選択においても、AI関連企業に挑戦したいと考える方が増えています。本記事では、AI市場の現状や成長予測といった基礎知識の開設から、AI領域での注目企業と企業へのキャリアパターンについてご紹介。
AIとは?

AIとは「Artificial Intelligence」の頭文字をとった言葉で、「人工知能」を指します。AIは、人間が行う知的活動を学習し、コンピューターシステムやプログラムなどによって再現することが可能です。
AIを用いた事例には、翻訳、自動運転、医療画像診断、囲碁などが挙げられます。実際に人間が行うよりもスピーディに再現してくれるため、医療、介護、金融など幅広い分野においてAIの活用が進んでおり、「AI×◯◯」の掛け合わせが生まれています。
なぜAIが注目されているのか?
AIは、人間が行っていた複雑なタスクを容易に実現し、私たちが可能とする行動を超えるところまで進化しています。業務効率化や顧客満足度の向上など、さまざまなメリットがあると見込まれ、多くの企業がAIを用いたビジネスモデルを検討している現状です。
総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によると、2022年にはAIにおける世界市場の売上高は18兆7,148億円に達すると見込まれ、今後2030年まで緩やかな加速度的成長が予測されています。日本のAIシステム市場の支出額については、2022年は約3,900億円であり、2027年には約1兆1,000億円まで拡大するとされています。
Fortune Business Insightsの市場リサーチ報告書では、現状、AI市場はソフトウェアが主流であるものの、今後数年間でサービスとハードウェアも積極的に発展することを示唆。すでに多くの企業でAIが活用されており、将来性が期待できます。
企業一覧&キャリアパターン解説

ABEJA:ディープラーニングのリーディングカンパニー
▪️ どんな事業内容?
2012年設立のABEJAは「ゆたかな世界を、実装する」を経営理念とし、ディープラーニングの黎明期からAIを専門的に活用してきたベンチャー企業です。主な事業である「ABEJA Platform」は、社内に専門的知見を持つ人がいなくても、AI開発運用を可能とします。
また、「ABEJA Platform」を活用して展開されている「ABEJA Insight for Retail」は、小売業界に特化した店舗解析サービスです。小売店舗に設置したカメラなどから収集した店舗の来店人数、滞在時間、年齢などの情報をAIで解析し、業務効率化に活かすことができます。
▪️なぜ注目?
ABEJAは、2018年12月、日本で初めて米国のGoogle社からの出資を受けました。また、2020年6月には世界経済フォーラムから「テクノロジー・パイオニア」に選出されるなど、国内外の企業や機関から高く評価されています。
「ABEJA Insight for Retail」では、ミック経済研究所が発表した「AI(ディープラーニング)活用の画像認識ソリューション市場の現状と展望【2020年度版】」において、「小売・卸売AI市場」および「マーケティングAI市場」分野でシェア1位を獲得しました。
パルコやダイキン工業など、業界のリーディングカンパニーを含む100社以上の顧客との取引実績があるほか、SalesforceやNVIDIA、SOMPOホールディングス、ヒューリックといった企業との資本提携にも成功しています。2017年にはシンガポールに海外拠点を設立するなど、国内外でのマーケット拡大に務めています。
▪️この企業への転職事例は?
エクサウィザーズ:AIの“達人”として社会課題を解決
▪️どんな事業内容?
2016年設立、「AIを用いた社会課題解決を通じて幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、AIプラットフォームとAIプロダクトの2つを軸に展開しています。AIプラットフォームには、ChatGPTを活用したIR業務効率化支援サービス「exaBase」や、DX人材・組織開発をワンストップで支援するサービスの提供などがあります。
AIプロダクトは、企業向け生成AIサービス「exaBase 生成AI」やIR業務効率化支援サービス「exaBase IRアシスタント」、DX人材発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」などです。
▪️なぜ注目?
エクサウィザーズは2021年、アメリカの調査会社「CB Insights」が毎年発表する、世界で最も有望な100のAIスタートアップ企業ランキング「AI 100」に選出されるなど、海外でも注目されています。
メンバーには、プロダクトマネージャー、UI/UXデザイナー、研究者、介護、ドメインの専門家など、多様なバックグラウンドを持つ人材が在籍。医療、介護、金融、保険、インフラ、自治体など、幅広い領域でサービスを開発しているのが特徴です。
▪️この企業への転職事例は?
PKSHA Technology:「人×ソフトウェア」の未来設計
▪️どんな事業内容?
2012年に「AppReSearch」として設立、2014年に「PKSHA Teachnology」と商号変更しました。自然言語処理、画像認識、機械学習・深層学習技術に関連するアルゴリズムソリューションを展開し、主に研究開発、ソリューション・プロダクト提供、ソフトウェアの社会実装などの事業を行っています。
具体的には、PKSHA ReSearch(PKSHA Teachnologyが行う研究開発部門)で研究開発されたアルゴリズムを搭載したソフトウェア「PKSHA Enterprise AI」と提供しています。そのなかには、LLM関連技術の統合的なカスタマイズが可能な「PKSHA LLMS」、流通・小売企業の課題やオペレーションを改善する「PKSHA SCM」、不正な動きの検知や不正投稿の監視を行う「PKSHA Security」などがあります。
▪️なぜ注目?
PKSHA Teachnologyは、2017年に東京証券取引所マザーズに上場しました。AIベンチャー企業としては珍しい上場ができた理由の1つは、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年を除き、平均営業比率が年々上昇していることが挙げられます。
また、東京大学の松尾研究室出身者によって起業され、社員の9割がエンジニアや研究者であり、アカデミック領域で高い専門性を持つことも特徴です。
▪️この企業への転職事例は?
Spiral.AI:日本発、独自のLLM開発を世界に
#AI #スタートアップ
#成長中 #新規事業 #LLM
▪️どんな事業内容?
2023年3月に設立されたSpiral.AIは「Spiralに世界を巻き込む」をミッションに掲げ、巨大言語モデル(Large Language Models:LLM)を事業の核としています。主なサービスは、ノーコードで活用できるAIコミュニケーションプラットフォーム「Spiral.Bot」、自動でQ&Aを提案するオペレーター支援ツール「Dial Mate」、実在する芸能人と擬似的な会話が体験できる「Naomi.AI」です。
LLMに特化した数少ないスタートアップとして、世界におけるLLM開発と活用の中核となることを目指しており、資金調達を通じてエンジニア・事業開発メンバーの採用や開発インフラの拡充に取り組んでいます。
▪️なぜ注目?
Spiral.AIは設立以来、総額約12.1億円の資金調達を実施。優秀なエンジニアや事業開発メンバーの採用、LMM開発などに取り組んでいます。
多くの企業がLLMの実装に課題を感じているなかで、スマートシティとエッジAI開発に注力するニューラルポケットのCTO(最高技術責任者)を務めた代表の佐々木雄一氏が指揮し、新しいビジネスを生み出しています。
ブレインパッド:データ活用のパイオニア
▪️どんな事業内容?
2004年設立、「技術と人材のサプライチェーンを再構築し、国際競争力のある豊かな日本の再生に貢献する」をミッションに掲げるブレインパッド。データ活用やAI導入のためのコンサルティング、分析業務の受託、分析環境の構築など、ビッグデータ活用サービスとデジタルマーケティングサービスを得意とするベンチャー企業です。
パーソナライズされた自動接客を実現するソリューション「Rtoaster」や、機械学習により顧客ニーズを予測するBtoC向けマーケティングオートメーションプラットフォーム「Probance」、LINEコミュニケーションを自動化するマーケティングオートメーション「Ligla」などのプロダクトを展開するほか、「+AI」というオウンドメディアも運営しています。
▪️なぜ注目?
2023年6月期の売上高は約97億円であり、前年比で約14.4%増加。創業20年となっていますが、いまだに堅調に事業成長しています。これまでに支援したクライアントは、業界を問わず1,000社を超えます。トヨタ自動車、伊藤忠商事、日本航空など、さまざまな業界のリーディングカンパニーを担当してきました。
▪️この企業への転職事例は?
AI inside:「“AI” inside “ X”」を実現
▪️どんな事業内容?
AI insideは「“AI” inside “X”」つまり、さまざまな環境(=X)にAIが溶け込む社会を目指す会社です。この目標を実現するため、Multimode AI、Autonomous AIの研究を進め、「DX Suite」「AI inside Cube」「Any Data」といったサービスを展開しています。
▪️なぜ注目?
上記で紹介した事業の中でも「DX Suite」は主要サービスであり、AI-OCR市場のシェアは62.5%とNo.1を誇っています。さらに、2022年にはAI内製化とAI人材育成に特化した新サービス「Developer's API」「AI Growth Program」を展開しました。
海外企業とのグローバルパートナーシップを締結するなど、日本に限らず、グローバルにAIサービスの提供を拡大しています。
▪️この企業への転職事例は?
ニューラルポケット:唯一無二のAIエンジニアリング
▪️どんな事業内容?
画像や映像の解析、種類分別、空間認識など、多様なAI技術を独自開発しています。それらを活用し、デジタルサイネージ、スマートシティ、ファッション事業などを展開。AIサイネージ広告サービス「AI DOOH」、アパレル企業に向けたトレンド解析サービス「AI MD」、AI搭載スマホドライブレコーダー「スマートくん」などがあります。
▪️なぜ注目?
2019年に総額約6億円の資金調達を実施しました。それと同時に、社名を「ファッションポケット」から「ニューラルポケット」に変更し、ファッションだけでなく幅広い分野においてAIを活用しています。
さらに、会社が設立されてからわずか2年の2020年、東京証券取引所のマザーズ市場に上場(IPO)しました。資金調達、社名の変更、上場の機会を経て、ますます市場での期待が高まっています。
Kudan:コンピューターの「眼」を研究開発
▪️どんな事業内容?
Kudanは、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:自己位置推定と地図作成)という技術をベースとしたテクノロジーを提供する会社です。この技術は、自動運転、ロボティクス、AR/VR、スマートシティなど、幅広い分野に活用されます。
▪️なぜ注目?
2011年、「Deep Tech」の最前線といわれるヨーロッパのイギリスで誕生。イギリス、ドイツに研究開発拠点を持ち、イギリスのR&D部門に在籍する70%がPh.Dを保有する数学や物理の研究者です。日本では社員11人と少数精鋭の体制でありながらも、グローバルに事業を展開しています。
まとめ

AI市場は加速度的に成長、変化し続けており、常に新しいことを求められる魅力的な業界です。今後もAIを活用したサービスやプロダクトが増え、AI市場の規模は拡大していくと予測されます。
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