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【相談#8】有形商材の営業は、無形商材にチャレンジできないって本当ですか?

はじめに


ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。

今回は、先輩から「有形商材の営業は無形商材の営業にはなれない」と言われたという相談者さんからのお悩みです。


扱う商材によって、営業としての市場価値は変わるのでしょうか?

キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。


本コンテンツは、Podcastまたは記事のお好きな方法でお楽しみいただけます。


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本日のお便り


ONE CAREER PLUSの佐賀です。

キャリアアナリストである私佐賀が、キャリアのお悩みに答えていくこの企画。

これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していく、シンプルなコーナーでございます。


さて、本日のお便りはこちら。

ラジオネーム「ゴールデンゾーン」さんからのお悩みです。

「佐賀さん、初めまして。
社会人5年目のゴールデンゾーンと申します。
現在、消費財メーカーでルートセールスをしています。
ドラッグストアやスーパーなどの小売店に商品を置いてもらうべく、バイヤーさんに営業をかけるお仕事です。
最近とある先輩から、「有形商材の営業はマーケットで評価されづらいから、無形商材の営業にはなれないと思う」と言われました。
これって本当なのでしょうか?
「有形商材の営業経験しかない場合、無形商材へのチャレンジは難しいのでしょうか?」


というお便りをいただきました。ゴールデンゾーンさんありがとうございます。


結論から申し上げますと、不可能ではないですよ。

先輩からそんな可能性狭めるようなお話して欲しくないですね。

先輩がなかなか転職時代、難しかったことがあるんですかね……。


まずこのご質問にお答えをするためには、

  • そもそも有形商材・無形商材とは
  • 業務特性の違いから紐解く「有形→無形の転職」が難しい理由
  • 無形商材チャレンジのために意識する点

の構成でお話しさせていただこうと思っております。






商材が有形・無形であることによる営業手法の特徴


そもそも営業って、めちゃくちゃ奥が深いです。

「営業」という言葉の括りが広いんですよね。


例えば、法人・個人とか、有形・無形とかに分類する考え方ってよくあると思うんですけど、その中でもさらに細分化していけるようなお仕事になっております。


ゴールデンゾーンさんもやってらっしゃるように、ルートセールスと呼ばれるようなものもあれば、完全新規で開拓をしていく営業もあれば、営業の窓口をまるっと担当して、いただいた予算をもとに課題解決を行っていくアカウントセールス・アカウントエグゼクティブというものもあれば、何か特定プロダクトに紐づいて営業をかけていくプロダクトセールスというものもあれば……と、かなり奥が深い仕事です。

ただ、今回はあえて有形・無形というふうにシンプルにして、違いをお話させていただければと思います。


まず、有形と無形の違いについてなんですが、もう本当に読んで字のごとく、そのままです。

「形ある商材を扱う営業なのか、形がない商材を扱う営業なのか」というところになります。


有形商材というのは、ゴールデンゾーンさんが勤めていらっしゃるように、消費財メーカーにとっての消費財。

シャンプーだったりだとか、食品だったりだとか、そういったマーケットはFMCGと言ったりしますね。

消費者の中で、すごく消費のスピードが速いと言われる日用品を扱うようなものや、単価が高い自動車・不動産など、こういったものを扱うものが有形商材の営業と言われます。

つまり、「消費者のどのようなニーズに対しての商品なのか」といったところが、イメージがしやすいという特徴がありますね。


一方で、無形商材というのは形がないと表現するように、決まりきった商材がないものを指したりします。

例えば、IT系の商材。

巷で流行りのSaaSも、いわゆるソフトウェアを扱う、プロダクトを扱うという形になりますので、何か形があるものを顧客に対して提供するわけではなく、自分たちのサービスにアクセスしていただいて使っていただくというような、形がない商品を扱っております。


それ以外だと、広告系とか人材系もこの無形商材と言われます。

「いやいや形あるじゃん。実際に紙媒体として出てくる広告だったりだとか」 「具体的に誰を採用するという人がいるじゃないか」と思うかもしれないのですが、それは販売する段階で「もうこれをあなたに買ってもらいますよ」という形あるものが存在するわけではなくて、その顧客の課題解決に対して適切なソリューションを当てはめるという要素があるので、無形商材に括られていることが一般的です。


このような有形と無形の違いによって、それぞれにどのような特徴が出てくるのか、ということをご説明すると、「有形商材の営業から無形商材の営業が難しい」と思われている理由が、ちょっとわかってくるかもしれませんね。






業務特性の違いから紐解く「有形→無形の転職」が難しい理由


まず有形商材の難しい点が、「自分の力で売ったのか、ブランド力が高いから売れたのかがわからない」というところにあります。


例えば、私がトヨタさんのディーラーで働いている営業マンだったとしましょう。

自分のディーラー店舗にお客様がやってきました。

トヨタのランドクルーザーが欲しいとご相談に来ていただいて、商談を行い、お客様の「困りごとがある。支払力があまりなく、手元にあまりキャッシュがない」といった課題に対して「今はこういったローンの組み方ができるので大丈夫ですよ」と、ご説明することで安心していただいて、最後ご購入・ご成約に至りました。


これは、果たして私の営業力が高かったから売れたのか、それともトヨタさんのランドクルーザーという圧倒的なブランド商品力があったから売れたのが、微妙なラインですよね。

そのため、この有形商材営業は、「商材があるから売れたんじゃないの、あなたの営業力のおかげと言えるの?」というところに疑問が持たれてしまい、営業のスキルセットを示すのが難しいと思われている点が背景としてあります。


一方で無形商材はといいますと、話題を作るところからニーズを見つけ、それに対して自分たちの商材でどう解決ができるのか、というソリューション当て込むところから営業がスタートするという特徴があります。

もちろん無形商材の中でも、例えばSansanさん・ラクスさん・マネーフォワードさんなどのように、テレビCMもガンガンやっていて、「あの商材・あの商品導入したいね」と、すでに認知されていて導入を考えているというお客さんもいるので、そう考えると、営業マンのスキルがなくても売れてしまうということもあることにはありますが、一般的には、最初は顧客がその商品を必要としていない状況に対して課題を作りに行って、解決をしなくてはいけないというような特徴があります。


先ほど挙げさせていただいたラクスさんを例にします。

今までの経理業務は基本的には紙で行われていました。

裏を返せば、紙で何とかなっていたんですね。

ラクスの「楽楽精算」というサービスがなくても業務は回っていたんです。

そこに対して「その体制だと駄目ですよね」「こういった非効率さがありますよね」という課題を認知させる。

そして、そこに対し世の中に色々な商品がある中で、なぜうちの楽楽シリーズじゃないと駄目なのか、というソリューションを当て込むことで、初めて売れるという構造になってまいります。

そのため、こういった無形商材と有形商材の商談の始まりの違いや、顧客に対して成約・受注に向かわせるまでのコミュニケーションの違いの部分から、「無形商材の方が難易度が高いんじゃないか」という先入観が人事の中にもあるのは事実です。


しかし、それは「どちらが偉い、どちらが難しいのか」を示すものではありません。

先ほど、有形はそういう傾向があるとか無形はそういう傾向があるというお話をさせていただいたのですが、とはいえ傾向でしかありません。






無形商材へのチャレンジのために意識すべき点


有形商材でも顧客の課題解決に対して、そもそも商品を欲しいと思っていないところからニーズを作り出す営業ができている方もいらっしゃいます。

逆に、無形商材でも、テレビCMの恩恵などにより、商談が組まれたときには既に受注したいという状況になっているお客様もいたりします。

そのため面接では、どうやって顧客の課題を解決してきたのか、そして実績を上げるためにどんな努力や創意工夫をしてきたのか、ということがしっかりと言えれば、突破する余地は十分にあります。


ただ、営業をやってきた方も、自分自身の中では特別なことをしているという認識はなかったりします。

転職マーケットで他社の方に話を聞かれた際に「それすごいですね」と言われて、「自分ってこれが強みなんだ」「自分自身はこれが当たり前だと思ってやっていたけれども、当たり前じゃないんだ」と、初めて自分の市場価値に気づくというケースがよくあります。


なのでまとめると、有形無形に関わらず、特に有形商材で今自分自身はマーケット評価されづらいんじゃないかと誤解されていらっしゃる方は、どのような創意工夫を行って、お客様の課題解決や、自社商品の提供・販売という取り組みをやってきたのかの棚卸をしてみてください。


自らの創意工夫を知るためには、

  • マニュアルに書かれている定型業務の進め方はどうなっているのか
  • 自分以外はこう進めているけれど、自分はこういう工夫をやって業務を進めている

といった部分が見つかると、自分だけのオリジナルの創意工夫が見つかってくると思います。

その点を面接の中で話していくと、高い営業力というものを示すことができて、無形商材でも何でも、難易度の高い営業に挑戦していくことができる実績が見つかるのではないでしょうか?

少し長くなりましたがこういった形式でぜひご自身の経験の棚卸をしてみて、面接対策をしてみてください。


有形から無形への挑戦、全然不可能ではありません。

有形・無形、どっちが偉いなんてことはございません。

ぜひ積極的にチャレンジしてみていただければと思います。






さいごに


さて、いかがでしたでしょうか。

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それでは、また次のラジオコーナーでお待ちしております。

さようなら!



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