こんにちは、トイアンナです。
「この1年間、一度も、誰からも怒られてないんです……」
そう打ち明けたのは、大手総合系の中でも、ホワイトだと有名なコンサルティングファームに勤める28歳の男性でした。
彼の悩みは「自分の何がダメなのか、誰も教えてくれない」というものでした。
心理的安全性は、「優しさ」という意味ではない
ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授は、「心理的安全性」を「対人関係のリスクを取っても安全だと信じられる状態」と定義しました。(※)つまり、心理的安全性がある職場とは単に優しい職場のことではなく、言いにくいことが言える職場のことです。
そしてエドモンドソンは、心理的安全性を単独の指標として扱っていません。「心理的安全性」と「アカウンタビリティ(責任・要求される基準)」の2軸で、組織を4つに分けています。
目指すべきは右上、「安全に発言でき、かつ要求水準が高い状態」である学習・成長ゾーンです。ところが日本企業がこの10年で実装したのは、たいてい左上のコンフォートゾーンでした。
安全性は上げた。ハラスメント研修もやった。1on1も導入した。ただ、基準を上げるほうを忘れた。 居心地はよく、目標は曖昧で、成果への緊張感がない。これが「ぬるま湯」です。
ぬるま湯と学習ゾーンを見分ける基準は、ひとつだけです。その職場で、言いにくいことが実際に言われているかどうか。 意見の対立が起きないチームは、安全なのではなく、諦められているだけの可能性があります。
(※)心理的安全性=ぬるま湯?よくある誤解と本質の違い・4つの象限で見分ける方法
「差し戻されない」まま、1年が過ぎた
冒頭の男性であるTさん(仮名)は、入社数年目のコンサルタントです。
うちは本当にいい会社なんですよ。詰められないし、深夜労働もない。上司も丁寧で。……ただ、去年ふと気づいたんです。僕、この1年で資料を一度も差し戻されてないって
差し戻されていないから優秀なのか、と聞くと、彼は首を振りました。
違うんです。上司が自分で直してたんですよ。僕が出した資料に『ありがとう、助かる』ってレスが来て、翌日クライアントに出た版を見たら、構成が丸ごと変わってた。悪気はないんです。そのほうが早いから。でも僕は、自分の資料の何が悪かったのか、1年間わからないままです
Tさんが違和感を確信に変えたのは、後輩の一言だったそうです。
新卒で入った子に『Tさんの資料、いつも修正入りますよね』って、悪気なく言われて。……あ、みんな知ってたんだ、って。知らなかったのは僕だけだった。ショック、でしたね。誰も、教えてくれなかった
誰も怒らない職場で、実際に何が起きているのか
なぜこうなるのか。これは、Tさんの上司が不誠実だからではありません。ここには、3つの理由が絡んでいました。
さらに・・・



