ユニクロやGUに代表される、グローバルファッションブランドを経営するファーストリテイリング。
業績数値を重視した成果主義で、年次に関わらずグレードや給与が決定されます。
本記事では、2024年に実施した社員への独自インタビューやONE CAREER PLUSに寄せられた5万件以上のクチコミをもとに、ファーストリテイリングの給与体系や評価制度を解説します。
ファーストリテイリングってどんな会社?
ファーストリテイリングは1946年に山口県で創業された小郡商事株式会社がルーツを持ち、1991年に現在のファーストリテイリング株式会社に社名を変更しました。
現在は株式会社ユニクロ、株式会社ジーユーを傘下に持つ持ち株会社です。
本社は山口、本部は東京赤坂と有明に置かれており、従業員数4万3059名を有する企業で、連結売上高は1兆6817億円を誇ります。
特にユニクロ事業では企画・生産・物流・販売の全てを自社で一貫して行うSPA(アパレル製造小売業)として低価格帯ながら高品質なカジュアルウェアを市場に提供しており、日本のアパレル市場の6.5%のシェアを占めるほどの成長を遂げました。
海外進出にも力を入れており現在ではユニクロ事業全体の売り上げの約44%を海外売上が占めています。
ファーストリテイリングのグレード別年収まとめ
以下がファーストリテイリングのグレード別の年収です。
ファーストリテイリングの年収は、基本給と賞与で構成されています。
基本給は、グレードに応じて支給されるベース給と、一般的な地方手当に該当するライフデザイン給の大きく2つに分けられます。
ライフデザイン給は、総合職であれば一律5~6万円程度支給されます。
地域正社員と呼ばれる枠になると、都内勤務者は一律で5~6万円程度、地方赴任の場合は最大10万円程度が支給されます。
小売業のため、新卒入社者を中心に営業職 (店舗勤務者)は転勤が多く、赴任場所に応じてライフデザイン給が支給される形です。
賞与は、年に2回支給されます。
4月は個人のパフォーマンス評価に応じた通常賞与、10月は通常賞与に加えて所属部署の業績と個人の年間評価に応じた決算賞与が支給されます。
また、Sグレードまでは残業代が支給されます。
ファーストリテイリングの各グレードの期待役割
ファーストリテイリングでは、全てのグレードにおいて、昇格にあたっては売上貢献が最も重要な指標となります。
個人が保有するスキルではなく、自身が所属する店舗やエリアの業績をどれだけ伸ばせたかというチームの数字が重視されます。
なお、特にMグレードやEグレードへの昇進については、各ブランド法人(ユニクロ、ジーユー、プラステなど)ごとに昇進の難易度はやや異なります。
【Jグレード】350~600万円
Jグレードの社員は、主に店舗での販売業務に従事します。
基本的な接客スキルや商品管理、在庫管理などの基礎業務を学び、現場の運営に携わります (営業職)。
新卒で入社した場合は基本的にJグレードとして店舗業務に携わることからキャリアがスタートします。
【Sグレード】500~1,000万円
Sグレードの社員は、店舗運営の全体管理を担当します。
具体的には、アルバイトや若手社員の教育、売り場計画などの店舗業務の管理などが含まれます。
S2 (入社後1~3年目)のタイミングで、営業職としてのキャリアを継続するか、本部職を目指すかでパスが分かれてきます。
現場 (営業)での経験やスキルを活かしてエリアのスーパーバイザーになるというパスもありますし、商品計画などの企画面でのセンスを活かして有明本社の商品企画部門のメンバーになるというパスもあります。
Sグレードの中でもS4~S5は課長職一歩手前の段階で、一営業パーソンとしての成果では昇格が難しいグレードと言えます。
【Mグレード】800~1,500万円
Mグレードでは、関東エリア、東京エリア、などエリアごとの全体の売上目標の策定と達成に責任を持ちます。領域全体の管理職であり、昇進ハードルは高いです。
担当エリアの売上目標を達成するための戦略立案や実行、店長やスーパーバイザーのマネジメント、社内の調整・交渉など、高度な管理能力が必要です。
部門としての売上目標をエリア全体で達成できるよう、戦術を数十店舗に落とし込んで行くことが求められます。
【Eグレード】2,000~4,000万円
Eグレードへの昇進は狭き門で、20~30人に1人程度の通過率です。
企業全体の成長を促進するための事業計画の策定や、新規事業の開発、グローバル戦略の推進などが主な業務となります。また、企業文化の醸成や部下の育成にも大きな責任を持ちます 。
新卒入社の場合は営業としてのキャリアパスがメインで、現場のオペレーションや経験は秀でたものがあります。一方で、運用面での強みがメインとなるため、より経営的な視点や中長期な視点が求められるEグレードへの昇進は一定のハードルがあるようです。
近年では、全社として事業革新が求められている中で、リクルートやコンサル出身者が役職者に抜擢登用されるケースが増えています。
ファーストリテイリングへのキャリア入社で押さえておきたいポイント
① コンサルや新規事業領域の出身者が多い
バックグラウンドとしては、コンサルティングファームや、メガベンチャーなどの事業会社で新規事業領域を担当した方が多いようです。
事業革新が迫られるフェーズで、外部からナレッジを吸収し数字をドラスティックに伸ばしていくために、中長期視点で事業戦略やデータアナリティクス、マーケティングなどをリードできる人材が求められています。
一方で、営業職は社内にたたき上げの方が多く在籍しているため、キャリア入社者は少ないようです。
②選考時には事業革新への貢献実績が見られる
従来の店舗展開による売上利益以上の業績目標を掲げるファーストリテイリングでは、ECをはじめとした新領域での業績伸長や、データを活用したオペレーション整備など抜本的な事業革新が経営アジェンダとなっています。
そのため、前職で新規事業を担当していたり、データを使ったマーケティング経験があるなど、企画領域で華々しい実績を出している方やスキルセットが備わっている方が採用されています。
定性面では、物事を考えて体系的に整理する思考力に加え、上層部とコミュニケーションを取って予算を獲得したり、他事業部も含めて根回や交渉をしたりといった、大きな組織で数字を作るための素養が見られています。
③ 新卒入社者との協業が課題
キャリア入社者が多い一方で、定着率が高くないことが課題のようです。
店舗を大切にするという風土も相まって、店舗現場に立つ営業の声が大きく、M職以上の管理職グレードにおいても営業生え抜きの方々とキャリア入社者の協業が課題になるケースが多いと言います。
入社時は上層部の意向である事業刷新の一翼としてチームに入りますが、実際には営業生え抜きの方々との考え方が合わず辞めてしまう方もいらっしゃるというのです。
数字へのコミットメントという点では全員が同じ方向を向いているものの、営業出身の方々は「来月のイベント商戦にどう勝つか」など1週間や1か月単位での数字を重視するのに対し、キャリア入社の方々は中期経営計画の粒度で数年単位の数字を重視するという時間軸の違いが協業を難しくしているそうです。
データアナリシスなど足元の売上成果が出ない施策は、現場からの支持を得られず苦戦するという声が聞かれました。
経営目線での高い視座を持ちつつ、現場と密にコミュニケーションを取りながら合意形成を行い、中長期の業績に甘んじず足元の業績も併せて考慮できる人材が求められているようです。
ファーストリテイリングの評価基準・評価フロー
ファーストリテイリングの評価制度は、自身が所属するチームの業績が評価に大きく影響することが特徴です。
評価は年に2回行われます。
各評価期間において、社員は定量面と定性面の両方で評価されます。
具体的には、MBO評価(定量面)と360度評価 (定性面)が実施され、個人の貢献度やプロセスが総合的に評価されます 。
MBO評価においては、全社として掲げる売上利益目標を各事業部に割り振る形でトップダウンで目標が決められ、目標設定の段階でアグレッシブな数値目標が置かれるため、顕著な成果が無ければ100%達成は難しいそうです。
また、目標数値は個人の業績ではなく自身が所属するチーム (店舗や事業部)の業績で設定されるため、個人のスキルやパフォーマンスが良くてもチームとしての業績が目標に満たない場合は評価も低くなります。
チーム業績への個人の貢献度合いは、顕著な貢献がある場合に加点要素として扱われます。
これは総務や人事などの管理部門においても同様で、事業部の売上が各人の評価において多くのウェイトを占めます。
評価は5段階で行われます。
上述の通り目標自体がアグレッシブなため、3の評価を取る人も多くはありません。
5:120%達成
4:110%達成
3:100%達成(例えば、EC部門では前年同月比130%が目標として設定されていた)
2:90%達成
1:80%達成
評価段階では、部長が役員層と他部長との折衝の上で各部の給与原資予算を獲得し、それを自事業部のメンバーに分配します。
一次評価を課長が行い、最終評価は部長によって行われます。
1~5の評点に応じて賞与の額が決まり、評点が一つ変わると賞与額に10%程度の差が生じます。
ファーストリテイリングで評価が高い人の特徴
ファーストリテイリングでは、目標数値をハイ達成することが評価にもっとも直結します。
また、定性面においては、目標数値を達成するために他部署の巻き込みも含めてどれだけ広範囲にアクションを取れたかも重要です。
各グレードの昇格においては、4や5などの高評価を2期連続で取得するなど華々しい成績を残すとグレードが1つ上がることが一般的です。
Sグレードになると、3回程度連続して高評価を獲得したうえで、360度評価も含めて顕著な成績が必要です。
また、S4~5グレードは次なるMグレードに向けて管理職ポジションへの登用の如何を評価されます。
この段階においては、他部門のMグレード (課長職)役職者の過半数以上が360度フィードバックを通じて課長として適切であると推薦することが求められます。
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※本記事は、原稿作成の一部過程において生成AIを使用していますが、ONE CAREER PLUS編集部のエディターが編集・校正を行った上で公開しております。