はじめに
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストが、皆様のお悩みや一般的な疑問にお答えする連載企画。
今回は、メガベンチャーに勤める方からのお悩みです。
昇給や仕事内容に夢見る部分もあったが、現実とのギャップに苦しんでいらっしゃる現状をどう整理するべきか?
キャリアデータを知り尽くすキャリアアナリスト佐賀が、率直にお答えします。
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本日のお便り
皆さんこんにちは、ONE CAREER PLUSの佐賀です。
キャリアアナリストである私佐賀が、キャリアのお悩みに答えていくこの企画。
これまでONE CAREER PLUSに寄せられた相談や、一般的に皆さんが悩むであろうテーマを取り上げ、ラジオ形式で解決していく、シンプルなコーナーでございます。
さて、本日のお便りはこちらです。
ラジオネーム「岐阜のナンバーワンベンチウォーマー」さんからのお悩みです。
ちょっと長いんで略称しますね (笑)
「佐賀さんこんにちは。
私は現在、メガベンチャーに勤務する社会人7年目です。デジタル広告を担当しています。
私がいる会社は、良くも悪くも大手企業化していて、一気に給料が上がることが無くなってしまいました。
昔は月に10万円上がる、なんてこともあったのですが、今は1~5万円くらいしか上がりえず、昇給に夢がない。
ベンチャーだと思って入社したのに、リターンが大きくないように感じます。
めちゃくちゃ仕事をして成果を出しても、周りと待遇にあまり差がつきません。
また、待遇だけではなく、仕事内容にも不満があります。
優秀な人がどんどん辞めていって、残っている中堅以上に仕事が集まります。
特に、後輩育成がメインになってきています。
「薄く広く」な業務になり、自分のスキルアップができなくなってきているように感じますし、自分よりレベルが高い人と働く機会も減りました。
自分が他の企業にいったらどれくらいの年収で戦えるのかが気になっています。
デジタル広告を主軸とする自分は、どんなスキルタグを求めてどんな企業に転職するべきなのでしょうか?」
というお悩みです。
いやあこれは結構、ベンチウォーマーさん、溜まってますねえ。
いろんなご不満があり、なかなかあれもこれもという風になってきてしまっているかとは思いますので、1個ずつ紐解いてご相談に乗れればなと思っております。
メンバーとしての待遇の限界地点に達した可能性あり
私もですね、新卒ではメガベンチャーに在籍をしておりましたので、お気持ちわかります。
やっぱり自分自身が入った頃は、まだ未上場のレーター~ミドルフェーズぐらいで、社員も数百人でした。
ところがそれが千名、数千名という風に増えていくにつれて、大人な会社にならなくてはいけないです。
上場したりだとかして。
すると、社内の中を整えていく。
今までの評価基準といったものも、しっかりと不満が出ないように、広くみんなからも受け入れられるように、きっちりとグレード整えなくてはいけない、評価制度も整えなくてはいけない。
そうすると、グレードも分かれていって、1回当たりの昇給金額っていったものも確かにおっしゃる通り、月当たり数万円台になるっていうのも納得感はあります。
なので、まず現職の中で年収を上げるには、というところについてお話させていただくと、やっぱりこういった大きな企業で年収をどっと上げるには、大事になってくるのは昇格だと思っております。
それこそグレードを上げるっていうところだったりですとか、マネジメントラインに乗っていくっていうところかなという感じです。
例えば私も大手企業の方々のお話を聞いているんですけれども、五段階中二番目のグレードだと年収500万円、けどこの三番目のグレードになった瞬間700万円ぐらいになるんですよ、みたいなところだったり、マネジメント手当が付くことによって年収がっと上がります、なんていうふうなお声をいただくこともあります。
そう考えると、実は今、ベンチウォーマーさんが不満に思っていらっしゃる後輩育成、この業務って、年収を上げる昇格をするために非常に重要な業務になっているんですね。
今まではおそらくベンチウォーマーさんはプレーヤーとして数字を上げてきていたと思います。
そこでしっかりと成果を出していたと思います。
それに伴って、一定給料って上がってきたと思うんですよ。
昔は月10万円上がるっていうことがあったということなので、しっかりと現職は、おそらくプレーヤーとしてのベンチウォーマーさんを評価してくれていると思います。
現在のグレードがおそらくメンバーとしての限界地点というか、メンバー・リーダーとしての限界値ぐらいにまで来ているのではないかという印象です。
となるとここから重要なのは、マネジメントライン、もっともっと、メンバー育成だったりだとかなんなら採用だったりだとか、そういったところにまで干渉範囲を広げていかないと、より待遇といったものを会社側が与えることは難しくなってくると思います。
そのためには、一プレーヤーとしての成果ではなくて再現性ですね。
自分が今まで当然のようにやってきたことを、次のメンバーたちにも再現を持たせることができるのか、育成をすることができるのか、というところがミッションになっていくと思うので、そういった期待で今この業務が与えられてるんじゃないかなという風には思います。
なので、この会社でまだまだキャリアを作っていきたい、好きだ、ということであれば、ご不満に感じていらっしゃるこの後輩育成の業務に関しては、頑張っていただきたいです。
もうひとつ私が気になったのは、今の上長の方とベンチウォーマーさんの昇格だったりだとかキャリアの目線合わせできてますか、というところです。
もしかすると、上司からの期待とベンチウォーマーさんの目指すキャリア認知がずれている可能性があります。
そこら辺の対話をすると、なぜ今自分がこれをやらなくてはいけないのか、そして、どういうスパンで待遇を上げていくのか・昇格するのかろいうとこにも納得感が持てると思いますので、ぜひぜひ、一度時間を作ってみてください。
スキルアップの鈍化はありうる。ではどんな経験を積みたいか?
そことは置いておいて、スキルアップという点についてなんですけれども、これは「確かに」なところもあるかもしれません。
会社が大きくなってくると、そしてこの中堅レベルまで上がっていくと、やらなくてはいけないミッションといったものも多くなってくるとは思います。
なのでその分、できることが増えていく感覚は昔ほどはなくなっているかもしれません。
ここでなんですけれども、やっぱりベンチウォーマーさんが、キャリアの中で何を大事にしたいのかという点が重要になってきます。
年齢的にもおそらく30代に突入する世代だという風に思いますので、ここでしっかりマネジメント経験を積んでおきたい、であれば、まずは現職の中でそこにフォーカスをするのは、年収を上げるというところから見てみてもありだと思います。
でも一方で、まだマネジメントラインに上がるじゃなくて、プレーヤーとしてできることを増やしていきたい、そういった感覚があるんであれば、一つは社内異動だというふうに思いますし、それも叶わない、自分の希望する部署への配置転換は難しいなんであれば、そこで転職という選択肢が出てくるんではないでしょうか。
デジタル広告は大切にしつつ、大きく2つの転職選択肢を考える
では、これまでデジタル広告をやったベンチウォーマーさんがどんな先に転職をすることができるのか・した方がいいのか、という点についてなんですが、やっぱりですね、僕はこのデジタル広告という武器は大切にした方がいいんじゃないかという風に思います。
道は大きく二つです。
①デジタル広告を主戦場にする
②デジタルといったテックの文脈は持ちつつ、他のところにマーケットに挑戦をする
パターン① デジタル広告を主戦場にする
今回、デジタル広告の営業担当だという風に仮定してお話させてください。
デジタル広告の営業担当、例えばアカウントプランナーとかですかね、そういったものをやっていたとするならば、例えばデジタル広告を主戦場にするとすると、1個は、コンサルティングファームのデジタル領域、例えばアクセンチュアソングさんのような、デジタルマーケに特化をしているコンサルティングファームといったものもあると思います。
なんなら電通さんの中のグループの電通デジタルさんとか、そういったところもそうですよね。
こういった企業に転籍することによって、このデジタルマーケティングのスキルセットをより高めていく、広告以外のマーケの方の手法に強めていく、だったりだとか、今までは予算を取ってくる営業で戦っていたところを、コンサルティング・課題解決の方にキャリアを振っていくということができると、より、また新しいスキルの獲得だったりですとか、年収を上げていくっていうこともやりやすいのではないでしょうか。
あとはデジタル広告を手段にするとするならば、これちょっとですね、運用側の方が行きやすいんですけども、デジタルマーケターというのも一手だと思います。
デジタルの広告代理店からマーケターになるデジタルマーケターになる人は、ほとんどが運用側にいた人なので、営業にいらした方もいけなくはないですが、ちょっと難易度はあると思います。
ただし、自分自身はそっちに歩んでいきたいんだという風なチャレンジ精神があるんであれば、一つ視野に入れてみていただくのはいいんじゃないでしょうか。
パターン② デジタルといったテックの文脈は持ちつつ、他のところにマーケットに挑戦をする
もう一つ、広告とはまた違ってデジタルテックの文脈を使ってというところでいくのであれば、IT系企業・ITスタートアップというところが選択肢に入ってくると思います。
もしくは、外資系IT企業なんかも入ってくるかもしれませんね。うん。
例えば、デジタル広告をやっていた方々が、外資IT大手、GAFAMだったりとかそういったところにチャレンジをするというケースもありますし、もしくは広く括ると無形商材の営業になってくるかと思いますので、ここでSaaSだったりだとか、AIだったりだとか、今トレンドになっているマーケットにチャレンジをするなんていうケースもあるといいます。
そういったところでキャリアを探していく、かつ年収だったりとか自分の希望するような条件が叶えられていく選択肢を探していかれるのが良いんじゃないかな、という風な印象です。
年収を決める3つの数字を理解する
どれくらいの年収で戦えるのか、というところについてなんですけれども、年収って大きくは3パターンですよね。
維持するのか、下がるのか、上がるのか。
これどうなるかっていうのは、正直どの求人に挑戦をするのかによって結構バラバラです。
なので、ベンチウォーマーさんにぜひお伝えしたい情報があるんですけども、年収ってどうやって決まっているのか、これはですね、三つの数字が関わってきます。
一つが、応募している求人の年収レンジ。
求人ごと・求人票ごとに、もしくは企業ごとに、このポジションだと最低いくら最高いくらまで払えますよ、という年収が大体設定されていたりします。
なのでそれがまずは、ご自身への提示年収を決める一つ目の数字ですね。
二つ目が、現年収です。
ベンチウォーマーさんがいくらもらっているのか、というところも基準になってまいります。
そして最後三つ目、これが意外と盲点なんですけれども、他企業はベンチウォーマーさんにいくら提示しているか。
つまりは、転職活動で複数の企業からオファーをもらっていると、その競合他社ですよねその企業からすると、競合他社がいくら出しているのかという年収も、ある企業の年収決定には影響してきます。
あの企業さんは600万出してます、うちの企業は本当に採用したいんです、だったら650万出してでも来てもらわないと困るよね、という風な形で年収が決まっていく側面もあります。
なので、これから応募する企業はどういった年収レンジになってくるのか、求人はどういう年収レンジになってくるのか、自分は今いくらいただいているのか、そして転職活動をしてみたことによって他の企業からはいくら提示されたのか、こういう数字を持ちながら、一種したたかに交渉していくところも求められるかと思います。
ただ、年収って非公開になっていたりだとか、なかなか交渉って自分からグイグイ行くとなんかお金だけが意思決定軸になってるみたいな風な見られ方をするのも損だと思います。
なので、そういう交渉は一部エージェントに任せてしまった方がいいところもあると思うので、どうやって戦っていけばいいか、そういった点についてご支援が欲しいという方々は、ぜひぜひ我々にも声かけいただければという風に思っております。
さいごに
さあ、いかがでしたでしょうか。
このコーナーでは、皆様からのお便りを大募集しています。
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それでは、また次のラジオコーナーでお会いしましょう。
さようなら!