SAPコンサルタントとは？仕事内容・必要スキル・年収・キャリアパスを現役社員のクチコミで徹底解説

企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）を支えるITコンサルタントの中でも、基幹システム（ERP）の領域で圧倒的なシェアを誇る「SAP」の専門家であるSAPコンサルタント。いわゆる「2027年問題」を背景にその需要はますます高まり、高年収や専門性を高められるキャリアとして注目を集めています。

しかし、具体的にどのような仕事で、ITコンサルタントと何が違うのか、キャリアパスはどう描けるのか、といった実態はあまり知られていません。本記事では、ワンキャリア転職に寄せられた現役SAPコンサルタントのクチコミや独自調査に基づき、その仕事内容から年収、求められるスキル、キャリアパスまで、リアルな実態を徹底解説します。

1.SAPコンサルタントとは？その役割と必要性

SAPコンサルタントは、クライアント企業の経営課題を、SAP社の提供するERPソフトウェアを用いて解決するコンサルタントのことを指します。単なるIT知識だけでなく、企業の業務プロセスに対する深い理解が求められます。

1-1.そもそもSAPとは？

SAPとは、世界最大級のエンタープライズアプリケーション提供企業であり、その製品群を指します。

SAP社はグローバルに従業員10万人以上の従業員を抱え、2024年の総収益は340億ユーロ以上と、ERP分野で長年にわたりプレゼンスを発揮してきました。ERP（エンタープライズ・リソース・プランニングとは、会計・人事・調達・販売・在庫などの企業の基幹業務を一元的に管理して業務効率化と意思決定の高度化をサポートするシステムであり、SAPの製品は多くの日本の大企業でも利用されています。

（参考）企業情報 | SAP について

1-2.2027年問題とSAPコンサルタントの将来性

SAPコンサルタントの需要を語る上で欠かせないのが「2027年問題」です。これは、現在多くの企業で利用されているSAPの主要なオンプレミス版ERP製品「SAP ERP 6.0」の標準保守サポートが、2027年末に終了することに起因する一連の課題を指します。

このサポート終了に伴い、多くの企業は最新バージョンである「SAP S/4HANA」への移行を迫られています。この大規模なシステム移行は、単なるバージョンアップにとどまらず、企業の業務プロセスそのものを見直す絶好の機会となります。そのため、移行プロジェクトを計画・実行できるSAPコンサルタントの需要が急激に高まっています。

（参考）SAPの2027年問題とは？移行の注意点を解説 | NECソリューションイノベータ

2.SAPコンサルタントの仕事内容

SAPコンサルタントの仕事は、ITコンサルタントの一種ですが、SAPという特定の製品群に関する深い知識が求められる点で専門性が高いと言えます。プロジェクトは大企業の根幹を揺るがす大規模なものが多く、その仕事の流れも多岐にわたります。

2-2.仕事の流れ

具体的な仕事の流れについて、SAP導入案件に強いアビームコンサルティングの事例を参考にしながら見ていきましょう。

1. 準備・計画フェーズ: プロセスマイニングなどの手法を用いてクライアントの現状の業務を可視化・分析し、課題を特定します。その上で、移行に伴うリスクを洗い出し、安全なプロジェクトのロードマップを策定します。

2. 要件整理・業務設計（ブループリント設計）: クライアントの業務要件をヒアリングし、SAPの標準機能をどこまで適用し、どこにカスタマイズ（追加開発）が必要かを判断します。このフェーズで作成される「ブループリント（設計図）」が、プロジェクト全体の骨格となります。