事業づくりに手触り感をもって携わりたいー。もしあなたにそうした考えがあるのならぜひデベロッパーという選択肢を検討してみてほしい。
「事業づくりに挑戦できる転職先」と聞けば、スタートアップ・メガベンチャーの事業開発職や、商社、外資系企業といった業界を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実はデベロッパーにおいても、事業づくりに携わることができる、且つ業界未経験でもチャレンジできることをご存じでしょうか?
本記事では、デベロッパーの仕事の実態と、そこから広がるキャリアを東急不動産の事例をもとに紐解いていきます。
デベロッパーの本質は「事業プロデュース集団」
みなさんの中には、デベロッパーと聞くと「まちづくり」をイメージする方も多いでしょう。たしかに普段私たちの目に見えて想像しやすいのは、建物やまちをつくる役割です。
しかしキャリアの視点で仕事を深堀りしてみると、「デベロッパー=事業プロデュース集団」という側面が見えてきます。
デベロッパーといっても、まちづくりの工程は複雑で多岐にわたり、かつ各工程において多様な関係者が存在するため、どの工程を担当するかによって、ミッションや身に付くスキルは異なります。
ただ、どのフローにおいてもデベロッパーの仕事には共通して「難易度の高いプロジェクトマネジメント力」や「PL/BS視点(事業視点)」が求められます。これが「デベロッパー=事業プロデュース」であると言える理由です。
ここからは、実際にデベロッパーとして活躍する社員へのインタビューをもとに、よりキャリア理解を深めていきましょう。
異業種から東急不動産に中途入社し、活躍している3名に「デベロッパーで実現できる事業プロデュース」や「身に付くスキル」「働く醍醐味」について聞きました。
東急不動産で体現できる事業プロデュースとは
ー早速ですが、みなさんが現在担当する仕事とそこで求められるスキルについて教えてください。
玉野:私が担当する業務は「用地取得」にあたる仕事です。用地取得においてはまず用地情報収集や現地調査を通じて、「どのくらいの事業期間で、どのくらいの利益が得られるか」を算出し、投資すべき土地かどうかを見極めます。買収段階では、競合他社が参入していることも多々あるため「どれだけ付加価値を付けることができるか」を考えながら事業計画を作る企画力が求められます。
また、営業力やプロジェクトマネジメント力も必要です。というのも、情報収集においては、いかに希少価値の高い情報を競合より早く獲得するかが重要になるからです。
そのためには不動産業者の方々との関係構築が欠かせません。プランニングにおいては、土地買収段階で開発や販売を担う社内の関係部署との調整も必要となるため、プロジェクトマネジメントの要素も多分にある仕事と言えます。
小田嶋:私は「計画」のフローにあたる、開発企画を担当する部署に所属し、新規案件の取得や大型複合施設の開発プロジェクトに関わっています。開発企画段階における検討事項は、建物の施工計画を建築会社等と調整するハード面と、それ以外のソフト面の大きく二つに分かれるのですが、私は後者のソフト面の施策立案・推進を担っています。
例えば、事業収支の組立てや運営・管理スキーム検討、公共貢献のために施設が備えるべき機能の検討など、やることは多岐にわたります。複数のプロジェクトを多様な関係者を巻き込みながら滞りなく進行するプロジェクトマネジメント力が重要になる仕事です。
鳥巣:私は、東急不動産グループ横断でDXを推進するDX推進部に所属しています。現在は主に「業務の省力化」「CX向上」「イノベーションの創出」という3つのテーマに取り組んでいます。
そもそも当グループでDX推進をはじめるにあたり「まず何からやるべきか?」といった戦略を立てるところから、実際に施策を立案し実行するまでを担当しており、正解のない問いに対して戦略を立てる力、実行する力は日々求められています。
IT、金融、コンサル。異業種の経験はデベロッパーでどう活きる?
ーみなさん異業種からの転職とのことですが、前職での経験がどのように今の仕事に活きているのか教えてください。
玉野:東急不動産に入社する前は、約10年半信託銀行に勤めていて、金融のリテール営業と不動産事業を経験しました。中でもキャリアが長かった大企業向けのアドバイザリー業務では「企業が保有する不動産資産をどう有効活用するか」といった戦略策定の支援をしていたため、こうした経験はそのまま現職で活かせる部分がありました。
用地取得の仕事は企画営業の側面も強いため、金融機関の営業として培った、財務知識や法人企業に対するソリューション提案力は転用できている実感があります。
小田嶋:私は前職では、シンクタンクの研究員・コンサルタントとして働いていました。今でも活きていると思うスキルは2つあります。ひとつは複雑な課題を分解して細かいタスクにブレイクダウンし、関係者とスケジューリングしながら推進する力です。
もうひとつは新しい知識習得へのノウハウです。開発業務では、図面の理解だけでなく、都市政策、建築、会計、金融など幅広い分野の知識が必要となります。すべてを完璧に理解することは困難ですが、新しい知識に出会ったときに好奇心を持って学び、専門家や関係者と議論できるレベルまで習得するプロセスは前職を通じて身についたと感じています。
鳥巣:私は新卒でIT企業にエンジニアとして入社以降、東急不動産に入社するまではずっとITの領域でキャリアを積んできました。特に経験が長いのは、システムコンサルティング企業でのコンサルタントとしてWEB系のシステム構築をした経験や、証券会社でCX関連のサービス企画をした経験です。
DX推進部に所属しているため、前職からのデジタルに関する知見はもちろん今の業務に活かせています。これまでの経歴と現職の繋がりという点では、プロジェクト推進の経験があります。
前職でも現職でも現場の事業部門の方々と一緒にプロジェクトを伴走することがありますが、社内の関係者の中にはこれまでやり慣れた方法からDXにシフトするのを難しく感じる方もいます。
そうした場面で双方にどんなメリットがあるのかを丁寧に説明し周りを巻き込むことは前職でも経験があり、業種に限らず通ずる力だと感じています。
ー 逆に前職との違いを感じる点や、東急不動産に入社して新しく得られた経験について教えてください。
鳥巣:私は不動産業界に関する知識が全くなかったため、入社時には専門知識のキャッチアップが不安でしたし、苦労しましたね。ただ周りにたくさん専門家がいるので、社内の助けを得ながらプロジェクト推進を進める中で、今ではかなり知識も身についてきたように感じます。
小田嶋:シンクタンク時代は、受注者としての立場で発注者の期待に応えることが求められたため、ゴールがある程度明確でした。
一方でデベロッパーの立場で開発する場合は、ステークホルダーや社内関係者の様々な声を集約し、まちとして何が求められるか自分なりの考えを入れ込みながらゴールを設定しなければなりません。そのため、前職よりもステークホルダーの数もコミュニケーション量も圧倒的に多くなりました。
玉野:私も小田嶋さんと同じく、立場が違うという点が大きいですね。金融機関ではアドバイザーという立場だったため、リスク管理の観点が重要でしたが、現在は事業主体として自ら用地を取得する立場です。
そのため、リスク面に寄りすぎた考え方ではなく、どれだけ付加価値の高い仕事ができるのか、よりプラスの方を考えるようになりました。
求めたのは、事業の主体者としての手触り感。転職の経緯
ーそもそも、もともと異業種で働いていたみなさんは、どのようにしてデベロッパー業界に興味をもったのでしょうか?
鳥巣:転職活動の際に業界は特に決めておらず、これまでの経験が活かせそうな領域で幅広く会社を見ていました。その中で、東急不動産が「ハード面だけでなくソフト面の強化をしていきたい」という方針を掲げており、私の経験が活かせそうだと思ったのが興味をもったきっかけです。
また、前職では証券会社のサービス企画に携わっていたのですが、数字を扱う金融業界とは異なり、不動産というリアルアセットのある業界で価値提供をしてみたいという想いもありました。
玉野:私は大学時代に建築を学んでいたこともあり、就職活動時代から「まちづくり」に興味がありました。そのため、信託銀行時代も手を挙げて不動産事業に携わっていたという経緯があります。
前職でも不動産のコンサルティングや仲介営業など近い領域に携われたのですが、あくまでも第三者的にしか関われないことに物足りなさを感じていました。事業主の立場として不動産ビジネスに関わりたいと思ったのが転職を決意したきっかけです。
小田嶋:私も大学時代から「まちづくり」には関心がありました。東日本大震災後の仙台で地域社会学を学んだこともあり、地域・都市政策に関わりたいと考えて新卒ではシンクタンクに入社しました。
そこで交通や災害対策といった分野に携わる中で、「より手触り感をもってまちづくりに関わりたい」という想いが芽生え、社会人大学院で都市計画を専攻したあと、デベロッパーの仕事を志しました。
フレキシブルで先進的。業界の中でも異色の存在だった東急不動産
ー玉野さん、小田嶋さんはもともとデベロッパー志望だったのですね。デベロッパーの中でも東急不動産のどのような点に魅力を感じたのでしょう?
玉野:入社前から「東急不動産は業界の中でもフレキシブルな会社である」という印象を持っていて、そこは魅力に感じていました。自社グループですべてをやり切ることにこだわらず、違う業界の方とアライアンスを組んで連携する例も多くあります。そうした協業を厭わないからこそ、いろんな面白い案件に携われるのではと感じました。
小田嶋:柔軟性は私も魅力に感じた点です。もともと不動産業界に対してはやや保守的なイメージがあったのですが、東急不動産は外部のプレイヤーと連携していこうとする姿勢や、私たちのような異業種出身者に間口を広げて採用をしている点など、オープンで挑戦的なカルチャーがありますよね。
先進的な取り組みに常にチャレンジしているところは、どこかスタートアップのような気概も感じています。
入社後に感じた魅力もお伝えすると、現場担当者の裁量が大きいことです。他社デベロッパーと比べると、当社は少数精鋭で1人の裁量が大きい印象があり、意思決定においても現場担当者に任せてもらえます。
鳥巣:2人から挑戦や共創といった話が挙がったので補足をすると、最新のデジタル技術を活用したまちづくりの案件が多いのも当社の特徴です。
DX推進部では、社内コンサル的な立場で社内のあらゆるプロジェクトにグループ横断で携わっているのですが、例えば、竹芝地区でのスマートシティプロジェクトや「Shibuya Sakura Stage」のソフト面の開発、ニセコ施設でのNFT販売など、リアルとデジタルを融合した価値向上に向けた取り組みが多くあります。
ーみなさんのお話しをまとめると、東急不動産は「挑戦」「共創」「フラット」なカルチャーが特徴的な会社であるとわかりました。
異業種出身だからこそ、活躍できるチャンスがある
ー最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします。
鳥巣:デベロッパーで仕事をする上での一番のやりがいは、自分が関わった案件が「目に見える」ところです。特に、私のようにデジタルやコンサル領域に関わってきた人で、「もっと手触り感をもちたい」という想いがある方にはぜひチャレンジしてみて欲しいですね。
小田嶋:コンサル時代は受託して仕事をするビジネスモデルなので、あくまでも自分がしたいことよりも顧客の要望が最優先でした。
一方で、今は自分がしたいことがまちや会社のためになることを説明して納得してもらえれば、自ら主体的に取り組んでいけることにやりがいを感じています。事業の主体者になりたい人や、多くの人を巻き込みながら形のあるものをつくりたい人にはとても魅力的な仕事です。
玉野:私は金融業界で財務面なども考慮して第三者的な視点でアドバイスしてきた経験を活かして、今もデベロッパーとして「ガツガツ」攻めるのではなく、売主や地権者の視点で提案できているかを常に意識しています。
柔軟な社風の東急不動産であれば、異業種出身者だからこそバリューが発揮できる瞬間もたくさんあるはずなので、ぜひみなさんにも一度デベロッパーというキャリアを考えてほしいと思います。
ーありがとうございました。
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