こんにちは。ワンキャリア転職のキャリアアナリストです。
この連載「キャリアアナリストのお悩み相談室」では、転職を考えている方からいただいたリアルなお悩みに、ワンキャリア転職のデータをもとにお答えしています。
本日のお便り
今回のご相談者ははこちら。ラジオネーム「掘削迷子(32歳・食品メーカー 法人営業職)」さんからです。
現在、人生で最も迷っている時期にあります。
私は大手重機メーカーで営業職として10年勤務しています。主に大型建設機械を国内の建設会社やゼネコンに提案・納入する営業をしてきました。昨年は年間15案件、約2.5億円の成約を担当し、営業部内ではトップ3に入る成績を出しています。
先月、人事から次の昇進についての打診を受けました。営業部長補佐のポジションで、配下20名のマネジメントと地域営業戦略の立案を任されるというものです。年収は1,050万円(現在は900万円)で、順調に進めば3年後に部長昇進も見えているとのこと。「安定の出世コース」だと実感しています。
しかし同じタイミングで、個人的に連絡をくれていたベンチャーキャピタルの投資先スタートアップから、事業責任者ポジションの内定を受け取りました。B2Bの建設DXプラットフォーム企業で、営業・事業開発を統括するポジションです。給与は年720万円ですが、経営層(CEO、CFO)と経営判断に関わること、1年目から売上目標設定・チーム採用・予算配分を担当することが魅力です。
正直、迷っています。大手での管理職経験と年収の安定性は捨てがたい。でも、「10年後、本当にやりたかったことをやれているのか」という問いが頭を離れません。スタートアップは失敗のリスクもあります。何を判断軸にして決めればよいでしょうか?
大手メーカーからの昇進打診とスタートアップの事業責任者の機会という、ともに魅力的な2つの選択肢を前に決断に迷っています。年収、経営経験、キャリアの修正可能性の3つの視点から整理してみましょう。
年収と将来のキャリアオプション──「30代で企業規模を変える選択」の現実
大手メーカーの部長補佐で1,050万円、スタートアップで720万円。330万円の年収差は家計への影響を無視できません。しかし注視すべきは「将来の年収カーブ」です。
ワンキャリア転職の転職体験談データ(2026年4月時点)によると、法人営業職からの転職1,972件のうち、年収ダウンを選んだ転職者は約23%います。その転職者が転職で重視したポイントの1位は「スキル面の成長」、2位は「企業の成長性」でした。
つまり、年収を下げてでも転職する人の多くは「今の仕事では得られない成長環境」を求めているというのが実態です。
営業部内トップ3の実績は誇るべきものです。ただし大手企業では、個人の営業力が管理業務に圧倒されます。昇進すれば、部下マネジメントと予実管理に時間が割かれるようになります。対してスタートアップでは、事業責任者として「営業戦略から採用・予算配分まで一気通貫で経営判断ができる環境」が手に入ります。
実際に大手企業からスタートアップへ転職した方からは、このような声も届いています。
人数、売上規模の大きい企業にしか所属したことがなかったので、小規模なスタートアップで裁量と影響力高く働きたいと思ったため。 (ミロク情報サービス 法人営業→ACALL、社会人歴10〜15年)
スキルが活かせる場所と失敗からの学習機会
10年間、営業として培ってきた「案件構造の読み方」「顧客との信頼構築」といったスキルは、スタートアップの事業責任者として活躍するうえで役立てることができるでしょう。建設DXという業界知識も強力な武器です。
一方、スタートアップは失敗リスクが高い。VC投資を受けているとはいえ、増資やM&Aといったエグジット戦略は不透明です。それでも初期段階の経験に価値があるのは、失敗からの学習機会が豊富だからです。
「事業を自分で立ち上げ、育てたい」という志向がある場合、大手での昇進ルートはその機会を先送りにし続けるリスクをはらんでいます。
ここで、掘削迷子さんと似た考えでスタートアップ転職をした方の事例をご紹介しましょう。
デロイトトーマツでコンサルタントとして勤務していたDさんは、マネージャー昇進を目前に、スタートアップへ転職しました。
私は転職にすごく満足していますし、CMOとしてプレゼンスを高めていければ、役員として社会に価値を出すこともできると思っています。だけど、今の会社の売上がめちゃくちゃあるわけでもないし、IPOもどうなるか分からない。年収も以前よりは大きく下がってます。
さらに・・・



