「外資系コンサルは激務」というイメージが先行しがちなデロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト)。しかしその実態は、部署やプロジェクトによって大きく異なるようです。
本記事では、ワンキャリア転職に寄せられた現役社員・元社員のクチコミや転職体験談といった独自データをもとに、デロイトの激務の実態、ワークライフバランス、年収、社風、そして転職事情までを徹底的に解剖します。
1. そもそも、デロイトとは?
デロイト トーマツ コンサルティングは、世界規模のプロフェッショナルファームであるBIG4の1角を担う総合コンサルティングファームです。BIG4の中でも規模や売上高の点で特に高いプレゼンスを発揮していることが特徴的です。
2024年度のグループ全体の業務収入は、前年比8%増の3,627億500万円となっており、同年度のPwCグループの業務収入が2,542億円、EY Japanの業務収入が、2,548億円であることを鑑みても、BIG4の中でも売上高で群を抜いていると言えます。
社風としては「体育会気質で、積極性のある人が多い」という特徴があります。組織文化として「チームワーク」や「前向きな姿勢」が重視される環境です。
(参考)デロイト トーマツ グループ、合同会社デロイト トーマツ
※なお、2025年12月より、デロイトトーマツグループの組織再編により、「デロイトトーマツコンサルティング」「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー」「デロイトトーマツリスクアドバイザリー」の3社が合併し、「合同会社デロイト トーマツ」となりました。本記事では、経営支援などを提供する旧:デロイト トーマツ コンサルティングの働き方について解説します。
2. デロイトの激務実態
全体として「ホワイト化」が進んでいるとの声がある一方で、所属部署やプロジェクト、上司によって労働環境が大きく左右される「プロジェクトガチャ」の要素が強いのが実態のようです。
2-1. 残業時間の実態と繁忙期・閑散期の特徴
ワンキャリア転職に集まるクチコミを総合すると、平均残業時間は約66時間/月という結果でした。
ただし、これはあくまで平均値であり、プロジェクトのフェーズやクライアントの都合に大きく左右されます。 納期間際やクライアントへの報告前は多忙になる一方、プロジェクトの合間には長期休暇を取得することも可能など、時期によって繁閑の差が激しいのが特徴です。
特に、戦略案件や大規模プロジェクトのプロジェクトマネージャー(PM)は業務量・難易度ともに高く、労働時間が長くなりがちです。また、システム開発やDX関連のプロジェクトでは、いわゆる「炎上案件」になると残業が100時間を超えるケースも報告されています。
一方で、会社全体として働き方改革が進んでおり、若手であるスタッフ層に対しては無理をさせない配慮が見られるという声も多くあります。
コンサルタント職は裁量労働制であり、本来は働く場所・時間の制限を受けないはずであるが、プロジェクト推進における忙しさから現実はそこまで高い自由度はない。
ただし育児・介護など制約のある社員のケアは会社として注力しており、ワーキングプログラムの導入・活用は進んでいる。(コンサルタント/新卒入社)
2-2. 激務を乗り越えるコツ・対策(社員の声)
多くの社員が、激務を乗り越えるモチベーションとして「やりがい」と「成長実感」を挙げています。 若手のうちから大企業の経営層と直接議論し、社会的にインパクトの大きな案件に関われることに、大きなやりがいを感じているようです。
また、チームで助け合う文化や、上司・同僚からの手厚いサポートも、厳しい業務を乗り越える支えとなっています。
20代でクライアントのマネジメント層と企業経営について直接議論できる場が与えられ、認められるという経験はかけがえの無いやりがい・成功経験になる。慣れてくるとバイネームで仕事を依頼されることも多い。
また、マネジメント層も部下の建設的な意見に対しては常に正面から受け止めるカルチャーがあるため、社内・プロジェクト内とも自分で提案して、それが通るという経験を積み重ねることができる。(経営コンサルタント/新卒入社)
3. デロイトのワークライフバランス
制度面は非常に充実しており、特にリモートワークの定着度は高い一方で、副業には制限があるなど、特徴が見られます。
3-1. 有給取得や休日の実際
業務の調整さえつけば有給休暇は取得しやすく、会社としても取得を推奨する雰囲気があります。プロジェクトの切れ目などにまとめて長期休暇を取る社員もいるようです。
3-2. リモートワークや柔軟な働き方の現状
デロイトトーマツグループの公式採用ページによると、「リモートワークは可能で、出社頻度は各社・各ポジションによる」とされています。
多くのプロジェクトでリモートワークが推奨・定着しており、社員から「原則フルリモート」「出社はほとんどない」といった声が上がっていますが、プロジェクト毎に違いが発生し得ることには注意が必要です。
クライアント先への常駐が必要な案件や、対面でのコミュニケーションが重視されるプロジェクトフェーズでは出社が求められることがあるようです。
また、フレックスタイム制や裁量労働制が浸透しており、通院や家庭の事情に合わせた中抜けや、始業・終業時間の調整も容易です。
フルフレックス制度が導入されており、プロジェクトの状況に応じた働き方ができる。また、育児休暇や産休など取得しやすい職場環境作りを醸成するためのDEI活動が社会的にも行われている。(業務プロセスコンサルタント/中途入社)
3-3. ワークライフバランス向上の社内施策
デロイトでは、社員のワークライフバランスを向上させるための様々な制度が導入されています。以下にクチコミで声が寄せられていた、代表的な制度を紹介します。
▼ワーキングプログラム
育児や介護といった事情に合わせて、時短勤務や出張の免除など、個別の就業条件を設定できる制度です。
ワーキングプログラムという育児者・介護者向けの制度があり、時短勤務や就業条件の個別合意(出張や常駐なしなど)ができる。自分自身、子どもの誕生以来、適用させてもらっている。(シニアコンサルタント/新卒入社)
▼男性の育休取得
女性だけでなく、男性の育児休暇取得も推奨されており、実際に取得する社員も増えています。
(働き方の支援について)整っていると思う。時短勤務は稼働率の概念と相性がいいと思うので、ちゃんと厳密に取り入れられている理解。実際私の現在のマネージャーも一般的に言う時短勤務だが、限られた時間で質の良いコミュニケーションを取ろうと言う意識が互いに働くと共に、特定の時間以降はマネージャーと連絡が取れないので自分の作業に集中するなどの副次的効果も得られている。男性の育休取得も非常に増えている。(財務・会計コンサルタント/中途入社)
▼副業について
監査法人をグループに持つという特性上、独立性の観点から副業は原則禁止、あるいは非常に厳しい承認プロセスが設けられています。
4. デロイトの給与・年収事情
4-1. 年齢・役職別給与水準の事例
デロイトの給与水準は、総合系コンサルティングファームの中でも高いレベルにあるとされています。
さらに・・・



