こんにちは、トイアンナです。
世帯年収3,000万円。都内の平均世帯年収629万円の約5倍、港区の平均世帯年収と比較しても1.7倍と、飛びぬけた収入であることは間違いありません。
その年収があれば、子持ちだとしても乳母がいてもおかしくない。きっと育児は人に任せて、悠々自適に働くパワーカップルだろうと周囲から思われるわけです。
しかし、育児は札束では殴れません。実際に私が世帯年収3,000万円以上のカップルから聞いたのは、キャリア重視の夫妻だからこそ起きる「育児の押し付け合い」でした。
夫婦ともに育休から3か月で復帰
夫婦で稼ぐ金額のバランスにもよりますが、世帯年収3,000万円クラスに多いのは、夫妻ともにバリバリと第一線で働く方たちです。たとえば、国際弁護士と商社勤務、あるいはベンチャーの経営者と官僚といったように、どちらもキャリアを最優先に働いてきた方々が、お互いの仕事観に共鳴し、結婚しているのです。
そうなると、妊娠・出産を経てもキャリアを降りるなんてありえません。女性でも育休を1年取るパターンは少なく、たとえば女性が最初の3か月を休み、次に夫が2か月休み、合計5か月……といった組み合わせで職場復帰します。
子供は生後2~5か月で保育園へ預けられるわけですが、それからも発熱などで園を休むケースが頻発します。
「子どもが病気をしても、都内ではベビーシッターを予約できない」と気づいたのは、Uさん(仮名)でした。
病児に対応しているベビーシッターさんって、ほとんどいないんですよ。いても、すぐ奪い合いになる。保育園に通う子って、同じ時期にインフルとか、RSウイルスとか、ノロをもらってくる。そうなると病気の子を見てくれるシッターさんの予約がすぐ埋まってしまうんですね。預けられる場所もあるんですけれども、そういうところも満杯でいつも抽選。朝8時になるまで、今日預けられるかわからないんです。
1時間後の会議に行けるか行けないかわからないって状態で、クライアントワークなんて不可能ですよ。最初はフル出社してたんですけれども、さすがに無理だとなってリモート申請して。夫婦で週2~3出社に切り替えて、それでも厳しかったですね……。
とにかく子供がよく風邪をもらってくるんです。月に5日も保育園へ通えない時期が続いて。しかも、深夜に子供が熱を出してグズグズ泣くから寝れないし、深夜対応のベビーシッターなんてそれこそいないし。夫婦交代で面倒を見ながら1~2時間だけ寝て、そのままフルタイムで働いて。激務耐性はある方だと思っていたんですが、生まれて初めて人生を投げ出したくなりました。
夫婦ともに育児を優先できず心身が壊れた
Uさん夫婦は、どちらもキャリアダウンしたくありませんでした。そのため、無理を重ねてもフルタイム労働を続けていました。しかし、お子さんに喘息の疑いがかかったことで、事態は悪化します。
喘息の子どもがいる場合、毎日家を掃除して、シーツ、カーテンやラグまで洗わないといけないわけですね。そんなの、フルタイムで働きながらやるのは不可能ですよ。ただでさえ、子供が寝てから22~26時で残業して、やっと仕事を回してるのに。最終的に、どちらかが時短か休職をしないと無理だ、と医師に言われて。
そこで私の心の糸がプツン、と切れてしまったんですよね。極度の精神的な危機に陥った私を見て、驚いた夫に精神科へ連れていかれて……。そのまま入院しました。といっても、育児から離れた瞬間にメンタルが回復したので、1週間で退院できたんですけれども……。夫もさすがに異常事態だと気づいてくれて、入院中はフルで面倒を見てくれました。入院中も仕事をさせてもらえる、寛容な病院に入れたのも助かりました。
ただ、入院中に今度は夫が体を壊してしまって。子供が寝ないのと、フルタイム労働と、私がいないことによるワンオペ育児で、ストレスから胃潰瘍になったんです。私がいざ退院して帰宅したら夫はトイレで血を吐いているし、子供は熱を出しているし……「また入院できるものならしたい」と思いました。
さらに・・・



