コンサルキャリアで最も特筆すべきことは、「ネクストキャリアを見越した入社」の方が多いことでしょう。
そして、コンサルに入社した方の多くが直面するのが、以下のような問いです。
- いつファームを去るべきか
- コンサルを経由したからこそ行けるネクストキャリアはどこか
- 年収の増減をどう捉えるか
本シリーズでは、実際にコンサルを卒業してネクストキャリアを歩まれる方々にインタビューをし、ポストコンサルキャリアの実録を集めていきます。
実録:「このままでいいのか」というモヤモヤからの決断。ファームに留まってわかった、続けることの意味
「今の環境に違和感を覚える。でも転職していいのか、まだ早いんじゃないか」──そんな葛藤を抱える若手コンサルタントは少なくありません。
今回お話を伺ったBさんも、まさにそのような迷いを経て日本アイ・ビー・エム(以下日本IBM)から外資系コンサルのBIG4へと転職された方です。ブランド、給与、職場環境、上司との関係──一つひとつの“ひっかかり”を丁寧に見つめ直し、自分なりの答えを出していったBさん。
その決断のプロセスと、BIG4で5年間働いた今だからこそ語れる「続けること」の意味をじっくり語っていただきました。
最初のキャリアは“幅広く何でも”──日本IBMでのはじまり
Bさんのキャリアは、新卒で入社した日本IBMから始まりました。
最初の2年間は、新卒向けの育成組織に所属。戦略系・業務系・IT系の3ユニットのうち、戦略ユニットに配属されました。
その後、本配属ではマーケティング関連の部署に異動し、約1年後にはシニアポジションに昇格。コンサルティング業務を中心にキャリアを積んでいきましたが、次第に心に引っかかる違和感が積もっていったといいます。
自分がやっている仕事が、本当にコンサルなのか?と疑問を持つことがありました。戦略系チームの後輩がシステムのテスト要員に回されているのを見て、果たしてこれは目指していた姿なのかと思うこともありました
と語ります。
“違和感”が積み重なった日々──日本IBMで感じたもどかしさ
Bさんが転職を考え始めた背景には、いくつかの明確な理由がありました。まずは、日本IBMという企業ブランドの持つ「SIer」のイメージの強さでした。
もともと日本IBMがコンサルティングサービスを提供する際に、PwCをM&Aしているという背景もあり、非常に優秀な方がたくさん所属していました。中にいる人たちは優秀でも、外から見たときに“コンサル会社”として評価されにくい。結果、戦略的な案件は大手ファームに流れていき、日本IBMはIT寄りの案件が多くなりやすい業界内での立ち位置でした
と語ります。
さらに、給与体系への不満もありました。当時の日本IBMでは、マネージャー職になってもギリギリ年収1000万円に届くかどうか。責任に見合う報酬が得られていない実感があったといいます。
アメリカのIBMから見ると日本IBMは孫会社の扱いで、当時注力分野だったクラウドやAIには投資を強化する一方で、コンサルティング事業への投資はかなり限られていました。コンサル事業の同僚が取引先企業に引き抜かれて、年収3000万円で執行役員として転職していく姿を見て、“もっと評価される場所があるのでは”と痛感しました
と振り返ります。
加えて、職場の人間関係も転職を後押しする要因となりました。本配属後の上司との馬が合わず、「成長実感を得られず、相談相手もいない。精神的にも限界が来ていました」と明かしてくれました。
転職の決断と選択──BIG4への道
「このまま続けていても、自分の市場価値は上がらないのではないか」と悩み、転職を検討し始めたBさん。最初は転職エージェントを経由して、複数の企業を検討していました。
これまで日本IBMで担当してきたデジタルマーケティングに関する知識や経験も生かせそうなメガベンチャーや外資事業会社、プラットフォーマーのようなグローバル企業も候補にありました。でも最終的には、元同僚が転職していたBIG4のとある企業で話を聞き、『自分が目指すキャリアに合っていそうだ』と感じたんです
といいます。
日本IBMと比較して、転職先はコンサルティングに特化した組織であり、業務内容も明確に定義されています。結果として、日本IBM時代に感じていた「IT系の業務に偏る」ことへの不満や、「ブランドとしての認知度の弱さ」といったモヤモヤを払拭できる環境でした。
しかも年収は、当時の日本IBMの約700万円からBIG4での800万円へのステップアップ。待遇面でも不満はなく、「これなら安心して転職できる」と判断したそうです。
▼日本IBMからの転職体験談
5年間続けてわかった「面白さ」の正体
BIG4に転職してからの5年間、Bさんは着実にキャリアを積み重ね、現在はマネージャーとして複数のプロジェクトを同時に見る立場にあります。
正直、今が一番仕事が面白いです。ステージが上がるたびに、求められる役割も変わり、それに応じて自分が成長している実感があります
特に印象的だったのは、「仕事がゲームのようにレベルアップしていく感覚」。
一つのアカウントを任されたら次は複数案件、さらに新しいソリューション開発と、次々に“面白いハードル”がやってくる環境は、まさにストレッチの連続です。
若いころの仕事は、今のマネージャーの仕事と比べるとあまり面白くなかったです。どうしても若い時は裁量権がなく、方針に疑問を抱いてもひとまず仕事として進行しなければならない。でもマネージャーになると、責任はあるものの自分で考えてクライアントをゴールに導く論点設計ができる。クライアントに提供できる価値がどんどん増えて、今では自分で戦略を考え、チームを率いて動くことができる。自分自身で考えた『付加価値の高い仕事』にフォーカスできるんです。それが面白さにつながっていると思います
と話してくれました。
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「ファームを変えるより、続ける強さ」──後輩へのメッセージ
BIG4でのキャリアが5年を超えた今、Bさんは「やっぱり面白いから続けているんだと思います」と語ります。マネージャーとなった現在もなお、日々の仕事に楽しさを見出し、刺激を受けながら前に進み続けているそうです。
この業界って、うまくできていると思うんですよ。ステージが次々に変わっていくような感じで、飽きないんです。やれることが増えると、任される仕事も変わってくる。だからこそ、成長の実感もあるし、仕事がどんどん面白くなっていきます
コンサルタントとしてのキャリアは、最初から楽しいものではなかったと振り返ります。特にアソシエイトやシニアアソシエイトの時期は、仕事の裁量も小さく、業務範囲も限定的になりがちです。ですが、地道な経験の積み重ねを経て、少しずつ大きなプロジェクトに関わるようになり、視野も広がっていったと言います。
その中でBさんが特に強調するのは、「プロアクティブであること」の重要性です。
振られた仕事だけを淡々とこなす人は、正直この業界にはあまり向いていないと思います。自分から課題を見つけて『こういうのをやってみたい』と提案したり、付加価値を出そうとしたりする人に、仕事は集まってきます。そういう姿勢がある人には、『じゃあちょっとチャレンジしてみようか』という流れが自然とできてくるんですよね
逆に、言われたことしかやらない人には新しいチャレンジの機会も巡ってきづらくなります。結果として、同じような仕事しか任されず、成長実感を持てないという悪循環に陥ってしまいます。
たとえば、休みの日に本を読んだり、新しい分野を自分なりに調べてみたり、そういう自己研鑽を楽しめる人は伸びると思います。もちろん、ワークライフバランスを大切にしたいというのもありですが、何かしら好奇心や探究心がある人のほうが、この仕事を長く面白がって続けられるんじゃないかなと感じています
仕事の面白さは、自ら動いてつかみにいくもの。
自分なりの仮説を立てて提案すること、工夫を凝らして成果を出すこと。
その一つひとつの積み重ねが、キャリアの幅と深さを広げてくれる。
日本IBMからBIG4というコンサルティングで長いキャリアを築いたからこそわかる魅力をBさんは語ってくれました。
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